29 / 46
第三章
4
しおりを挟む 他に売れそうなものはないかと聞かれたので、特にこれといったものはないんだけど、しいて言えば革のベルトもいいんじゃないかと言ってみた。あと、革パンツやベストで、もちろんポケット付き。
「ふむ……ベルトですか」
「あい。しょのままもいいんでしゅけろ、しゃりげにゃいおしゃれとして、かわをほしょくしゃいてあみこんでもいいとおもうんでしゅよ」
「なるほど……。そうねぇ……こんな感じかしら?」
「お~、しゃしゅがキャシーしゃん! しょうでしゅ!」
「あら、これなら女性もさり気ないおしゃれとして腰に巻けるわね」
編み込んだベルトという言葉でなにやら思いついたのか、革の切れ端をベルトのように細長くしたあと、さらにそこに切れ込みを入れて器用に編んでいく。すると、日本でも見たことがある、編み込みの革ベルトが出来上がっていた。
とはいえ、あくまでも試作なので切り込みを入れた部分の処理やほつれないようにするにはどうするかとか、革によっての耐久性を調べなければわからないが、そこは鎧にもなっちゃうくらい頑丈な革。なので、耐久性は合格なわけで。
あとはほつれなどの問題を解決すればOKとなった。
他にも、ポンチョの提案をしてみた。外套よりは短いけれど、ケープよりも長いサイズで、マントよりは動きやすいと思うんだよね。
特に、新人冒険者の女の子にはいいと思う。
「うしゅいかわにゃら、しゅしょにししゅうをしてもいいとおもうんでしゅ」
「しゅしょ? ああ、裾ね。そうねぇ、オークなら比較的薄い皮だし、蜘蛛の糸ならできるわね」
「女の子だもの、おしゃれはしたいわよね」
「そうよね! 町の中用と、冒険用に分けてもいいんじゃないかしら! アタシが頑張って作るわよ!」
「「てことで、ステラ、デザインよろしくね!」」
「あ、あい!」
キャシーさんとセレスさんの圧が凄い……! 言い出しっぺなので、頑張ってデザインするさ!
そんな話から、トートバッグももうちょっと可愛いデザインが欲しいだの、男性用のマジックバッグも、もっといろんなデザインがあってもいいだのと、私の提案が呼び水になったのか、いろんな意見が出てくる。
なぜかポーションホルダーも欲しいと、バトラーさんとテトさんから意見が出た。
ポーションホルダーとはなんぞやと疑問に思いつつ、彼らの話聞きながら、若干圧がかかったにっこにこ笑顔で紙とペンをセバスさんに渡された私は、ポンチョの基本的な形と二、三点のデザインを起こす。そこに大きく作ればリュックを背負ったまま歩けること、雨を弾く素材なら雨合羽になることも明記しておく。
刺繍についてはまだこの世界の基準がわからないので、そこは丸投げした。
あとは鞄の形も描いてと言われ、日本や海外で見た形を描いていく。マチの幅はもちろんのこと、縦横の長さ、ポケットはどの位置か、リュックも女性や少年少女が背負えるサイズを描いたり、冒険者だけではなく小さなお子さんが背負えるようなものまで描いてみた。
幼児な私でも背負えるようなものだ。
たとえばデフォルメした人気のある魔物や神獣を模したものをリュックにしたりね。これはぬいぐるみを見て、そういえば日本にそんなリュックがあったなあと思い出したからこそ、描いたものだったり。
おかあさんもさ、子どもが背負ってる中にタオルやハンカチ、水筒やお菓子を入れられる鞄があれば楽だと思うんだよね。三歳くらいになれば自分でやってみたい! と言うだろうし。
そうなった時に、これに入れておでかけしましょうと言えば、率先してやってくれる気がする。とはいえ、ここは異世界なので、甥っ子や姪っ子たちがやっていたことがこの世界で通用するかどうかは聞いてみなければ。
そんなことをしているとアルバートさんが帰ってきた。のはいいが、私をほったらかしてセバスさん以外が白熱したように意見を出し合っていたものだから、アルバートさんが唖然とした顔をして目を白黒させてた。
すぐに我に返って大人たちをとめたあと、どうしてそんなことになったのか話を聞いたアルバートさんは、私が描いたデザイン画を眺めて一言。
「腕のいい職人と工房を紹介しようか?」
その言葉に、渡りに船とばかりにセバスさんが頷いた。
そこからは着替えなどを渡されたセバスさんがアルバートさんにお金を払い、やっとのことで晩ご飯。宝石のカットに関しては簡単そうなものを二点ほど描いたところでストップがかかり、残りは明日以降となった。
「ふむ……ベルトですか」
「あい。しょのままもいいんでしゅけろ、しゃりげにゃいおしゃれとして、かわをほしょくしゃいてあみこんでもいいとおもうんでしゅよ」
「なるほど……。そうねぇ……こんな感じかしら?」
「お~、しゃしゅがキャシーしゃん! しょうでしゅ!」
「あら、これなら女性もさり気ないおしゃれとして腰に巻けるわね」
編み込んだベルトという言葉でなにやら思いついたのか、革の切れ端をベルトのように細長くしたあと、さらにそこに切れ込みを入れて器用に編んでいく。すると、日本でも見たことがある、編み込みの革ベルトが出来上がっていた。
とはいえ、あくまでも試作なので切り込みを入れた部分の処理やほつれないようにするにはどうするかとか、革によっての耐久性を調べなければわからないが、そこは鎧にもなっちゃうくらい頑丈な革。なので、耐久性は合格なわけで。
あとはほつれなどの問題を解決すればOKとなった。
他にも、ポンチョの提案をしてみた。外套よりは短いけれど、ケープよりも長いサイズで、マントよりは動きやすいと思うんだよね。
特に、新人冒険者の女の子にはいいと思う。
「うしゅいかわにゃら、しゅしょにししゅうをしてもいいとおもうんでしゅ」
「しゅしょ? ああ、裾ね。そうねぇ、オークなら比較的薄い皮だし、蜘蛛の糸ならできるわね」
「女の子だもの、おしゃれはしたいわよね」
「そうよね! 町の中用と、冒険用に分けてもいいんじゃないかしら! アタシが頑張って作るわよ!」
「「てことで、ステラ、デザインよろしくね!」」
「あ、あい!」
キャシーさんとセレスさんの圧が凄い……! 言い出しっぺなので、頑張ってデザインするさ!
そんな話から、トートバッグももうちょっと可愛いデザインが欲しいだの、男性用のマジックバッグも、もっといろんなデザインがあってもいいだのと、私の提案が呼び水になったのか、いろんな意見が出てくる。
なぜかポーションホルダーも欲しいと、バトラーさんとテトさんから意見が出た。
ポーションホルダーとはなんぞやと疑問に思いつつ、彼らの話聞きながら、若干圧がかかったにっこにこ笑顔で紙とペンをセバスさんに渡された私は、ポンチョの基本的な形と二、三点のデザインを起こす。そこに大きく作ればリュックを背負ったまま歩けること、雨を弾く素材なら雨合羽になることも明記しておく。
刺繍についてはまだこの世界の基準がわからないので、そこは丸投げした。
あとは鞄の形も描いてと言われ、日本や海外で見た形を描いていく。マチの幅はもちろんのこと、縦横の長さ、ポケットはどの位置か、リュックも女性や少年少女が背負えるサイズを描いたり、冒険者だけではなく小さなお子さんが背負えるようなものまで描いてみた。
幼児な私でも背負えるようなものだ。
たとえばデフォルメした人気のある魔物や神獣を模したものをリュックにしたりね。これはぬいぐるみを見て、そういえば日本にそんなリュックがあったなあと思い出したからこそ、描いたものだったり。
おかあさんもさ、子どもが背負ってる中にタオルやハンカチ、水筒やお菓子を入れられる鞄があれば楽だと思うんだよね。三歳くらいになれば自分でやってみたい! と言うだろうし。
そうなった時に、これに入れておでかけしましょうと言えば、率先してやってくれる気がする。とはいえ、ここは異世界なので、甥っ子や姪っ子たちがやっていたことがこの世界で通用するかどうかは聞いてみなければ。
そんなことをしているとアルバートさんが帰ってきた。のはいいが、私をほったらかしてセバスさん以外が白熱したように意見を出し合っていたものだから、アルバートさんが唖然とした顔をして目を白黒させてた。
すぐに我に返って大人たちをとめたあと、どうしてそんなことになったのか話を聞いたアルバートさんは、私が描いたデザイン画を眺めて一言。
「腕のいい職人と工房を紹介しようか?」
その言葉に、渡りに船とばかりにセバスさんが頷いた。
そこからは着替えなどを渡されたセバスさんがアルバートさんにお金を払い、やっとのことで晩ご飯。宝石のカットに関しては簡単そうなものを二点ほど描いたところでストップがかかり、残りは明日以降となった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
