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第三章

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「雪乃、出かけてくる。支度をしてくれ」
 源左衛門は長屋の戸を開けて中に入ると、奥にいる雪乃に声をかけた。
「こちらへ」
 奥の部屋で雪乃の声がした。
 源左衛門は足を拭いて家に上がると、奥の部屋に行った。すでに外出用の服がきちんと畳んで用意されている。
「先ほど若いお侍さんが見えて、源左衛門さまの居場所を訊いていったものですから」
「うむ」
 源左衛門が着替えるのを雪乃が手伝った。
「中川様という道場の師範を務めているお方から、会いたいとの申し出があった。行ってくる」
「はい。お気をつけて行ってらっしゃいませ」
 雪乃はそう言って頭を下げた。

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