グルドフ旅行記

原口源太郎

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グルドフ旅行記・2 お宝を盗んだ犯人は

グルドフの推理

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 グルドフは宿に戻ると、宿屋の主人に明日も泊まるという予約を入れ、ことによったらもう二、三日宿泊することになるかもしれないと伝えた。
「また道草かね?」
 部屋に入ると、ポポンは不満そうに言った。
「嫌ですか?」
「いや、まあ、嫌じゃないけどさ」
「勇者としては、困っている人を見たら放ってはおけないでしょう」
「そなたはもう勇者じゃないのだから」
「それより、お宝について考えてみましょう」
「頑張ってね、名探偵」
「茶化さないでください。百五十年前の勇者のこととはいえ、べレストにいる元勇者に話を聞けば、何かわかるかもしれません」
「二日もかけて、またあそこまで戻るのかい?」
「まあ、そこまですることもありませんな。村長さんも二、三日探してくれるだけでいいと言っていたわけですし」
「そうだよ。適当にチャチャッとやっちゃえばいいの」
「そういう訳にはいきません。それではドラゴンについて考えてみましょう。ドラゴンが持っていそうな物というと、一番多いのはドラゴンの剣ですかな」
「自分じゃ使えないくせに、なぜか剣を持っている奴が多いんだよね」
「他にはドラゴンの鎧やドラゴンの兜」
 それらはドラゴンが身に付けるために持っているのではない。ドラゴンの鱗は硬いため、ドラゴンを倒すとその鱗を剥いで、人間たちが鎧や兜に仕立てる。ドラゴンはドラゴンの鎧や兜を身に付けている人間を見ると、殺された仲間のことを思い、その者を特に集中的に攻撃し、鎧や兜を奪っていく。だからドラゴンはドラゴンの鱗で作られた鎧や兜を持っていることがよくある。
 それは今まで数え切れないほどのドラゴンを倒してきたグルドフやポポンだからこそ知っていることだった。
「ドラゴンの剣は箱に入らないね」
 ポポンが言った。
「鎧か兜なら、折り畳めば何とか入りますかな?」
「難しいだろうね」
「箱を振ったらガタガタと音がしたと言っていましたから、鎧と兜も違う気がしますね。他には・・・・、ドラゴンが持っていそうな物というと、玉ですか?」
「それはあるかも。なかなか持っているドラゴンが少ないレアアイテムだ」
 ポポンがグルドフに同意した。
「ドラゴンの玉を村のお宝にしたという可能性は高いですね」
「玉だ、玉。きっとそうだ。あとは誰が犯人かだ」
「それは、まあ、明日のお楽しみということで」
「何だ、犯人ももうわかっているのか?」
「いえ、まだですよ」
 グルドフは素知らぬ顔で言った。
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