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僕、真幸雅也は全国で五本の指に入る名セッターだ。
背は百八十センチありコート上で司令塔をしていただけに頭もキレる。
そして何よりイケメンだ。
こんなハイスペックな僕がΩだとかあり得ない。
現に発情期なんか全然来ないし。
きっと検査ミスか何かだと思っていたんだけど、残念な事に大学受験直後に初発情期が来ちゃいました。
お医者さん曰く、運動のし過ぎでホルモンバランスを崩していた可能性が高いとか何とか。
確かに大学受験で運動量減ってからずっと身体変だったしな。
そんな訳でこれまで嵌める事のなかった首輪を嵌めての大学生活を送る事数ヶ月。
奇異の目とひそひそ話には大分慣れたけど、やっぱりキツイものはキツイ。
今も斜め前方の可愛い女子達が無遠慮に見ているし。
「あの人Ωなの?」
「あんなにかっこいいのに勿体な~い」
だよね。僕もそう思うよ。
今日も一日、心を疲弊させて家に帰ると、リビングにて母にとんでもない事を言われた。
「雅也。今度の日曜日お見合いだからね」
「へ? 何それ……」
「東宮のおばさんが良い人紹介してくれるって」
いやいや。待って。僕、まだ二十歳前だよ?
お見合いなんて早くない? 早いよね!?
「あの、日曜はちょっと用事が……」
「ふらふらしている大学生の用事なんか大したもんじゃないでしょ。いいから空けておきなさい」
手渡された紙袋を覗けば見合い写真と一目で分かる白色の台紙が入っていた。
リビングに置き去りにしたら怒られる事間違いないなので一応自室に持って来たが、中を開ける気にはなれない。
だって、どんな容姿だったとしても相手男だし。辛すぎる!
僕は普通に女の子が好きなのに、男と性行為して子供作るとか想像しただけで悪寒、吐き気、目眩その他色々な症状が出てしまう。
健康維持の為ここはひとつ、紙袋はベッド脇のデッドスペースにそっと押し込み、忘れる事にした。
忘れたフリしてもお見合いの日は容赦なくやって来る訳で。
朝も早くから美容室に強制連行されると髪をセットされ、何時の間に用意したのかオーダーメイドのスーツを着させられ、有無を言わせない勢いで車に乗せられた。
死刑執行場へ向かうような心境で窓の景色を見ていると、母が不意に言った。
「東宮のおばさんが言うには今日のお相手は紅城月一族の分家の方らしいわよ」
紅城月――。
表八家と呼ばれる国の表世界で絶大な権力を握り、頂点に君臨している八家の一つ。
縁を結びたい。お近付きになりたいと胸を焦がす権力者や金持ちが履いて捨てるほどいるだろう。女性のα、β、Ωから選びたい放題のはずだ。
何で中流家庭の男とお見合いなんかするんだ?
もしかしてバレーボール好きで県大会か何かのテレビ放送を観てファンになったとか?
バレーしている時の僕は三割増しでカッコイイからな。なくもないかな……。
と言うか、そんな凄い一族との見合いを東宮のおばさんどうやってもぎ取ってきたんだ?
おばさんはデザイナーで芸能関係にも多少顔が利くって自慢していたけど、そのルートなのかな?
暫く考えてはみたものの、答えが出る訳もないので、ラジオから聞こえてくる下らない話に耳を傾け気持ちを紛らわせる事にした。
一見して格式の高さが伺える門を潜ると、見事な日本庭園が広がっていた。
もう既に帰りたいんだけど、帰っちゃダメかな?
鉛でも巻き付いているかのような重い足取りで建物内へ入ると、入り待ちしていた東宮のおばさんが物凄い興奮状態で近寄ってきた。
「雅也ちゃん。今後二度とないくらいの良縁だからね。頑張りなさいね!」
僕の両手を握るおばさんの握力の強さたるや、リンゴを砕かんばかりで痛い!
獰猛な肉食獣のような目で「モノにしろ!」と怨念を送られ一言も発する事が出来ないまま見合い会場へ連行された。
部屋で待つ事十分。未だに相手は来ない。
室内は静寂に包まれ、おばさんを始め誰一人お茶すら手を付けられずにいる。
何だろうこのプレッシャー。県大会の準決勝前日より辛い。
もういっその事相手が来ないといいな。
気が変わったとか何とかでさ。
どうでもいいけど正座している足が痺れてきた。足崩しちゃダメかな?
重圧と足の痺れを耐える事十五分。漸く襖が開かれた。
「遅くなりましてすみません」
ナイスミドルな男性が入室するとその後ろから妙に背の高い……。
ん?
んんんんんんんんんんんんん!?
あれ?
あれあれあれあれあれあれ?
何か、何処かで見たような顔が……。
いや、ただの他人の空似かもしれないし……。
「お久しぶりです。真幸さん」
ああ、何度となくネット向こうに見た腹立たしい微笑み。
間違いなく剛大南のミドルブロッカー。紅林善史だ。
何でお前が居るかな?
誰かの付き添いとか?
んな訳ないよね。つまり、えーと僕の見合い相手って……。
ダメだ! これ以上考えたくない!!
僕が思考停止している間にも仲人や親同士の話は進み、定番の「後は若い人同士で」となり紅林と二人にされた。
「何でお前がここに居るの?」
「何でってそりゃあ見合いだからだろ?」
もしかして紅林も相手が誰か知らずに来たとか……。
「真幸が俺との見合いを切望しているって聞いてきたんだけど、違うの?」
誰だ。そんな作り話したの!
「スパイク決める度に恨みがましそうに睨んでいたお前が実は俺に惚れてたと聞いて胸キュンしたぜ」
「脳まで筋肉で出来た人は知らないのかもしれないけど、冗談は休み休み言うのか会話のルールだよ? あと、胸キュンとか止めてくれる。マジ、キモイから!」
「やっぱ誤情報かぁ」
「少し考えれば分かるでしょ」
剛大南は同じブロックの為何度となく試合をしたライバル校だ。しかも、三年最後の全国行の切符を奪いやがって、腹立たしい!
スパイクを決める度に忌々しく思い。ブロックを決められる度に邪魔に思い。
消したい。潰したい。排除したいと思っていた相手だ。殺意を覚える事はあっても好きとかあり得ないし!
今も余裕しゃくしゃくな笑みを見ているだけで、目の前のお茶を叩き付けたくなる。
いやいや。ダメダメ。
ムカつく宿敵って前に紅城月家の人間なんだから、ここは丁重にお断りして帰ろう。
「帰る」
ムカつきの所為で丁重を忘れたけど、いいか。どうせ紅林だし。
立ち上がろうとするが感覚を失うほど痺れた足が言う事を聞かずによろけると透かさず紅林が支えた。
「勝手に触らないでくれる?」
「俺が支えなかったらこけていただろうが」
「お前に触られるよりかマシだし!」
「へぇ」
「へぇ、じゃなくてさ。さっさと離してくれる」
嫌悪感丸出しで訴えるが、紅林は面白がって僕を引き寄せた。
そんなタイミングで運悪く襖が開けられ、要らぬ誤解を受けてしまった。
「あらあら。すっかり仲良しね」
「善史。今日のところはそれくらいにしなさい」
「若いと何事も早いですね」
ああ、止めて。
皆で外堀埋めていかないで!
当人以外が盛り上がる中で食事しているけど、全然味が分からない。
取り合えず今日をやり過ごしたら後日、紅林本人に電話で断ろう。
それがベターだ。
皿を空ければ全てが終わると信じ、黙々と食べ続ける。
親同士が勝手に次の約束を交わしているが聞こえない。聞かない。無視。
食事を終え、両家共に車を待っていると紅林が近寄って来た。
「これ」
名刺を差し出され、作り笑顔で受け取る。
紅林の連絡先とか知りたくないけど、断りの電話入れるのに必要だからね。
「お前、S大行ってんだろ? バレー部強いところだよな。見合いとか関係なく練習試合しようぜ」
紅林の言葉に作り笑顔が一瞬引き攣りそうになるが、流石は僕。そのままの笑顔をキープ。
「悪いけど、バレー部入ってないんだ」
「え? 何で?」
何で? だと。
それこそ少し考えれば分かる事だろ。無い脳みそで考えろ!
