少年少女たちの日々

原口源太郎

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 ボー。
 汽笛が響き、船は港を離れていった。
「おーい、シュン!」
 先ほどの少年が名前を呼ばれて振り返った。そこにも少年と同じくらいの歳格好の男の子がいた。シュンと呼ばれた少年が俊輔で、呼んだ少年は翔司。
「おお、ショウ。奇遇だな、同じ船か」
「何言ってる。近所だから同じ船なんだよ」
「そう? じゃ、他にも?」
「うん。居るだろ」
 言っているそばから一人の少年と三人の少女が近づいてきた。
 俊輔や翔司は背が高いから大人に間違われることがあるが、間違われそうにないもう一人の少年が修。三人の少女はすらりとした体つきの真希、梨花、みゆき。
「おおやっぱりこの船か」
「よう修、女の子に囲まれていいご身分だな」
「バカ言え。こいつら、お前たちはどこにいるのかってうるさいんだ」
「ほう」
 そう言って翔司は俊輔を見る。
「何? 俺じゃないだろ。ショウだろ」
「少なくとも、みゆきだけは違うな。なあ、みゆき」
 翔司が言った。
 みゆきは知らん顔をして空を見る。
「じゃ、真希と梨花はショウが目当てか」
 今度は修が言う。
「勝手なことを言わないでよ。誰があんたたちなんか」
 真希が言った。
「じゃ、何でこいつらがどこにいるかって捜していたんだよ」
「それは・・・・みゆきがシュンはこの船に乗っているのかって心配していたから」
「おーっと、出た」
 修がわざとらしく言った。
「やったな、シュン」
 翔司も続く。
「バカ言うな」
 俊輔は目でみゆきを捜す。
 みゆきは船縁へと歩いていく。
「さ、ささ」
 修が俊輔の背中を押し、五人はみゆきを追って歩き出す。
 六人は船縁の手すりにつかまって並び、遠く離れていく港を見た。
 俊輔たちの乗る船から少し離れたところにも同じような大型貨物船が見える。適度な距離を置いて何集かの大型船が洋上を進んでいく。遠く水平線に近い所には軍艦が見えた。
 護衛用の巡洋艦で、自衛隊のものだ。大戦が始まってから、かなりの数の軍艦が沈められた。貨物船は沢山見えるのに、護衛用の艦は一集しか見えなかった。
 海の風に髪をなびかせながら俊輔の隣に立つみゆきがぽつりと言う。
「私たちの街も戦場になっちゃうのかな?」
「どうだろう。戦争が長引けば、そうなることもあるかもしれない」
 俊輔の言葉に、みゆきは俯いた。
「何暗い顔してるんだよ。どうせ短い人生。楽しくやらなきゃ」
 二人の会話を聞きつけた翔司が言った。
「来年十六になって、兵役で戦場に行った途端に戦死」
 修も話に加わった。
「バカ」
 翔司は修の頭を叩く真似をした。
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