グルドフ旅行記

原口源太郎

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グルドフ旅行記・7 かわいい同行者

二人で赤ちゃんを

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「赤い線の辺りはここの村人が、そして青い線は我々が捜索をしたところになります」
 マーレイが説明した。
「この矢印の方向に魔物が逃げ去ったといことでありますかな?」
「そうです」
「それ以前に魔物がこの村の近くに現れるということはよくありましたかな?」
「子供をさらった魔物は、遠くを飛んでいるのを見たことはありますが、この村の近くに降りるといったことはなかったと思います。また、大きな獣のような魔物は時折、家畜を襲うつもりなのか、姿を見ることがあります。その時は矢を放ち、追い払います」
 村長のシロタが答えた。
「子供をさらおうとした魔物に矢を放ったあと、さらに魔物は現れましたかな?」
 マーレイとシロタは顔を見合わせた。
「以後、一度も魔物の姿を見ていません」
「うむ」
 グルドフは地図を見て考え込んだ。
「取りあえず私は、明日からあなたたちが捜索した場所よりも先を調べてみましょう」
 少しの沈黙のあと、グルドフは言った。
「兵士たちも一緒に」
「いえ、身軽に動けた方がいいので、私一人で行ってきます。二、三日、遅くとも四日後には帰ってきます。空を飛ぶ魔物とはいえ、重い人間の子を掴んでそう遠くまでは行きますまい」
「わかりました。お願いします」
 マーレイが言った。
「ポポン殿とセーラ殿。二人は協力して赤ちゃんを作ってください」
「へ?」
 ポポンが奇妙な声を出した。
「ソラテで使った作戦をもう一度やってみましょう。子供の誘拐に失敗してから、魔物は姿を見せていないというので、うまくいかないかもしれませんが、とりあえずやってみましょう」
「ああ、赤ちゃんの偽物ね。人形でいいの?」
「はい。なるべく本物そっくりに作ってください。セーラ殿もお人形さん作りはしたことがありましょう?」
「はい」
「できれば後を追っていけるような工夫をしてくれるとありがたいですな」
「というと?」
 ポポンが尋ねた。
「紐の先にひらひらしたものを付けて遠くから見えるようにするとか、目印になるようなものがポロン、ポロンと落ちて行き先を追っていけるとか」
 グルドフが答えた。
「うーむ」
「そこら辺はお任せします」
「うーむ」
 ポポンは神妙な顔になって悩み始めた。
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