雪の降り積もる夜に

 夕方から降り出した雪は、夜も更けてから辺りを覆う白い絨毯となって止んだ。
 寂れた駅前の商店街は人通りも絶え、ひっそりと静まり返っている。
「あの、済みません」
 消え入りそうな声で、女が曇るガラス戸を開けた。
 その時交番に勤務していたのは、年配の大村巡査部長と警察官になってまだ一年と経っていない本田巡査だった。
「どうかしましたか」
 凍える若い女に大村が声をかけた。
 顔も体も小ぶりな女が顔を上げて巡査部長を見上げる。
「私、殺してしまいました」
24h.ポイント 0pt
0
小説 193,829 位 / 193,829件 ミステリー 4,312 位 / 4,312件

あなたにおすすめの小説

ミステリーの物語 短編集

原口源太郎
ミステリー
密室殺人あり、不可解な謎あり、犯人探しあり、パロディあり、日常のちょっとた謎など、謎解きとミステリーの物語。と言ってもショートショートのような短編なので、それなりのお話です。

影蝕の虚塔 - かげむしばみのきょとう -

葉羽
ミステリー
孤島に建つ天文台廃墟「虚塔」で相次ぐ怪死事件。被害者たちは皆一様に、存在しない「何か」に怯え、精神を蝕まれて死に至ったという。天才高校生・神藤葉羽は、幼馴染の望月彩由美と共に島を訪れ、事件の謎に挑む。だが、彼らを待ち受けていたのは、常識を覆す恐るべき真実だった。歪んだ視界、錯綜する時間、そして影のように忍び寄る「異形」の恐怖。葉羽は、科学と論理を武器に、目に見えない迷宮からの脱出を試みる。果たして彼は、虚塔に潜む戦慄の謎を解き明かし、彩由美を守り抜くことができるのか? 真実の扉が開かれた時、予測不能のホラーが読者を襲う。

友よ、お前は何故死んだのか?

河内三比呂
ミステリー
「僕は、近いうちに死ぬかもしれない」 幼い頃からの悪友であり親友である久川洋壱(くがわよういち)から突如告げられた不穏な言葉に、私立探偵を営む進藤識(しんどうしき)は困惑し嫌な予感を覚えつつもつい流してしまう。 だが……しばらく経った頃、仕事終わりの識のもとへ連絡が入る。 それは洋壱の死の報せであった。 朝倉康平(あさくらこうへい)刑事から事情を訊かれた識はそこで洋壱の死が不可解である事、そして自分宛の手紙が発見された事を伝えられる。 悲しみの最中、朝倉から提案をされる。 ──それは、捜査協力の要請。 ただの民間人である自分に何ができるのか?悩みながらも承諾した識は、朝倉とともに洋壱の死の真相を探る事になる。 ──果たして、洋壱の死の真相とは一体……?

迷探偵湖南ちゃん

迷井花
ミステリー
「いや素晴らしいな。単純かつ感情の起伏が明快。 わかるか?感情物理学の応用だ。キミがドアを開けるに至るまで、寸分違わず予想できた。実験は観察対象が単純なほどうまくいくからな」 「えーと、はい?」 トンデモ科学者×オカルト編集者が超常現象を科学する? オカルト雑誌の編集者・湖南は、ある日、日理大助教授の眞木に奇妙な薬を渡される。 それは幽霊が見える薬だった。 半信半疑でそれを飲んだ湖南は、大学で自殺した幽霊一太と出会う。 データ改ざんに手を染めたという一太の過去。 幽霊になってまで彼はなぜ、自殺を繰り返しているのか? 湖南と眞木は彼の死の真相に迫る。 表紙:かんたん表紙メーカー、イラストAC

女子高生探偵悦子の事件簿

キタさん
ミステリー
女子高生探偵と呼ばれる悦子が様々な事件を解決していきます。

ARIA(アリア)

残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

赭坂-akasaka-

暖鬼暖
ミステリー
あの坂は炎に包まれ、美しく、燃えるように赤い。 赭坂の村についてを知るべく、男は村に降り立った。 しかし、赭坂の事実を探路するが、男に次々と奇妙なことが起こる…。 ミステリーホラー! 書きながらの連載になるので、危うい部分があります。 ご容赦ください。

四次元残響の檻(おり)

葉羽
ミステリー
音響学の権威である変わり者の学者、阿座河燐太郎(あざかわ りんたろう)博士が、古びた洋館を改装した音響研究所の地下実験室で謎の死を遂げた。密室状態の実験室から博士の身体は消失し、物証は一切残されていない。警察は超常現象として捜査を打ち切ろうとするが、事件の報を聞きつけた神藤葉羽は、そこに論理的なトリックが隠されていると確信する。葉羽は、幼馴染の望月彩由美と共に、奇妙な音響装置が残された地下実験室を訪れる。そこで葉羽は、博士が四次元空間と共鳴現象を利用した前代未聞の殺人トリックを仕掛けた可能性に気づく。しかし、謎を解き明かそうとする葉羽と彩由美の周囲で、不可解な現象が次々と発生し、二人は見えない恐怖に追い詰められていく。四次元残響が引き起こす恐怖と、天才高校生・葉羽の推理が交錯する中、事件は想像を絶する結末へと向かっていく。