答えない事で漸く理由に思い当たったのか紅林が何か言いかけるが、車が着いたと母さんが呼びに来たので僕は軽く手を振ってその場を後にした。
背は百八十センチありコート上で司令塔をしていただけに頭もキレる。
そして何よりイケメンだ。
こんなハイスペックな僕がΩだとかあり得ない。
現に発情期なんか全然来ないし。
きっと検査ミスか何かだと思っていたんだけど、残念な事に大学受験直後に初発情期が来ちゃいました。
お医者さん曰く、運動のし過ぎでホルモンバランスを崩していた可能性が高いとか何とか。
確かに大学受験で運動量減ってからずっと身体変だったしな。
そんな訳でこれまで嵌める事のなかった首輪を嵌めての大学生活を送る事数ヶ月。
奇異の目とひそひそ話には大分慣れたけど、やっぱりキツイものはキツイ。
今も斜め前方の可愛い女子達が無遠慮に見ているし。
「あの人Ωなの?」
「あんなにかっこいいのに勿体な~い」
だよね。僕もそう思うよ。
今日も一日、心を疲弊させて家に帰ると、リビングにて母にとんでもない事を言われた。
「雅也。今度の日曜日お見合いだからね」
「へ? 何それ……」
「東宮のおばさんが良い人紹介してくれるって」
いやいや。待って。僕、まだ二十歳前だよ?
お見合いなんて早くない? 早いよね!?
「あの、日曜はちょっと用事が……」
「ふらふらしている大学生の用事なんか大したもんじゃないでしょ。いいから空けておきなさい」
手渡された紙袋を覗けば見合い写真と一目で分かる白色の台紙が入っていた。
リビングに置き去りにしたら怒られる事間違いないなので一応自室に持って来たが、中を開ける気にはなれない。
だって、どんな容姿だったとしても相手男だし。辛すぎる!
僕は普通に女の子が好きなのに、男と性行為して子供作るとか想像しただけで悪寒、吐き気、目眩その他色々な症状が出てしまう。
健康維持の為ここはひとつ、紙袋はベッド脇のデッドスペースにそっと押し込み、忘れる事にした。
忘れたフリしてもお見合いの日は容赦なくやって来る訳で。
朝も早くから美容室に強制連行されると髪をセットされ、何時の間に用意したのかオーダーメイドのスーツを着させられ、有無を言わせない勢いで車に乗せられた。
死刑執行場へ向かうような心境で窓の景色を見ていると、母が不意に言った。
「東宮のおばさんが言うには今日のお相手は紅城月一族の分家の方らしいわよ」
紅城月――。
表八家と呼ばれる国の表世界で絶大な権力を握り、頂点に君臨している八家の一つ。
縁を結びたい。お近付きになりたいと胸を焦がす権力者や金持ちが履いて捨てるほどいるだろう。女性のα、β、Ωから選びたい放題のはずだ。
何で中流家庭の男とお見合いなんかするんだ?
もしかしてバレーボール好きで県大会か何かのテレビ放送を観てファンになったとか?
バレーしている時の僕は三割増しでカッコイイからな。なくもないかな……。
と言うか、そんな凄い一族との見合いを東宮のおばさんどうやってもぎ取ってきたんだ?
おばさんはデザイナーで芸能関係にも多少顔が利くって自慢していたけど、そのルートなのかな?
暫く考えてはみたものの、答えが出る訳もないので、ラジオから聞こえてくる下らない話に耳を傾け気持ちを紛らわせる事にした。
一見して格式の高さが伺える門を潜ると、見事な日本庭園が広がっていた。
もう既に帰りたいんだけど、帰っちゃダメかな?
鉛でも巻き付いているかのような重い足取りで建物内へ入ると、入り待ちしていた東宮のおばさんが物凄い興奮状態で近寄ってきた。
「雅也ちゃん。今後二度とないくらいの良縁だからね。頑張りなさいね!」
僕の両手を握るおばさんの握力の強さたるや、リンゴを砕かんばかりで痛い!