【完結】知られてはいけない
ひなこ
ホラー
中学一年の女子・遠野莉々亜(とおの・りりあ)は、黒い封筒を開けたせいで仮想空間の学校へ閉じ込められる。
他にも中一から中三の男女十五人が同じように誘拐されて、現実世界に帰る一人になるために戦わなければならない。
登録させられた「あなたの大切なものは?」を、互いにバトルで当てあって相手の票を集めるデスゲーム。
勝ち残りと友情を天秤にかけて、ゲームは進んでいく。
一つ年上の男子・加川準(かがわ・じゅん)は敵か味方か?莉々亜は果たして、元の世界へ帰ることができるのか?
心理戦が飛び交う、四日間の戦いの物語。
(第二回きずな文学賞で奨励賞受賞)
無能な陰陽師
もちっぱち
ホラー
警視庁の詛呪対策本部に所属する無能な陰陽師と呼ばれる土御門迅はある仕事を任せられていた。
スマホ名前登録『鬼』の上司とともに
次々と起こる事件を解決していく物語
※とてもグロテスク表現入れております
お食事中や苦手な方はご遠慮ください
こちらの作品は、
実在する名前と人物とは
一切関係ありません
すべてフィクションとなっております。
※R指定※
表紙イラスト:名無死 様

トゴウ様
真霜ナオ
ホラー
MyTube(マイチューブ)配信者として伸び悩んでいたユージは、配信仲間と共に都市伝説を試すこととなる。
「トゴウ様」と呼ばれるそれは、とある条件をクリアすれば、どんな願いも叶えてくれるというのだ。
「動画をバズらせたい」という願いを叶えるため、配信仲間と共に廃校を訪れた。
霊的なものは信じないユージだが、そこで仲間の一人が不審死を遂げてしまう。
トゴウ様の呪いを恐れて儀式を中断しようとするも、ルールを破れば全員が呪い殺されてしまうと知る。
誰も予想していなかった、逃れられない恐怖の始まりだった。
「第5回ホラー・ミステリー小説大賞」奨励賞をいただきました!
他サイト様にも投稿しています。
ルッキズムデスゲーム
はの
ホラー
『ただいまから、ルッキズムデスゲームを行います』
とある高校で唐突に始まったのは、容姿の良い人間から殺されるルッキズムデスゲーム。
知力も運も役に立たない、無慈悲なゲームが幕を開けた。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
リモート刑事 笹本翔
雨垂 一滴
ミステリー
『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。
主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。
それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。
物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。
翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?
翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!
【完結】大量焼死体遺棄事件まとめサイト/裏サイド
まみ夜
ホラー
ここは、2008年2月09日朝に報道された、全国十ケ所総数六十体以上の「大量焼死体遺棄事件」のまとめサイトです。
事件の上澄みでしかない、ニュース報道とネット情報が序章であり終章。
一年以上も前に、偶然「写本」のネット検索から、オカルトな事件に巻き込まれた女性のブログ。
その家族が、彼女を探すことで、日常を踏み越える恐怖を、誰かに相談したかったブログまでが第一章。
そして、事件の、悪意の裏側が第二章です。
ホラーもミステリーと同じで、ラストがないと評価しづらいため、短編集でない長編はweb掲載には向かないジャンルです。
そのため、第一章にて、表向きのラストを用意しました。
第二章では、その裏側が明らかになり、予想を裏切れれば、とも思いますので、お付き合いください。
表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる