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第1章
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約束した時間に、僕は優花の住むマンションに行った。優花の家に行くのは初めてだった。
優花の様子から、彼女らしき人物はそのマンションにはいないようだけど、何か心当たりがあるのは間違いない。それとも、もっと別のことが待ち受けているのだろうか。
僕は初めて訪れる家のベルをドキドキしながら押した。
すぐにドアが開き、優花が顔を出す。ゆったりとした可愛い服を着てて、僕はドキッとした。
「どうぞ」
優花に案内されて僕は居間に通された。
まだ新しいマンションだ。部屋はきれいで広い。大きな窓から、十一月の柔らかく気持ちのいい日差しが入ってくる。優花の家は八階にあるから、見晴らしもいい。自分のちびた一軒家と比べて、ここの暮らしが羨ましくなった。
「凄いとこだなあ」
僕は正直な感想を言った。
「テレビでも見てて。コーヒー入れてくるから」
そう言ってテレビのリモコンを僕に渡し、優花は部屋を出ていった。
僕はバカでかいテレビの電源を入れた。日曜日の午前中だから、面白そうなものはやってない。NHKの将棋にして画面を見つめた。
すぐに優花は戻ってきた。手ぶらだ。
僕と向かい合うようにソファに座る。
「ところで、会ってどうするつもり?」
いきなり優花が切り出した。
「え? 会えるの?」
僕はびっくりした。それらしき人の名前を教えてくれるか、写真でも見せてくれるのだろうくらいにしか思っていなかった。
優花はすぐにそれを読み取った。
「いきなり会わせてもらっても困る?」
「そうだなあ。正直、会ってどうしようかなんて、考えてなかった。ただどんな人か、知りたいなって。それじゃ、誰だかわかったの?」
「まあね」
優花はとぼけた笑顔で僕を見る。
「お前の知り合いなの?」
「うん」
その時、ドアをノックする音がした。
僕はびっくりした。両親はいないって言ってなかったっけ?
慌てて姿勢を正す。
優花の様子から、彼女らしき人物はそのマンションにはいないようだけど、何か心当たりがあるのは間違いない。それとも、もっと別のことが待ち受けているのだろうか。
僕は初めて訪れる家のベルをドキドキしながら押した。
すぐにドアが開き、優花が顔を出す。ゆったりとした可愛い服を着てて、僕はドキッとした。
「どうぞ」
優花に案内されて僕は居間に通された。
まだ新しいマンションだ。部屋はきれいで広い。大きな窓から、十一月の柔らかく気持ちのいい日差しが入ってくる。優花の家は八階にあるから、見晴らしもいい。自分のちびた一軒家と比べて、ここの暮らしが羨ましくなった。
「凄いとこだなあ」
僕は正直な感想を言った。
「テレビでも見てて。コーヒー入れてくるから」
そう言ってテレビのリモコンを僕に渡し、優花は部屋を出ていった。
僕はバカでかいテレビの電源を入れた。日曜日の午前中だから、面白そうなものはやってない。NHKの将棋にして画面を見つめた。
すぐに優花は戻ってきた。手ぶらだ。
僕と向かい合うようにソファに座る。
「ところで、会ってどうするつもり?」
いきなり優花が切り出した。
「え? 会えるの?」
僕はびっくりした。それらしき人の名前を教えてくれるか、写真でも見せてくれるのだろうくらいにしか思っていなかった。
優花はすぐにそれを読み取った。
「いきなり会わせてもらっても困る?」
「そうだなあ。正直、会ってどうしようかなんて、考えてなかった。ただどんな人か、知りたいなって。それじゃ、誰だかわかったの?」
「まあね」
優花はとぼけた笑顔で僕を見る。
「お前の知り合いなの?」
「うん」
その時、ドアをノックする音がした。
僕はびっくりした。両親はいないって言ってなかったっけ?
慌てて姿勢を正す。
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