獰猛な肉食獣のような目で「モノにしろ!」と怨念を送られ一言も発する事が出来ないまま見合い会場へ連行された。
部屋で待つ事十分。未だに相手は来ない。
室内は静寂に包まれ、おばさんを始め誰一人お茶すら手を付けられずにいる。
何だろうこのプレッシャー。県大会の準決勝前日より辛い。
もういっその事相手が来ないといいな。
気が変わったとか何とかでさ。
どうでもいいけど正座している足が痺れてきた。足崩しちゃダメかな?
重圧と足の痺れを耐える事十五分。漸く襖が開かれた。
「遅くなりましてすみません」
ナイスミドルな男性が入室するとその後ろから妙に背の高い……。
ん?
んんんんんんんんんんんんん!?
あれ?
あれあれあれあれあれあれ?
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いや、ただの他人の空似かもしれないし……。
「お久しぶりです。真幸さん」
ああ、何度となくネット向こうに見た腹立たしい微笑み。
間違いなく剛大南のミドルブロッカー。紅林善史だ。
何でお前が居るかな?
誰かの付き添いとか?
んな訳ないよね。つまり、えーと僕の見合い相手って……。
ダメだ! これ以上考えたくない!!
僕が思考停止している間にも仲人や親同士の話は進み、定番の「後は若い人同士で」となり紅林と二人にされた。
「何でお前がここに居るの?」
「何でってそりゃあ見合いだからだろ?」
もしかして紅林も相手が誰か知らずに来たとか……。
「真幸が俺との見合いを切望しているって聞いてきたんだけど、違うの?」
誰だ。そんな作り話したの!
「スパイク決める度に恨みがましそうに睨んでいたお前が実は俺に惚れてたと聞いて胸キュンしたぜ」
「脳まで筋肉で出来た人は知らないのかもしれないけど、冗談は休み休み言うのか会話のルールだよ? あと、胸キュンとか止めてくれる。マジ、キモイから!」
「やっぱ誤情報かぁ」
「少し考えれば分かるでしょ」
剛大南は同じブロックの為何度となく試合をしたライバル校だ。しかも、三年最後の全国行の切符を奪いやがって、腹立たしい!
スパイクを決める度に忌々しく思い。ブロックを決められる度に邪魔に思い。
消したい。潰したい。排除したいと思っていた相手だ。殺意を覚える事はあっても好きとかあり得ないし!
今も余裕しゃくしゃくな笑みを見ているだけで、目の前のお茶を叩き付けたくなる。
いやいや。ダメダメ。
ムカつく宿敵って前に紅城月家の人間なんだから、ここは丁重にお断りして帰ろう。
「帰る」
ムカつきの所為で丁重を忘れたけど、いいか。どうせ紅林だし。
立ち上がろうとするが感覚を失うほど痺れた足が言う事を聞かずによろけると透かさず紅林が支えた。
「勝手に触らないでくれる?」
「俺が支えなかったらこけていただろうが」
「お前に触られるよりかマシだし!」
「へぇ」
「へぇ、じゃなくてさ。さっさと離してくれる」
嫌悪感丸出しで訴えるが、紅林は面白がって僕を引き寄せた。
そんなタイミングで運悪く襖が開けられ、要らぬ誤解を受けてしまった。
「あらあら。すっかり仲良しね」
「善史。今日のところはそれくらいにしなさい」
「若いと何事も早いですね」
ああ、止めて。
皆で外堀埋めていかないで!
当人以外が盛り上がる中で食事しているけど、全然味が分からない。
取り合えず今日をやり過ごしたら後日、紅林本人に電話で断ろう。
それがベターだ。
皿を空ければ全てが終わると信じ、黙々と食べ続ける。
親同士が勝手に次の約束を交わしているが聞こえない。聞かない。無視。
食事を終え、両家共に車を待っていると紅林が近寄って来た。
「これ」
名刺を差し出され、作り笑顔で受け取る。
紅林の連絡先とか知りたくないけど、断りの電話入れるのに必要だからね。
「お前、S大行ってんだろ? バレー部強いところだよな。見合いとか関係なく練習試合しようぜ」
紅林の言葉に作り笑顔が一瞬引き攣りそうになるが、流石は僕。そのままの笑顔をキープ。
「悪いけど、バレー部入ってないんだ」
「え? 何で?」
何で? だと。
それこそ少し考えれば分かる事だろ。無い脳みそで考えろ!
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