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リュクを背負って歩く人たち、ジャージ姿でグランドを走る人たち。校舎の中から聞こえてくるブラスバンドの音。いつもと変わらない高校の放課後。
校門からは生徒たちが次々と出てくる。その中に話をしながら歩く三人の生徒もいる。
スマートだが肩幅が広く、美男子だがひょうきんな性格の荒木アキラ。ひょろりとしたお調子者の本山将太、小柄だががっちりした体格の横沢裕樹。
「将太、そうだったのか」
裕樹が将太に言った。
「何が?」
「ハルカのことだよ。好きなんだろ?」
「バカ言うな。それはアキラだ」
「おいおい、そんなこと言ってないだろ。冷たそうな美人だなって。恋愛対象にはならないだろ」
アキラが反論した。
「そういうことを言う裕樹が一番怪しい」
将太が裕樹にやり返す。
「バ、バカ言え」
その時、数人の生徒の向こうにセーラー服姿の美しい少女が現れ、アキラたちはその子に注目する。
その少女がハルカ。
「噂をすれば、来た」
「確かに美人だと思うよ。でも、いつも一人でいるし、あいつが笑ったとこなんて見たことがないもんな」
将太が裕樹の言葉を受けて言った。
「笑うなんて感情は持ってないんだろう」
アキラが冷静な口調で同意する。
「そこがいいんだろ。近寄りがたい雰囲気が」
「それはお前だけだ」
将太は祐樹に言った。
そんな言葉を交わしながら、三人は大通りを歩く。
「それじゃ、また明日」
アキラが二人に告げ、高いビルへと入っていった。
アキラに軽く手を振り、将太と裕樹はそのまま通りを歩いていく。
「アキラも大変だな。毎日毎日塾通いで」
裕樹が言った。
「アキラは頭いいからね」
「頭いいんならそんなに勉強しなくたってできるんじゃね?」
「うーん、そうかもね」
ビルの中の小さな部屋で、アキラは学生服のまま拳銃の手入れをしている。小型のオートマチックだ。
静かにドアが開き、アキラは咄嗟に銃を構える。
現れたのはハルカだった。
「先に来てるかと思った」
「ちょっと買い物してたから」
そう話すハルカに先ほどまでの冷たい雰囲気はない。
「なんだ、参考書か」
「違うよ」
「へえ、勉強家のハルカが参考書以外のものに興味があるのか?」
「バカなこと言わない」
ハルカは背負っていたリュックを部屋の隅にある机に置いた。
その時、また部屋のドアがスッと開く。
男が部屋に飛び込んできて床に転がり、立ち上がると拳銃をアキラに向ける。
だが、アキラの銃口はすでに男の額に向けられていた。
部屋に飛び込んできた男は同じ学生服姿だが、アキラよりがっちりした体格をしている。
名前は鈴木ハヤト。
「流石だな」
「何が流石だな、だよ。遅かったじゃんか」
「英語の補習だよ」
「13の時にはペラペラだったお前が?」
「俺は落ちこぼれだからね。特に英語が大の苦手」
「そうだったな」
またドアが開き、髭面の中年男が姿を現した。
名前は森本ヒカル。アキラは拳銃を向けていない。
「何をしている。早く射撃の練習に行かんか」
「はい」
アキラとハルカ、ハヤトは急いで支度をして部屋を出ていった。
厳重にセキュリティーが施されたビルの地下に射撃場がある。
アキラは拳銃に消音機を取り付ける。
少し離れた横でハルカが拳銃に弾の入ったマガジンを装着して、動作の確認している。
「現場で拳銃を使うことはないかもしれない。だが殺し屋という職業にとって、拳銃を扱う技術は必須のものだ。しっかりやれ」
3人の高校生を指導するヒカルが言った。
アキラが拳銃を構え引き金を引くと、的を貫くブス、ブスッという音がかすかに響いた。
校門からは生徒たちが次々と出てくる。その中に話をしながら歩く三人の生徒もいる。
スマートだが肩幅が広く、美男子だがひょうきんな性格の荒木アキラ。ひょろりとしたお調子者の本山将太、小柄だががっちりした体格の横沢裕樹。
「将太、そうだったのか」
裕樹が将太に言った。
「何が?」
「ハルカのことだよ。好きなんだろ?」
「バカ言うな。それはアキラだ」
「おいおい、そんなこと言ってないだろ。冷たそうな美人だなって。恋愛対象にはならないだろ」
アキラが反論した。
「そういうことを言う裕樹が一番怪しい」
将太が裕樹にやり返す。
「バ、バカ言え」
その時、数人の生徒の向こうにセーラー服姿の美しい少女が現れ、アキラたちはその子に注目する。
その少女がハルカ。
「噂をすれば、来た」
「確かに美人だと思うよ。でも、いつも一人でいるし、あいつが笑ったとこなんて見たことがないもんな」
将太が裕樹の言葉を受けて言った。
「笑うなんて感情は持ってないんだろう」
アキラが冷静な口調で同意する。
「そこがいいんだろ。近寄りがたい雰囲気が」
「それはお前だけだ」
将太は祐樹に言った。
そんな言葉を交わしながら、三人は大通りを歩く。
「それじゃ、また明日」
アキラが二人に告げ、高いビルへと入っていった。
アキラに軽く手を振り、将太と裕樹はそのまま通りを歩いていく。
「アキラも大変だな。毎日毎日塾通いで」
裕樹が言った。
「アキラは頭いいからね」
「頭いいんならそんなに勉強しなくたってできるんじゃね?」
「うーん、そうかもね」
ビルの中の小さな部屋で、アキラは学生服のまま拳銃の手入れをしている。小型のオートマチックだ。
静かにドアが開き、アキラは咄嗟に銃を構える。
現れたのはハルカだった。
「先に来てるかと思った」
「ちょっと買い物してたから」
そう話すハルカに先ほどまでの冷たい雰囲気はない。
「なんだ、参考書か」
「違うよ」
「へえ、勉強家のハルカが参考書以外のものに興味があるのか?」
「バカなこと言わない」
ハルカは背負っていたリュックを部屋の隅にある机に置いた。
その時、また部屋のドアがスッと開く。
男が部屋に飛び込んできて床に転がり、立ち上がると拳銃をアキラに向ける。
だが、アキラの銃口はすでに男の額に向けられていた。
部屋に飛び込んできた男は同じ学生服姿だが、アキラよりがっちりした体格をしている。
名前は鈴木ハヤト。
「流石だな」
「何が流石だな、だよ。遅かったじゃんか」
「英語の補習だよ」
「13の時にはペラペラだったお前が?」
「俺は落ちこぼれだからね。特に英語が大の苦手」
「そうだったな」
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「何をしている。早く射撃の練習に行かんか」
「はい」
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アキラは拳銃に消音機を取り付ける。
少し離れた横でハルカが拳銃に弾の入ったマガジンを装着して、動作の確認している。
「現場で拳銃を使うことはないかもしれない。だが殺し屋という職業にとって、拳銃を扱う技術は必須のものだ。しっかりやれ」
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