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グルドフ旅行記・1 ジング王国の少年
元魔法使い
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武道家の話によると、元魔法使いの店はとても繁盛していて、正午をかなり回ったこの時間でもまだ客で混雑しているだろうとのことだった。
レストランに行くと、グルドフは数少ない空いたテーブルについて、ランチを注文した。
食事を終え、客の引くのを待ってから、店の主人を呼んだ。
「私、ゲルグ王国で勇者をしていたグルドフと申す者です」
「あっ。どこかでお見かけした顔だなとは思ったのですが。どうぞお座りください」
椅子から立ち上がって元魔法使いに挨拶したグルドフに、店の主人はもう一度座るよう勧めた。
「早速ですが・・・・」
グルドフは王様から頼まれたことと、元勇者の家に行ったことと、武道家の道場に行ったことを話した。
「そうですか。魔法使いなんてものは、冒険がなければ全く役に立たない商売です。勇者殿が引退したときに、私も魔法使いを辞めて、好きだった料理で身を立てるべくこの店を始めたのです。始めたころは色々ありましたが、すぐに経営も軌道に乗りまして、もう魔法使いの仕事をすることもないだろうと、魔法の道具はすべて処分してしまいました。私の息子も一緒に仕事をしていまして、今では腕のいいシェフになっています」
「そうですか。勇者になれそうな人間の当ては・・・・」
「申し訳ありませんが、ないですね。この国は資源が乏しく、国民の多くは農業や酪農に従事しています。そんな関係で、争いを好まぬ気風のため勇者や冒険者になろうという者はなかなかいないのですよ」
「そうですか。それはそれでいいことではありますが、私にとっては、それはそれで困ったことでありますな」
「なんだか王様は無理難題をあなた様に押し付けてしまったようで、申し訳ありません」
「いやいや、あなたに謝ってもらう必要はありません」
グルドフは元魔法使いの店を出ると、町の中をあちこち歩き回った。
小さな町なので、夕方、宿に帰る頃には全ての通りを歩きつくしてしまっていた。
レストランに行くと、グルドフは数少ない空いたテーブルについて、ランチを注文した。
食事を終え、客の引くのを待ってから、店の主人を呼んだ。
「私、ゲルグ王国で勇者をしていたグルドフと申す者です」
「あっ。どこかでお見かけした顔だなとは思ったのですが。どうぞお座りください」
椅子から立ち上がって元魔法使いに挨拶したグルドフに、店の主人はもう一度座るよう勧めた。
「早速ですが・・・・」
グルドフは王様から頼まれたことと、元勇者の家に行ったことと、武道家の道場に行ったことを話した。
「そうですか。魔法使いなんてものは、冒険がなければ全く役に立たない商売です。勇者殿が引退したときに、私も魔法使いを辞めて、好きだった料理で身を立てるべくこの店を始めたのです。始めたころは色々ありましたが、すぐに経営も軌道に乗りまして、もう魔法使いの仕事をすることもないだろうと、魔法の道具はすべて処分してしまいました。私の息子も一緒に仕事をしていまして、今では腕のいいシェフになっています」
「そうですか。勇者になれそうな人間の当ては・・・・」
「申し訳ありませんが、ないですね。この国は資源が乏しく、国民の多くは農業や酪農に従事しています。そんな関係で、争いを好まぬ気風のため勇者や冒険者になろうという者はなかなかいないのですよ」
「そうですか。それはそれでいいことではありますが、私にとっては、それはそれで困ったことでありますな」
「なんだか王様は無理難題をあなた様に押し付けてしまったようで、申し訳ありません」
「いやいや、あなたに謝ってもらう必要はありません」
グルドフは元魔法使いの店を出ると、町の中をあちこち歩き回った。
小さな町なので、夕方、宿に帰る頃には全ての通りを歩きつくしてしまっていた。
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