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君がいる今 30話
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―アキラー
サンサンの太陽。
水がいくらあっても足りない、冷房の効いていない教室の中。
みんなが、夏期講習を終えて帰ったり、部活に行ったりしているのにどうして俺だけ
「追試なんだー!!」
「うるせぇーよ、スーザン!!自業自得だろ!!ちゃんと授業を聞け!」
頑張って欠点回避したのに、唯一追試になった社会…
「覚えるしかない!」と言われ、勉強がおろそかになってしまっていた。
結果、三上が担当する補習授業を受けている。
「なぁ、みかみ~文化祭クラス一位に貢献したからいいだろ~ちょっとくらいの点数救ってくれよ~」
「ば~か!それとこれとは別だ!それと俺を呼び捨てするな!」
「ちぇー三上のけちんぼ」
キーンコーンカーンコーン
バカみたいな言い合いをしている間に補習終了のチャイムが鳴った。
「お前のせいで終わったじゃないか!今日の課題倍にしておくからな!」
「ゲッ!まじかよ…」
三上は、倍に増やした課題を俺の机に置いて教室を出て行った。
課題の量を見て、机にうつ伏せになっていると、誰かの足音がした。
「いた!アキラお前!!」
「ちょ、何!?」
いきなり教室に来た新太は俺に殴りに来る勢いで胸ぐらを掴んできた。
「お前また柏木さんに何かしただろ!」
「あぁ、そのことね…」
補習を受けていて、部活に参加してなかったから気づかなかったみたいだけど、今の発言的に南ちゃんの元気がないみたいだ。
元気のない理由は、来海翼、いやユーラの事…
「その事については、俺が原因じゃない。俺のことを信じられないなら、本人に聞いてみたら?俺が原因だったら、話してくれると思うよ」
「なんだよそれ…」
新太は、ゆっくりと胸ぐらを掴んだ手を放していった。
「まぁ、そう怒ったり考えたりしないで、南ちゃん、新太、つとむ、美稀ちゃん、俺の5人で花火大会にでも行こうぜ!ちょうど追試終わった後だし!」
俺が明るく振舞い、花火大会に誘うと新太は下を向いた。
「俺、その日行けない」
「なんか用事でもあんのか?」
「何もねぇーよ…ってかなんでお前といかなきゃいけねーんだよ!!」
怒りながら、新太は教室を出て行った。
新太が行けない理由には、何か深い理由があると思った。
やっぱりこの前のことで俺がくよくよしている場合じゃない。
こんな事じゃ、南ちゃんの恋を実らせることができない。
南ちゃんの恋を…
最優先にしなきゃいけない。
昇降口に向かうと、参考書を読んでいるつとむがいた。
「やっときましたか…」
「つとむ?もしかして俺を待ってたのか?」
俺の質問につとむは頷いた。
話によると新太が俺のいる教室に向かっているのを見て、何かあったのでは?と心配になって、待っていてくれていたみたいだ。
内緒にすることでもないから、中庭に行き、つとむにさっきのことを話した。
つとむは頭を抱えた。
「だから、何かあったら話してって言ったのに…」
「何のことだ?」
「実は、あの舞台に行った日の夜、新太と電話してたんだ。そしたら、「俺、柏木さんのこと好きって気づいてから、前よりも柏木さんのことを目で追いかけるようになってしまって、どうしたらいいのか分からない」とか、「柏木さん俺のことどう思ってんだろ?」という恋愛話をいろいろされて…」
「うそ…まさかの恋愛相談かよ…」
つとむの話を聞いて、最近の新太はサッカーをしているとき以外にも感情的になるときがあることに気づいた。
夜中までずっと話を聞かされたようで、つとむは思い出しながら、その日お疲れがドッと戻ってきたような表情だ。「で、あの日あったことを知っているの僕は、南さんが普段のテンションでマネージャーをできないのではと思って、新太に「何かあったら話して」って忠告したんだよ。そしたら案の定、アキラくんに…」
「そんなことがあったのか…つとむも大変だな」
「もうそれはもう!」
つとむは、その日の愚痴を吐き出した。
でもその愚痴の中には、新太を心配する言葉もあり、親友という関係が羨ましくなった。
愚痴を言い終わった後、俺はつとむに聞けば分かりそうなことを思い出した。
「さっきさ、新太を花火大会に誘ったら、行けないって言われたんだけど、つとむ何か知ってるか?」
「あ、その日は…」
「その日は?」
「その日は、事故で亡くなってしまった新太の弟の一周忌なんだ…」
「え…」
新太の弟が死んだ?しかも去年?
俺は、頭が追いつかなかった。
「お前のせいでかずよがぁぁ!!」
またあの言葉が、フラッシュバックされた。
最近は、思い出さなかったのに…
俺の体は、震えが止まらなかった。
「あ、アキラくん!?」
「大丈夫、気にしなくていい…嫌なことを思い出しただけ…」
「そんな、大丈夫には」
つとむは、俺が震えているのをすごく心配している。
「良いから…それより南ちゃん、そのことは知ってるの?」
「た、多分…中学が同じだから知ってると…」
「そっか…」
「その話よりも、アキラくんの震えを止めなきゃ!!」
「いや、そこにいる子と話すほうが先だ」
「え?」
そう、俺はずっと気づいていた。
途中から物陰に隠れて俺たちの話を聞いている子がいることを。
「桜子ちゃん、隠れてないで出てきなよ」
「アキラくん気づいてたんだね…」
物陰から、隠れていた桜子ちゃんが出てきた。
色々と話したいことはある。
けど、一番ハッキリしておきたいのは、あの事だけ。
「ねぇ、桜子ちゃんはこの前、俺に好意を持っているのは本当って言ってくれたよね?ユーラに会ってから、少し作戦のうちじゃないかって疑い始めちゃったんだけど、改めて教えてくれる?君の本当の気持ち」
「本当だよ…チャラいイメージしかなかったアキラくんだったけど、初めてちゃんと関わったあの日、あの時から、ずっとずっと大好き!だから、美稀ちゃんの気持ちものすごく分かるの…」
「そうだったんだ…」
桜子ちゃんは、俺に今までと違ってハッキリと告白をしてきた。
そっか。あの日からか…
俺は桜子ちゃんの言葉をしっかりと受け止めた。
「こんな時に言うのは失礼かもしれないけど、アキラくん、私と付き合ってください!」
まさかの言葉に、俺もつとむも目を丸くした。
だって、俺の運命知ってて、俺を死ぬ運命に導かなくちゃいけない使命がある人が、たとえ好きなっても交際を申し込むわけないだろー!?
サンサンの太陽。
水がいくらあっても足りない、冷房の効いていない教室の中。
みんなが、夏期講習を終えて帰ったり、部活に行ったりしているのにどうして俺だけ
「追試なんだー!!」
「うるせぇーよ、スーザン!!自業自得だろ!!ちゃんと授業を聞け!」
頑張って欠点回避したのに、唯一追試になった社会…
「覚えるしかない!」と言われ、勉強がおろそかになってしまっていた。
結果、三上が担当する補習授業を受けている。
「なぁ、みかみ~文化祭クラス一位に貢献したからいいだろ~ちょっとくらいの点数救ってくれよ~」
「ば~か!それとこれとは別だ!それと俺を呼び捨てするな!」
「ちぇー三上のけちんぼ」
キーンコーンカーンコーン
バカみたいな言い合いをしている間に補習終了のチャイムが鳴った。
「お前のせいで終わったじゃないか!今日の課題倍にしておくからな!」
「ゲッ!まじかよ…」
三上は、倍に増やした課題を俺の机に置いて教室を出て行った。
課題の量を見て、机にうつ伏せになっていると、誰かの足音がした。
「いた!アキラお前!!」
「ちょ、何!?」
いきなり教室に来た新太は俺に殴りに来る勢いで胸ぐらを掴んできた。
「お前また柏木さんに何かしただろ!」
「あぁ、そのことね…」
補習を受けていて、部活に参加してなかったから気づかなかったみたいだけど、今の発言的に南ちゃんの元気がないみたいだ。
元気のない理由は、来海翼、いやユーラの事…
「その事については、俺が原因じゃない。俺のことを信じられないなら、本人に聞いてみたら?俺が原因だったら、話してくれると思うよ」
「なんだよそれ…」
新太は、ゆっくりと胸ぐらを掴んだ手を放していった。
「まぁ、そう怒ったり考えたりしないで、南ちゃん、新太、つとむ、美稀ちゃん、俺の5人で花火大会にでも行こうぜ!ちょうど追試終わった後だし!」
俺が明るく振舞い、花火大会に誘うと新太は下を向いた。
「俺、その日行けない」
「なんか用事でもあんのか?」
「何もねぇーよ…ってかなんでお前といかなきゃいけねーんだよ!!」
怒りながら、新太は教室を出て行った。
新太が行けない理由には、何か深い理由があると思った。
やっぱりこの前のことで俺がくよくよしている場合じゃない。
こんな事じゃ、南ちゃんの恋を実らせることができない。
南ちゃんの恋を…
最優先にしなきゃいけない。
昇降口に向かうと、参考書を読んでいるつとむがいた。
「やっときましたか…」
「つとむ?もしかして俺を待ってたのか?」
俺の質問につとむは頷いた。
話によると新太が俺のいる教室に向かっているのを見て、何かあったのでは?と心配になって、待っていてくれていたみたいだ。
内緒にすることでもないから、中庭に行き、つとむにさっきのことを話した。
つとむは頭を抱えた。
「だから、何かあったら話してって言ったのに…」
「何のことだ?」
「実は、あの舞台に行った日の夜、新太と電話してたんだ。そしたら、「俺、柏木さんのこと好きって気づいてから、前よりも柏木さんのことを目で追いかけるようになってしまって、どうしたらいいのか分からない」とか、「柏木さん俺のことどう思ってんだろ?」という恋愛話をいろいろされて…」
「うそ…まさかの恋愛相談かよ…」
つとむの話を聞いて、最近の新太はサッカーをしているとき以外にも感情的になるときがあることに気づいた。
夜中までずっと話を聞かされたようで、つとむは思い出しながら、その日お疲れがドッと戻ってきたような表情だ。「で、あの日あったことを知っているの僕は、南さんが普段のテンションでマネージャーをできないのではと思って、新太に「何かあったら話して」って忠告したんだよ。そしたら案の定、アキラくんに…」
「そんなことがあったのか…つとむも大変だな」
「もうそれはもう!」
つとむは、その日の愚痴を吐き出した。
でもその愚痴の中には、新太を心配する言葉もあり、親友という関係が羨ましくなった。
愚痴を言い終わった後、俺はつとむに聞けば分かりそうなことを思い出した。
「さっきさ、新太を花火大会に誘ったら、行けないって言われたんだけど、つとむ何か知ってるか?」
「あ、その日は…」
「その日は?」
「その日は、事故で亡くなってしまった新太の弟の一周忌なんだ…」
「え…」
新太の弟が死んだ?しかも去年?
俺は、頭が追いつかなかった。
「お前のせいでかずよがぁぁ!!」
またあの言葉が、フラッシュバックされた。
最近は、思い出さなかったのに…
俺の体は、震えが止まらなかった。
「あ、アキラくん!?」
「大丈夫、気にしなくていい…嫌なことを思い出しただけ…」
「そんな、大丈夫には」
つとむは、俺が震えているのをすごく心配している。
「良いから…それより南ちゃん、そのことは知ってるの?」
「た、多分…中学が同じだから知ってると…」
「そっか…」
「その話よりも、アキラくんの震えを止めなきゃ!!」
「いや、そこにいる子と話すほうが先だ」
「え?」
そう、俺はずっと気づいていた。
途中から物陰に隠れて俺たちの話を聞いている子がいることを。
「桜子ちゃん、隠れてないで出てきなよ」
「アキラくん気づいてたんだね…」
物陰から、隠れていた桜子ちゃんが出てきた。
色々と話したいことはある。
けど、一番ハッキリしておきたいのは、あの事だけ。
「ねぇ、桜子ちゃんはこの前、俺に好意を持っているのは本当って言ってくれたよね?ユーラに会ってから、少し作戦のうちじゃないかって疑い始めちゃったんだけど、改めて教えてくれる?君の本当の気持ち」
「本当だよ…チャラいイメージしかなかったアキラくんだったけど、初めてちゃんと関わったあの日、あの時から、ずっとずっと大好き!だから、美稀ちゃんの気持ちものすごく分かるの…」
「そうだったんだ…」
桜子ちゃんは、俺に今までと違ってハッキリと告白をしてきた。
そっか。あの日からか…
俺は桜子ちゃんの言葉をしっかりと受け止めた。
「こんな時に言うのは失礼かもしれないけど、アキラくん、私と付き合ってください!」
まさかの言葉に、俺もつとむも目を丸くした。
だって、俺の運命知ってて、俺を死ぬ運命に導かなくちゃいけない使命がある人が、たとえ好きなっても交際を申し込むわけないだろー!?
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