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公園の奥の木陰にあるベンチに男と女が座っている。
女性は大崎たちの憧れの君、青山澄香。ファンクラブメンバーだけでなく、熱狂的な支持者がはるか遠くの高校にまで大勢いると言われている。
遠慮がちに同じベンチで少しの空間を開けて座っているのが、青山のひとつ上の学年になる3年生の本並。彫りの深いキリリとした二枚目だ。
河原を先頭に野村、村沢が青山たちの視線に入らないように、木々の影に身を寄せながらゆっくりとベンチの二人に近づいていく。
「それでさ、女の子の前まで来たとき、ズデってずっこけたんだぜ。緊張しすぎて」
本並が青山に話をしている。
「ええ?」
青山が楽しそうに本並を見た。
「動きがこう、ロボットみたいにギクシャクしてるんだ」
本並はベンチから立ち上がるとロボットのように動き、ゆっくりと倒れる。
「それでその人はちゃんと気持ちを伝えられたの?」
「うん。かえってそれが良かったらしい。今では付き合ってる」
そう言ってから本並は真顔になって青山を見た。
一部女子からきゃあきゃあ言われるだけの美形で、キリッとした顔は遠くから見ていても凛々しく見える。
「まずいぞこれは」
少し離れた木と草に隠れて二人を見ていた河原がぼそっと言った。
「何が?」
村沢が反応する。
「しっ! 静かに」
先に言葉を発した河原が黙るように合図し、再びベンチの二人に注目する。
青山は真剣な表情の本並の目を見て慌てて顔をそらした。
「俺はそれほど緊張してないけど、今はそいつの気持ちがよくわかる。俺の彼女になってほしい」
顔を反らせたまま本並の言葉を聞いていた青山は地面へと視線を落とす。
「ごめんなさい」
小さな声だけどはっきりとした口調で言った。
女性は大崎たちの憧れの君、青山澄香。ファンクラブメンバーだけでなく、熱狂的な支持者がはるか遠くの高校にまで大勢いると言われている。
遠慮がちに同じベンチで少しの空間を開けて座っているのが、青山のひとつ上の学年になる3年生の本並。彫りの深いキリリとした二枚目だ。
河原を先頭に野村、村沢が青山たちの視線に入らないように、木々の影に身を寄せながらゆっくりとベンチの二人に近づいていく。
「それでさ、女の子の前まで来たとき、ズデってずっこけたんだぜ。緊張しすぎて」
本並が青山に話をしている。
「ええ?」
青山が楽しそうに本並を見た。
「動きがこう、ロボットみたいにギクシャクしてるんだ」
本並はベンチから立ち上がるとロボットのように動き、ゆっくりと倒れる。
「それでその人はちゃんと気持ちを伝えられたの?」
「うん。かえってそれが良かったらしい。今では付き合ってる」
そう言ってから本並は真顔になって青山を見た。
一部女子からきゃあきゃあ言われるだけの美形で、キリッとした顔は遠くから見ていても凛々しく見える。
「まずいぞこれは」
少し離れた木と草に隠れて二人を見ていた河原がぼそっと言った。
「何が?」
村沢が反応する。
「しっ! 静かに」
先に言葉を発した河原が黙るように合図し、再びベンチの二人に注目する。
青山は真剣な表情の本並の目を見て慌てて顔をそらした。
「俺はそれほど緊張してないけど、今はそいつの気持ちがよくわかる。俺の彼女になってほしい」
顔を反らせたまま本並の言葉を聞いていた青山は地面へと視線を落とす。
「ごめんなさい」
小さな声だけどはっきりとした口調で言った。
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