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第三章
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旅に出てから半年後にパフラットが帰ってきた。
道場でパフラットを見たブルゼノは驚いた。体が二回りくらい大きくなっている。髭を蓄えた顔に精悍な目つき。別人のようだった。
パフラットは旅の報告をするために王様のもとに行った。
パフラットの話を聞いた王様はパフラットを武道家として正式に認め、兵士たちに武術の指導をする仕事を与えた。
「グルドフさんから世の中には優れた武道家がたくさんいるし、グルドフさんを上回る剣の使い手もいると聞いた時から、外の世界を見てみたいと考えていました」
パフラットは道場に戻ってくると、ブルゼノとセイナ、ババロンを呼び、話し始めた。
「ブルゼノ君やセイナさん、ババロン君がどんどん力をつけていくことは嬉しいことでしたが、それに比べて私は進歩のない日々を過ごしていました。このままではいけないと思いグルドフさんから聞いていたマットアン王国にあるターロウという人の道場に行き、教えを乞うことにしたのです。そして短い間でしたがとても多くのことを学ぶことができました。まだまだ至らないところは沢山ありますが、これからも一緒に頑張っていきましょう」
パフラットは力強く言った。
「僕も修行の旅に行きます」
パフラットの話を聞き終えてババロンが言った。
パフラットはわかっていたかのように頷いた。
「マットアン王国には、魔法を学び、修行をしている人たちがいると聞きました。他国に行き学ぶことは大切なことだと思います。将来冒険家になるために必要なことでしょう」
パフラットの言葉に、ババロンは深く頷いた。
ババロンは王様の許しを得、経験豊富な兵士二人と共に旅に出た。
魔法使いの師匠や修行を重ねてきた仲間たち、そのほか数人の者が町を囲む城壁の門で、三人を見送った。
パフラットもババロンも自分はもっと成長しなければならない、そう思い、どうすればいいかを考える日々を過ごしていたから物思いに沈んだように見えたのだろう。
そう考えながらブルゼノは隣に立つセイナを見た。
セイナも少し前から変わった。
セイナも同じように考えているのだろうか。
大人びてきたセイナの横顔から再び視線を戻し、ブルゼノは小さくなっていくババロンの姿を見つめた。
ババロンが旅に出た二日後にセイナが姿を消した。
道場でパフラットを見たブルゼノは驚いた。体が二回りくらい大きくなっている。髭を蓄えた顔に精悍な目つき。別人のようだった。
パフラットは旅の報告をするために王様のもとに行った。
パフラットの話を聞いた王様はパフラットを武道家として正式に認め、兵士たちに武術の指導をする仕事を与えた。
「グルドフさんから世の中には優れた武道家がたくさんいるし、グルドフさんを上回る剣の使い手もいると聞いた時から、外の世界を見てみたいと考えていました」
パフラットは道場に戻ってくると、ブルゼノとセイナ、ババロンを呼び、話し始めた。
「ブルゼノ君やセイナさん、ババロン君がどんどん力をつけていくことは嬉しいことでしたが、それに比べて私は進歩のない日々を過ごしていました。このままではいけないと思いグルドフさんから聞いていたマットアン王国にあるターロウという人の道場に行き、教えを乞うことにしたのです。そして短い間でしたがとても多くのことを学ぶことができました。まだまだ至らないところは沢山ありますが、これからも一緒に頑張っていきましょう」
パフラットは力強く言った。
「僕も修行の旅に行きます」
パフラットの話を聞き終えてババロンが言った。
パフラットはわかっていたかのように頷いた。
「マットアン王国には、魔法を学び、修行をしている人たちがいると聞きました。他国に行き学ぶことは大切なことだと思います。将来冒険家になるために必要なことでしょう」
パフラットの言葉に、ババロンは深く頷いた。
ババロンは王様の許しを得、経験豊富な兵士二人と共に旅に出た。
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パフラットもババロンも自分はもっと成長しなければならない、そう思い、どうすればいいかを考える日々を過ごしていたから物思いに沈んだように見えたのだろう。
そう考えながらブルゼノは隣に立つセイナを見た。
セイナも少し前から変わった。
セイナも同じように考えているのだろうか。
大人びてきたセイナの横顔から再び視線を戻し、ブルゼノは小さくなっていくババロンの姿を見つめた。
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