いつか君に巡り逢える

原口源太郎

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第3章

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 優菜の長い髪が、やわらかい風に吹かれてキラキラと輝きながら揺れている。
 僕は優菜と初めてのデートで遊園地に来た。ゴールデンウィーク前だけど、それでも大勢の人でごった返している。
 優菜は一番最初に人気のジェットコースターに乗りたいと言った。僕は正直、その手の物は苦手だけど、そうも言ってられない。
 順番を待つ列に並んでいる時に、向こうからやって来る人たちの中に見たことのある三人を見つけた。
「優菜、同じ高校のヤツだ。多分二年生」
 僕は三人の女の子の目から優菜を隠すようにして背を向けた。
「俺の陰からちらっと見てみて。小さな二人の子供を連れた家族の後ろ」
「あ、いた」
「このジェットコースターに乗るみたい?」
「んー。あっ」
 優菜がとっさに身を隠すように顔を引っ込めた。
「どうした?」
「こっちを見たの。多分ここに並んでいる人たちを見て、ジェットコースターに乗るかどうか考えているみたい」
 まさか同じ高校の生徒がいるとは考えていなかった。でも、考えてみれば十分にありうることだ。
 優菜がもう一度そろそろと僕の背中越しに顔を出す。
「あっちに行っちゃった。別の乗り物に乗るみたい」
 優菜の言葉を聞いて僕は振り向いた。
 三人の女の子の背中が小さくなっていく。僕は服装と特徴を覚えた。遠くからでもすぐにわかるように。
 その後、僕たちはジェットコースターに乗り込んだ。

 優菜は興奮していた。ジェットコースターはお気に召したらしい。
 僕はといえば、おしっこちびりそうな思いだった。もう二度と乗りたくないというのが正直な感想だ。
 でも優菜はまだ別のジェットコースターに乗りたそうだし、僕も数を乗れば少しは慣れるかな。そう思って自分を奮い立たせた。
 いくつかのアトラクションをこなし、僕は心身共にくたくたになった。おまけに同じ高校の三人組がいつ現れるかと常に注意をしていなければならない。
 僕たちは(というよりは僕は)少し気分を落ち着けるために、キャラクターグッズが大量に並ぶ店に入った。
 ところが、店の中も大勢の人がいて、僕はげんなりした。
 優菜は元気だ。興味ありげに次から次へと色々な物を見ていく。僕は優菜の様々な商品に関する感想を聞きながら後に付いて歩いた。
 と、例の三人が売店に入ってくるのに気が付いた。
「優菜、三人が来た。何か買いたいものは決まった?」
「ううん、まだ」
 優菜が可愛く首を振る。
「俺は先に出て、遊園地の入口の近くのあまり人のいないような所にいるから。ゆっくりしてていいよ」
「うん」
 僕は同じ高校の三人から距離を置くように、こそこそと売店の壁際を通って外に出た。

 優菜は自分用と姉と家族と、それに僕にも記念にとちょっとした小物を買ってきてくれた。
 僕は誰にも遊園地に来ることは言ってないし、自分のためにお土産を買うつもりもなかったから何も買わなかった。本当は優菜に何か買ってやりたかったけれど、仕方がない。
 その後、何度かあの三人に遭遇しかけ、僕たちはこそこそと逃げ回りながら、さらにいくつかのアトラクションを楽しんだ。
 遊園地の乗り物に乗ることと、三人組の女の子から逃れることの両方のスリルを味わい、終わってみれば僕も優菜も、多分普通の二倍くらいは楽しんだ。
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