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勇者ダバイン

最後の戦い・1

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 夜明け前の白み始めた空を、小さなコウモリに似た魔物が急ぐように飛んでいった。
 魔物は城の高い塔の小さな窓から中に入っていった。

 ダバインはドラゴンに起こされた。
「魔法使いが旅の支度で出かけたと?」
 ダバインは少し考えてからドラゴンに言った。
「魔物たちを集めろ」

 城の門は開いていた。
 勇者をはじめとする冒険者たち、兵士、武装した市民たちが続々と集まった。
 城の裏口となるからめ手の門の前にも、少人数ながら異国の武道家を大将とする集団があった。
 正門の前に集まった多くの人々は、日の出とともに元勇者と二人の現役の勇者を先頭に、城へと入っていった。門番の兵士もその列に加わった。
 城内の兵士も続々と一行に加わっていった。誰も邪魔をする者はいなかった。
 大広間に入ると、魔物たちが襲いかかってきた。みな小物ばかりだった。勇者たちは魔物を蹴散らすようにして前に進んだ。
 多くの魔物が逃げだしたり、安全な場所まで下がって様子見を決め込んだが、それでも命知らずで手柄を立ててダバインに取り入ろうとする魔物もいて、襲ってきた。
 王の間に近づくと、強い力を持った魔物たちが現れた。その魔物たちとの戦いには、冒険者たちも苦労した。形勢が変わったとみて、傍観者となっていた小物の魔物たちまで戦いに加わった。
 大広間は魔物と人間が入り乱れての戦いとなり、そのような戦いに慣れていない魔法使いや弓使いは味方にまで損害を与えそうで、思うように力を発揮することができなかった。
 そこを突破して、リュウと二人の勇者が王の間に飛び込んだ。
 後に続く者はいなかった。
 王の間の中央にダバインがいた。ダバインを守るようにして数体の魔物が立っている。
 勇者たちが動くのと、魔物が襲いかかるのが同時だった。
 ダバインは不敵な笑みを浮かべ、二人の勇者や元勇者が魔物と戦う様子を見ていた。
 魔物を打ち倒した二人の勇者、グルドフとダルガムがダバインと対峙した。
「かかってこい」
 不敵な笑みを浮かべたまま、ダバインが剣を構えて言った。
 若いダルガムが先に動いた。
 ダバインはその剣をかわし、ダルガムの足を払った。
 ダルガムが足を斬られて床に転がったとき、グルドフがダバインの腕を斬っていた。すぐにダバインも反撃し、グルドフはその剣を避けて後ろに飛びのいた。
 ダルガムがその隙を突き、起き上がりながらダバインの足を斬ろうとしたが、ダバインは背中に目が付いているかのようにその剣をかわし、まだ体勢の整わないダルガムにとどめを刺そうとした。
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