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番外編
番外編:レオナルドという存在(3)
しおりを挟むキャサリンと話すのはどんな些細な内容だって忘れない。
だからキミが何度も婚約を断ったって、僕は何度だって申し込んでいたし、諦める事なんてできない。
最終手段は王命だ。だけどそんな野暮な事で縛りつけたくなかった。だから彼女が自分で諦めざる得ない選択をさせなければいけない。
それに、国王は知っている。僕が昔からずっと彼女に目を向けていた事を。だが彼女は伯爵令嬢だ。それも地方領主の。手腕が素晴らしいが、それだけの理由では王太子妃には到底選べない。
だが、国王は僕の選択肢を否定しなかった。今の今まで沈黙を貫いていた事自体が答えだ。
まあ紆余曲折、強引ではあったけれど婚約者としての立場を手に入れた時、僕は天にも昇る心地になった。
国王から厳命された貴族の膿を払い除けるぐらい造作もない。だって彼女と婚約できたのだ。今の僕はなんだって出来ると思う。
彼女に決して傷が出来ぬよう、すべて処分した。何をとは言わない。箱庭には虫ひとつだって必要ない。必要なのは彼女を包む真綿の城だけだ。
それに僕はバーゴラへ行かなくてはいけない。その間に彼女に悪い虫がつくかもしれないだろう?
そのためにも行く前までには婚約者という確固たる地位が必要だったんだ。だから行く前に婚約者になれて本当によかった。
バーゴラも、本来なら一年間という期間ではあるが、行事を多少巻きにすれば半年で帰って来れるだろうと僕は踏んでいた。
だからこそ、バーゴラできな臭い話を耳にして最初に思ったのが「勘弁してよ」だったのは仕方がない事だと思うんだ。
これは早急に調査して早急に解決して帰ろう、と決心したのはいいんだけど、さすがに僕だけでは限界があった。想像以上に腐敗が進んでいるバーゴラをどうするのか、考えるだけで時間がかかる。そんな時にダヌアに出会ったのだから僕は本当についてた。
しかしキャサリンへの連絡が出来なくなったのには本当に困った。
彼女の身の安全が第一だ。彼女が、僕の最優先事項だ。これは一生覆る事はない。
国を守る事だって最終的には彼女を守る事に繋がるのだから、やはり僕にとって彼女を守る事は何よりも勝る理由だ。
だから彼女からの手紙が来ないのは本当に困った。
あの可愛らしくて愛しい字が届かないだけで、僕は枯れ木のように萎びた心になっていく。彼女の手紙が僕のエネルギーなのだ。仕方がないから僕は過去の手紙を読み返す事にした。……何度見ても彼女に似合った可愛らしい字だ……
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