14 / 29
寂しそうな顔をして去っていく彼女を見送った
しおりを挟む
雨はとても激しく、地面は川のようになっていた。
台風が近づいているらしく、風も出てきていた。
とても地上を歩くことができる状況ではなかったので、私達は地下街に降りて散策することにした。
お洒落な雰囲気のブランドショップが並んでいた。
私達はウィンドウショッピングをするしかなかったが、それをネタに話すことはできた。
しばらくすると二人とも小腹がすき、香港名物のフレンチトーストを食べにいくことにした。
私が泊まっているホテルの、北に向かった一つ先、モンコックの裏道にあるようだ。
そこはいわゆる私がイメージしていた香港であった。
漢字が羅列してある錆びついた看板が空を塞ぎ、灰色のコンクリートの建物に室外機がむき出しベランダ。
舗装はしてあるがガタガタの道。
その光景に私はしびれた。
最高だ。
しかし雨はまだ降り続いていた。
辺りは薄暗くなってきていて、なかなか目当ての店に辿り着くことができなかった。
薄暗い裏道にポツンと灯が見えた。
精肉店のようだった。
グレーのTシャツを着た若い男が肉を切っていた。
私はフレンチトーストの有名な店は近くにないかと、ガイドブックを見せて尋ねた。
その男は一見ぶっきらぼうな感じに見えたが、私の後ろにいた彼女を見ると、「OK」と言い、その店まで歩いて案内してくれた。
店を探すことができない頼りない男を助けようとしてくれたのかもしれない。
もしくは彼女が可愛かったからか?
しかし、その店は閉まっていて、営業していなかった。
私達はその男にお礼を言い、他の店を探すことにした。
駅の近くに戻ってきた私達は再びマンゴーが載ったパンケーキなんぞを食べた。
マンゴーと生クリームのコラボレーションは最高に美味い。
そこにアイスクリームが乗ったら完璧だ。
彼女は福岡で事務をされている方だった。
年に数回、一人で旅行をしているようだった。
明日はチムサァチョイの高級ホテル、ペニンシュラのティーラウンジで、アフタヌーンティーを飲んだ後、日本に帰国するとのことだった。
私達はパンケーキを食べ終え、モンコック駅まで戻ってきた。
彼女は二駅北に向かった先の、シャムスイポーに宿をとっていた。
私は南に一駅のヤオマティだ。
地下鉄に乗る為に、私達は階段を降りた。
途中、濡れたところがあり、彼女は足を滑らせてよろけ、私の腕にしがみついた。
私達は顔を、目を見合わせた。
一瞬時が止まったように感じた。
私は、「大丈夫ですか?」
と彼女を抱き起した。
そして
「お元気で。またいつかどこかで。」
と言い、改札まで彼女を送り、寂しそうな顔をして去っていく彼女を見送った。
台風が近づいているらしく、風も出てきていた。
とても地上を歩くことができる状況ではなかったので、私達は地下街に降りて散策することにした。
お洒落な雰囲気のブランドショップが並んでいた。
私達はウィンドウショッピングをするしかなかったが、それをネタに話すことはできた。
しばらくすると二人とも小腹がすき、香港名物のフレンチトーストを食べにいくことにした。
私が泊まっているホテルの、北に向かった一つ先、モンコックの裏道にあるようだ。
そこはいわゆる私がイメージしていた香港であった。
漢字が羅列してある錆びついた看板が空を塞ぎ、灰色のコンクリートの建物に室外機がむき出しベランダ。
舗装はしてあるがガタガタの道。
その光景に私はしびれた。
最高だ。
しかし雨はまだ降り続いていた。
辺りは薄暗くなってきていて、なかなか目当ての店に辿り着くことができなかった。
薄暗い裏道にポツンと灯が見えた。
精肉店のようだった。
グレーのTシャツを着た若い男が肉を切っていた。
私はフレンチトーストの有名な店は近くにないかと、ガイドブックを見せて尋ねた。
その男は一見ぶっきらぼうな感じに見えたが、私の後ろにいた彼女を見ると、「OK」と言い、その店まで歩いて案内してくれた。
店を探すことができない頼りない男を助けようとしてくれたのかもしれない。
もしくは彼女が可愛かったからか?
しかし、その店は閉まっていて、営業していなかった。
私達はその男にお礼を言い、他の店を探すことにした。
駅の近くに戻ってきた私達は再びマンゴーが載ったパンケーキなんぞを食べた。
マンゴーと生クリームのコラボレーションは最高に美味い。
そこにアイスクリームが乗ったら完璧だ。
彼女は福岡で事務をされている方だった。
年に数回、一人で旅行をしているようだった。
明日はチムサァチョイの高級ホテル、ペニンシュラのティーラウンジで、アフタヌーンティーを飲んだ後、日本に帰国するとのことだった。
私達はパンケーキを食べ終え、モンコック駅まで戻ってきた。
彼女は二駅北に向かった先の、シャムスイポーに宿をとっていた。
私は南に一駅のヤオマティだ。
地下鉄に乗る為に、私達は階段を降りた。
途中、濡れたところがあり、彼女は足を滑らせてよろけ、私の腕にしがみついた。
私達は顔を、目を見合わせた。
一瞬時が止まったように感じた。
私は、「大丈夫ですか?」
と彼女を抱き起した。
そして
「お元気で。またいつかどこかで。」
と言い、改札まで彼女を送り、寂しそうな顔をして去っていく彼女を見送った。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる