君がいる今

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君がいる今 23話

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―みきー
文化祭2日目。
昨日は、アキラのおかげもあってか、予想の倍以上に大盛況だった。
このまま行くと優勝は間違いないかもしれない。
今日は、私たちが担当する午前中にみなとさんが来てくれるらしい。
だから、イメチェンして普段の団子ヘアから、髪を下した状態にしてみた。
みなとさん、どう思うかな?
南は新太と最近いい感じというか、照れあっているというか、あの調子なら早くどっちか告白して付き合えばいいのにって思う反面、羨ましい気持ちもある。
私もみなとさんとあんな風に…いやラブラブカップルになれたらな…
「南!みなとさん何時頃に来るって言ってた?」
「んっとね…あっ!ちょうど来たよ!そこ!」
「どこ??」
南が指をさした先は、まだ外の入場口のほうだった。
もう教室に来ちゃったのかと思って、びっくりした。
「脅かさないでよ~」
「来たって言っただけで、ここに来たとは言ってないよ!早く会いたいからって勝手に勘違いしないでよね!」
「もう!別に早く会いたいわけじゃ…だた心の準備が」
「あれれ~昨日私をいじってた美稀ちゃんはどこに行ったんですか~?」
「南だって自分のことになるとあたふたするくせに!!」
「それは仕方ないじゃん!!ほら、心の準備とお店の準備しないと!」
「そうだね」
もう何人か来ているときだったから、店の対応や準備に戻った。
他の学校も今日が文化祭だからか、昨日よりは来客が少ない。
みなとさん、人込み苦手だから、少し安心。
って、それを考えて今日誘ったの私だけど…

一人、パーカーのフードを被ったままの男性が入って来た。
もしかして…あの人は。
「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」
「うん、みきちゃん!」
「みなとさん!?」
パーカーのフードをとった男性の正体は、やっぱりみなとさんだった。
「髪いつもと違っておろしてるんだね」
「うん、どうですか?」
「似合ってると思うよ」
私の頭をなでてくれた。
「ありがとう…ございます」
私も昨日の南みたいに照れてしまった。
なんでだろう。前、年上の人に頭をなでられたときは、ドキドキしなかったのに…
やっぱりこういうのって、好きな人にされると効果ある的なあれなのかもしれない。
にしても、私もかずまの事を言えないくらい、未練がましい。
みなとさんにはもう、振られているも同然なのに。

みなとさんを席に案内すると南が来た。
「お兄ちゃん、見てこのメイド服!他のこのも全部美稀がデザインしたんだよ!可愛いでしょ~」
「みきちゃんが?」
また余計なことを…って突っ込みたかったけど、さっきの余韻で突っ込みができなかった。
「すごいな~どれも可愛いし、燕尾服はかっこいいな」
な、なんであなたはそんなにさらりと褒められるんですか!?
そしてその普段見せない時々出るタイプの優しい笑顔!!
もしその笑顔を家族以外の他の人に見せてるなら見せないで!!と言いたくなる。
好きだとハッキリ分かったのは、小3のあのみなとさんが怪我した時だけど、やっぱりこの笑顔に昔から弱い。
「南!午後から美稀ちゃん借りていい?」
「別に私はいいけど?美稀は?」
「え?大丈夫です!!」
「なら、よかった」
きゅ、急に何!?パニックだよ。
な、何渡し何かされるの??
まさかついに、告白!?それは図々しいか…
「二人とも仕事戻らなくていいのか?」
「戻るけど、お兄ちゃん注文!」
「そっか」
みなとさんは、パンケーキを頼んだ。
ものすごく午後が気になって集中できなさそう。
早く午後になって!!

午後はあっという間だと思っていたけど、予想通り昨日よりもお客さんが少なくて、時が経つのが遅く感じた。
みなとさんは、ずっといるとあれだからって言って、どっか行っちゃうし。
南も着替えたら、なんかニヤニヤしながらこっちを見ながら、すぐどっか行ったし。
あー早く来ないかな~
「何、一人で百面相してんの?」
「アキラ!?」
廊下でみなとさんを待っていると交代しに来たアキラが横にやってきた。
「昨日の南ちゃんみたいだな~あっ!分かった!みなとさん待ってるんでしょ!!」
「別にそんな事で…」
やばい、いつもみたいな返しができない。
「あの人よりも俺のほうがいいと思うんだけどな~」
「はぁ?そんなことないし!!」
「だって、顔も俺の方がかっこいいし、シスコンだし、それに不愛想だし、あと…」
その時私は気づいてしまった。アキラの後ろにみなとさんがいることに。
「悪かったな、不愛想で!!」
「ゲッ!!!あ、俺仕事あるので後はお二人で~」
そのままアキラは教室に戻っていった。
顔を見上げるとみなとさんのイライラしている顔。かっこいいな。
「なんか顔についてるか?」
「いえ、何も!!」
またやってしまった。私のバカ!!
「はい、これ!他のクラスで売ってた。こういうの好きだろ?」
「可愛い!ありがとうございます!」
渡してくれたのは、可愛い猫のイヤリングだった。
猫が小さいから、色んなコーデに合わせやすそう。
「良さげな場所見つけたから、そこで話そうか」
「はい」
何の話なんだろう。
私はソワソワドキドキしながら、みなとさんの後ろについて行った。

人の少ない中庭に来た。ちょうど日陰になってるから大丈夫そう。
「それで、話って?」
「南に聞いた?あいつの正体」
ん?南に?あぁ、アキラの話だったのか。
「はい、驚きました。デルミン?とかいうめんどくさい奴だって」
「やっぱり聞いたのか。デルミンっていうのは、置いといて、あいつは仮にも悪魔の血が流れている。
だから…って、なんか怒ってる?」
「いえ、別に怒ってないです、だたまた南の心配してるんだな~って、アキラの言う通り、シスコンなんだな~って」
「シ、シスコン!?」
ほんと、南の心配ばっかり。
なに少しでも期待してたんだろう。嫌になっちゃう。
みなとさんって…
「みなとさんってずるいです!」
「え?」
「私の気持ち知っておきながら優しくして、南の心配になったら、私に言って」
「それは」
「みなとさんにとっては、一人の妹かもしれない。けど、私からしたら、好きな相手が一人の女の子の心配をしているように思えるんです!!いつまでも誤魔化した答えを出さないでください!!」
「みきちゃん!!」
いつの間にか、泣きながら走っていた。
みなとさんは追いかけてこない。それもそのはず、あんな言い方されたら、何言えばいいか分からないよね。
なんでこうなるんだろ。
次どんな顔して会えばいいかわからないや。
これをきっかけに新しい恋に進むべきなのか、いやしばらく恋からは離れよう。
「どうしたの?君メイド喫茶にいたこじゃん!嫌なことがあったんなら、俺らと遊ぼうよ!」
声をかけてきたのは、お客さんとして来てた他校の生徒たちだった。
「嫌です!心配してくれなくて大丈夫です」
「いいじゃん!着替えてるってことは、仕事は終わったんでしょ?」
「いや、放して!」
手首を掴まれてしまった。小3の時みたい。
助けて…みなとさん…
その時、誰かが、他校の生徒の手を掴んだ。
「その手放せよ!」
「誰だよお前!!」
「かずま…」
そこに現れたのは、かずまだった…
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