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グルドフ旅行記・7 かわいい同行者
別れ
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翌朝、グルドフとポポンとセーラは村を旅立った。マーレイたち兵士は、王様の命令があるまで村に残るとのことだった。
大勢の村人が村の入り口に集まり、グルドフたちを見送った。
心からの数え切れないほどのお礼の言葉を贈られ、グルドフはその全てをありがたく頂戴し、心に刻みつけた。
セーラは何度も村人たちのほうを振り返り、頭を下げ、手を振った。
「人形さんをオオカミのところに置いてきちゃったね。最高傑作だったのに」
道を歩きながら、ポポンが残念そうに言った。
「それくらいはオオカミに寄付してやってもいいでしょう」
「そうだね。セーラさんと一生懸命作った人形だから、きっとオオカミも喜んでいるだろうね」
「そうだといいのですけれど」
セーラが微笑みながら言った。
三人はマットアンからドーアンの村に来た時と同じ道を逆にたどり、カーゴシスまで行って一泊し、ソノダガの町で一泊、イトデトの町で一泊した。
早朝にイトデトを発つために、宿のおかみのところに行ったグルドフは、手紙を渡された。
「ご一緒にここへ宿泊された娘さんから渡してくれと頼まれました。娘さんは今朝、先に宿を出ました」
おかみはグルドフに告げた。
「一人で出かけたのですか?」
「いえ、何人かお迎えの方がみえていたようです」
「そうですか」
グルドフは受け取った手紙を読み、ポポンに渡した。
「さようならも言わずに行ってしまったね」
手紙を読み終えたポポンは寂しそうに言った。
手紙には短く感謝の言葉と、別れの挨拶がしたためてあるだけだった。
「あの子がいたおかげで、今回の旅はまるで夢物語の中にいるような感じだったよ」
もう一度ポポンが言った。
「そうですな。不思議な娘さんでありましたな」
「この国のお姫様は大変な冒険好きと言われているようだけれど、まさかセーラさんが」
「いくら何でもそれはないでしょう。この国には冒険が好きな変わり者の娘さんが何人もいるらしいですな」
「王様にそれを聞かれたら、怒られるよ」
「冗談です。さ、気を取り直して出かけましょう」
「なんだか急に寂しくなっちゃったね」
ポポンはもう一度、言葉通り寂しそうに言った。
大勢の村人が村の入り口に集まり、グルドフたちを見送った。
心からの数え切れないほどのお礼の言葉を贈られ、グルドフはその全てをありがたく頂戴し、心に刻みつけた。
セーラは何度も村人たちのほうを振り返り、頭を下げ、手を振った。
「人形さんをオオカミのところに置いてきちゃったね。最高傑作だったのに」
道を歩きながら、ポポンが残念そうに言った。
「それくらいはオオカミに寄付してやってもいいでしょう」
「そうだね。セーラさんと一生懸命作った人形だから、きっとオオカミも喜んでいるだろうね」
「そうだといいのですけれど」
セーラが微笑みながら言った。
三人はマットアンからドーアンの村に来た時と同じ道を逆にたどり、カーゴシスまで行って一泊し、ソノダガの町で一泊、イトデトの町で一泊した。
早朝にイトデトを発つために、宿のおかみのところに行ったグルドフは、手紙を渡された。
「ご一緒にここへ宿泊された娘さんから渡してくれと頼まれました。娘さんは今朝、先に宿を出ました」
おかみはグルドフに告げた。
「一人で出かけたのですか?」
「いえ、何人かお迎えの方がみえていたようです」
「そうですか」
グルドフは受け取った手紙を読み、ポポンに渡した。
「さようならも言わずに行ってしまったね」
手紙を読み終えたポポンは寂しそうに言った。
手紙には短く感謝の言葉と、別れの挨拶がしたためてあるだけだった。
「あの子がいたおかげで、今回の旅はまるで夢物語の中にいるような感じだったよ」
もう一度ポポンが言った。
「そうですな。不思議な娘さんでありましたな」
「この国のお姫様は大変な冒険好きと言われているようだけれど、まさかセーラさんが」
「いくら何でもそれはないでしょう。この国には冒険が好きな変わり者の娘さんが何人もいるらしいですな」
「王様にそれを聞かれたら、怒られるよ」
「冗談です。さ、気を取り直して出かけましょう」
「なんだか急に寂しくなっちゃったね」
ポポンはもう一度、言葉通り寂しそうに言った。
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