27 / 100
グルドフ旅行記・3 勇者をやっつけろ
勇者を岩で潰してしまえ!
しおりを挟む
高い岩山の上からのぞくと、はるか下を二人の人間が歩いているのが見えた。
(よし、できるだけ大きな岩を沢山集めろ。あまり物音を立てずにな)
オオカミ親分が子分の魔物たちに命令した。
そこは岩山なので、岩は沢山ある。皆苦労して大きな岩を運んできて、一か所に集めた。
(よし、こんなもんでいいだろう)
そう言ってオオカミ親分は下を見た。
(しまった! 勇者たちははるか先に行ってしまったぞ! あいつらの先回りをして準備をしなければだめだ)
そこは足の速い魔物たちだから、山から山へと駆け抜けていき、人間たちの先回りをした。辺りの山は岩山ばかりなので、場所はいくらでもあった。
(よし、ここでできるだけ沢山の岩を集めろ)
オオカミ親分が再び命令した。
子分たちは必死になって岩を運んできた。
小山ができるほど岩が集まったころ、子分たちはへとへとになってその場に座り込んだ。
(親分、来ましたぜ!)
コウモリ似のドラ吉がやってきて告げた。
(よし! 俺が合図をしたら、みんなで一斉に岩を落とすんだ!)
オオカミ親分はタイミングを計り、言った。
(よし! 今だ!)
子分たちは一斉に山の上から大きな岩を落とし始めた。
(どんどん落とせ、休むな休むな)
親分は子分たちを急き立てた。
下の道を歩いていた勇者が音に気付いて上を見上げると、年配の男の荷物を奪うように取り上げ、走り出した。年配の方も岩を避けながら前へと走り出した。
(しまった、もっと前のほうへ転がせ!)
オオカミ親分が命じたが、もう岩は残っていなかった。誰もいない場所を、沢山の岩がむなしく転がり落ちていった。
その時、一本の矢が飛んできて、子分の足に刺さった。
(いて!)
続いてもう一本の矢が親分のすぐ横を、ピュッと音を立てて飛び去った。見ると勇者が弓を構え、矢を放っている。
(逃げろ、逃げろ!)
魔物たちは一斉にアジトに向かって駆け出した。
親分は矢が刺さった子分の足の手当てをしてやっていた。
もう日が暮れようとしている。
(まさか飛び道具まで持っているとはな)
オオカミ親分はそう言って子分の魔物たちを見まわした。
(誰か勇者をやっつけるいい考えが浮かんだ奴はいねえのかよ!)
親分は怒鳴り散らしたが、自分もいい考えは浮かんでこなかった。
夜も更けるころ、勇者たちを見張っていたドラ吉がやって来た。
(あいつら、テントを張って、中でガーガー寝てますぜ)
(見張りも立てずに、二人とも寝込んでやがるというのか?)
(へい。これはまたとないチャンスじゃねぇかと)
(よし、みんなで寝込みを襲うぞ。今度は武器を持っていけ)
オオカミ親分を先頭に、魔物たちは洞窟を飛び出して駆けていった。
(よし、できるだけ大きな岩を沢山集めろ。あまり物音を立てずにな)
オオカミ親分が子分の魔物たちに命令した。
そこは岩山なので、岩は沢山ある。皆苦労して大きな岩を運んできて、一か所に集めた。
(よし、こんなもんでいいだろう)
そう言ってオオカミ親分は下を見た。
(しまった! 勇者たちははるか先に行ってしまったぞ! あいつらの先回りをして準備をしなければだめだ)
そこは足の速い魔物たちだから、山から山へと駆け抜けていき、人間たちの先回りをした。辺りの山は岩山ばかりなので、場所はいくらでもあった。
(よし、ここでできるだけ沢山の岩を集めろ)
オオカミ親分が再び命令した。
子分たちは必死になって岩を運んできた。
小山ができるほど岩が集まったころ、子分たちはへとへとになってその場に座り込んだ。
(親分、来ましたぜ!)
コウモリ似のドラ吉がやってきて告げた。
(よし! 俺が合図をしたら、みんなで一斉に岩を落とすんだ!)
オオカミ親分はタイミングを計り、言った。
(よし! 今だ!)
子分たちは一斉に山の上から大きな岩を落とし始めた。
(どんどん落とせ、休むな休むな)
親分は子分たちを急き立てた。
下の道を歩いていた勇者が音に気付いて上を見上げると、年配の男の荷物を奪うように取り上げ、走り出した。年配の方も岩を避けながら前へと走り出した。
(しまった、もっと前のほうへ転がせ!)
オオカミ親分が命じたが、もう岩は残っていなかった。誰もいない場所を、沢山の岩がむなしく転がり落ちていった。
その時、一本の矢が飛んできて、子分の足に刺さった。
(いて!)
続いてもう一本の矢が親分のすぐ横を、ピュッと音を立てて飛び去った。見ると勇者が弓を構え、矢を放っている。
(逃げろ、逃げろ!)
魔物たちは一斉にアジトに向かって駆け出した。
親分は矢が刺さった子分の足の手当てをしてやっていた。
もう日が暮れようとしている。
(まさか飛び道具まで持っているとはな)
オオカミ親分はそう言って子分の魔物たちを見まわした。
(誰か勇者をやっつけるいい考えが浮かんだ奴はいねえのかよ!)
親分は怒鳴り散らしたが、自分もいい考えは浮かんでこなかった。
夜も更けるころ、勇者たちを見張っていたドラ吉がやって来た。
(あいつら、テントを張って、中でガーガー寝てますぜ)
(見張りも立てずに、二人とも寝込んでやがるというのか?)
(へい。これはまたとないチャンスじゃねぇかと)
(よし、みんなで寝込みを襲うぞ。今度は武器を持っていけ)
オオカミ親分を先頭に、魔物たちは洞窟を飛び出して駆けていった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる