聖なる衣

丸井竹

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10.告白

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 学校に向かう子供達の楽しそうな声が遠ざかると、男は町に向かって歩きだした。
その背中を呼び止めた声があった。

「おはようございます」

振り向いた男は、すぐに頭を下げた。
男を追いかけ、小走りに近づいてきたのは神官長のロベルだった。
息子が教会の学校でお世話になっているし、神官長の計らいで食材も三人分、教会から届けられるようになった。
敷地内に賃料も払わずに住んでいるし、教会の祈りの間に行けば息子の話し相手にもなってくれる教会の最高責任者だった。

ロベルは男の前で足を止め、呼吸を整えると目尻に皺を寄せて穏やかに微笑んだ。

「門まで一緒に歩きましょう」

大きな紺色の聖衣に身を包んだロベルは、少しふっくらとして見える。
長い白髪を後ろで編み込み、老人らしく背中を丸めて歩くが、杖も使わずしっかりとした足取りだった。
男は並んで歩きだした。

「ここからは見えませんが、教会の裏に厩舎があります。馬が数頭いるのですが、ルカが最近よく面倒をみてくれています」

男も数頭有しているが、馬は高価で、ルカ一人に任せたことはなかった。

「息子には騎獣の世話を任せていて、馬はまだ難しいと思っていました」

「そんなことはありません。愛情を込めて世話をしてくれています。あなたが愛情を注いでいることが彼に伝わり、彼もまたその愛情を馬たちに伝えている。それに、初級クラスの授業は、時々彼が教えてくれています」

息子が先生役をしていると初めて知り、驚く男に、ロベルは優しく頷いた。

「子供には何よりも必要なことです」

「エリンには……そうした大人はいなかったのでしょうか?」

思わず、男の口からこぼれ出た言葉に、ロベルは表情を曇らせた。
すぐに穏やかな表情に戻ったが、その目は揺れていた。

「ラバータは娘のようにエリンに接していました。ヴィーナが一緒に住んでいた時はうまくいっていたと思います。でも、ヴィーナと出て行ったエリンが、一人で戻ってきてからは師匠と弟子といった関係でした。
血の繋がりはありませんでしたからね。ラバータが死んでも顔を出さなかったヴィーナがまさか、エリンを訪ねてくるとは思いもしませんでした。ヴィーナはここを出ていってから、一度もエリンの様子を見に来たことはありません」

エリンが体調を崩し倒れた日に、突然訪ねて来たヴィーナのことを思い出し、男は苦痛の表情になった。
おぞましい発言を繰り返し、自分の娘を侮辱して金をよこせと騒いだのだ。
ロベルが教会から人を連れてきて、引きずるように敷地の外に追い出した。
あれ以来、エリンの母親の話題は出ていないが、息子に悪い記憶が残ってしまったのではないかと男は心配していた。

「それでも、その、ヴィーナの最初の夫が亡くなるまでは、エリンは普通の家庭で育ったはずですよね?」

男は尋ねたが、ロベルは首を曖昧にふった。
それは誰にもわからなかった。

ロベルがエリンに会ったのは、実の父が亡くなり墓地に葬られた時だった。
その前の暮らしがどうだったのか、もうエリンの記憶にもないはずだ。

「人は変わります。良くも、悪くも」

幸せな暮らしがあったとしても、ヴィーナが善人であった時代があったとしても、それは今の暮らしで上書きされてしまう。
幸福な記憶はあくまで過去のものであり、時が過ぎればどんどん遠ざかり消えてしまうものだ。

ロベルは門で足を止め、男はロベルに頭を下げると、一人で町に向かって歩き出した。
エリンの母親であるヴィーナを責められないことを男はわかっていた。

息子を連れて別の女性と結婚し、二年も暮らし、失敗して戻ってきた。
その時には娘は売られていた。

悲しみに流され、墓で暮らしたことの全てを過ちだと思い、男は自分のしたことから逃げたのだ。
ヴィーナも、きっと夫を失い、悲しさから墓の男に身をまかせたが、途中で墓を出て生き直すべきだと思ったのだ。

もがいても、もがいても、過ちを上書き出来るような、正しい道筋は見えてこないのだ。
戻れないのならば進むしかない。
この道が正しいことを証明するには歩き続けるしかない。
男は自身に、そう言い聞かせた。


 日常を積み重ね、あっという間に、夏祭りの時期を迎えた。
税が上がり、町の人々には少し苦しい日々が続いていた。
規模を縮小し、町の広場で行われた祭りに、息子はやっと出来た新しい友達と出かけていった。

男は乗り捨て用の緑トカゲを数頭暑さで亡くし、かなりの損失を出していた。
息子の独り立ちが決まりそうだと、足の悪いボーラが夫と共に田舎に帰ることに決めると、男は新しい従業員を雇うのを諦めた。

借金はだいたい返し終えたが、毎日わずかな利益を生むばかりでは、大きな損失は埋められない。

女の棺桶も少しずつ売れなくなっていた。安価な棺桶屋が町に出来たのだ。
シンプルな形で、鮮やかな色布で飾り付けられた棺桶は教会で売られているものより手軽で、準備に時間も必要ない。

女は作業小屋で変わらず仕事を続けていたが、棚に積まれていく教会からの支払いは少しずつ減っていた。
新しい商売を考えるべきだろうかと、男は考えていた。

夕方、買い物を楽しんだ様子の息子が帰ってきた。
すっかり子供らしくなった明るい表情に、男はほっとした。
友達と手を振り合い、店に駆けてくると、息子は小さな包みを男に差し出した。

「お土産。父さんにも」

袋の中には砂糖をまぶしたパン菓子が入っていた。
ふくらし粉をふんだんに使った安価な子供向けのお菓子だ。

「それから、あの人にも……。渡していいと思う?」

おずおずと出してきた包みには、小さな手鏡が入っていた。
丸い木の板に鏡が嵌めこまれ、持ち手がついている。
鏡を包む木の縁には、荒い彫り物がされている。

女の彫り物を見慣れていると、こうしたものがずいぶん安っぽくみえる。
しかしそれには息子の小さな思いやりが詰まっている。

投げつけて壊されるかもしれない不安を抱きながらも、息子は勇気を出してこれを買ったのだ。
父親を見習い、息子も歩み寄る努力を続けている。

「そうだな……。これは、父さんから彼女にお前からのお土産だと言って渡してもいいか?」

息子はほっとしたように頷いた。
目の前で壊されるとかもしれないという不安は消えたのだ。

手を繋ぎ、家路を歩きながら男は背の伸びてきた息子に切り出した。

「ルカ、エリンに結婚を申し込もうと思っている」

一緒に暮らし、子供まで産ませておきながら、結婚もしていなければ何の約束もしていない。
いろいろなことをすっ飛ばし、自分の感情に走って逃げた結果だった。

「父さんと結婚したら、あの人は僕のお母さんになるの?」

「今ももちろんそうだが……話したことがあっただろう?俺が間違えて、彼女を傷つけた。だから」

「僕のことが嫌いなんだよね」

口に出してから、息子は泣きそうな顔になり、それをごまかすように顔を変な形に歪めた。

「違う。嫌っているのは俺のことだ。だから」

「もういいよ。あの人は、あの人だよ。父さんが大事にしている人だから、僕も気を付けている。だけど……諦めることだって必要だって、誰かが言っていたよ」

息子は出来れば父親と二人で暮らしたいのだ。
最初はぎこちなく始まった父子の時間は、次第にくつろいだ時間に変わり、今では一緒にいることがごく自然なことになっていた。
唯一、母親といる時だけが息子にとって苦痛だった。

母親とは呼べないあの人は、父親が一番気にかけている存在だ。
女がいるかぎり息子は父親の一番になれない気がしていた。

「お前も、彼女も同じだけ大切だ」

上手く修正出来ない二人の関係に、男も焦燥感を募らせていた。
その心の内が少しだけ外に出た。

珍しく男は息子の前で憂鬱な溜息をついたのだ。
常に冷静で頼もしい父親の、そんなため息を聞き、息子は父親の手を強く握った。

「僕は父さんの味方だよ」

思いがけない息子の言葉に、男は胸が熱くなった。

「ありがとう、ルカ。頼もしいな」

小さな息子が、頼れる存在になるなんて男は、これまで考えたこともなかった。
常に守ってやらなければならない存在だったからだ。
男が不在の間に女が一人で生んだ息子は、身勝手だった父親に、喜びや驚き、新たな感動を次々にもたらしてくれる。

「失敗しても諦める気はない」

失敗を前提に話す父親に、息子は真剣な顔で頷いた。
夕暮れの坂道を大きな影と小さな影が寄り添って登っていく。

長く伸びた二つの影を、教会の門番たちが見送っていた。
それは門番たちにとって、日常の光景になっていた。




 季節はめぐり、秋が近づき赤焼けた空がいつまでも夜を押しのけ居座るようになった。
教会の敷地には、遊び回る子供たちの姿が見られるようになった。
それは息子と、教会の学校で知り合った友人たちだった。

家の裏手に緑トカゲ用の厩舎があり、息子が学校の友達をそこに連れてきたことがきっかけであり、そこには男が始めた菜園もあった。
子供達はジャングルのような菜園の中を走り回り、探検ごっこや鬼ごっこを始めたのだ。
それから墓地は不気味な場所から楽しい場所に変わっていった。

棺桶を作る作業小屋の音はいつでも聞こえていたが、それは日常の音となり、誰も気にしなかった。
息子はもう墓に住んでいることを気にせずに済むようになっていた。

男もまた、墓地での生活に馴染んでいた。
時々作業小屋を覗き、女のために食事やお茶を差し入れ、棺桶の組み立てを手伝った。
話しかけても返事をしない女の傍で、男は独り言のように語り続けた。

「新しく購入した緑トカゲの調教は順調だ。菜園の許可をとるのは大変だったが、教会内の敷地ということで信頼を得られたようだ。ロベルも口添えをしてくれた。店先で野菜を売りだしたが、まずまずの売れ行きだ」

形ばかりの夫婦のような時間を過ごし、男は女を残し作業小屋を出た。

息子がパトと名付けた緑トカゲに乗って移動が出来るようになったころ、男は覚悟を決めて作業小屋を訪れた。

木を削る無機質な音が続く中、男は大きく息を吸い込んだ。
深呼吸を三度繰り返し、女の傍らに座った。

「エリン……。今更だが、その……結婚しないか?」

驚いたように女の手が止まった。
顔は上げず、ただ固まっている。

「確かに、最初は墓に住むことに抵抗があった。表の世界を全て捨ててしまうようで、俺にはまだ外の暮らしに未練があった。
結婚するはずだった女性との思い出や、商売のこと、年老いた両親の存在や周囲の目を気にして、ここで根を張って生きる覚悟が出来なかった。
だけど、ここがどこであろうと、息子は友達を連れてきて楽しく遊んでいる。
君がここにいてくれるおかげで、俺は安心して町で商売が出来ている。
ロベル様や教会の皆が信頼してくれるのは、君が誠実に仕事を続けてきてくれたおかげだ。
本当は、ルカが出来た時に決心するべきことだった……。
君は以前、やり直したいと言った俺に、もう無理だと言った。だけど時は進んでいる。
取り戻せないなら、ここから新しく始めよう」

震えながら男はそっと女の肩に手を置いた。
あまりにも細いその感触に、男は恐怖すら覚えた。
女は死に急ぐように働き続けている。

「エリン、今の俺を見てくれ。人は変わる。良くも、悪くも。俺は君のために、そして息子のために……家族のために生まれ変わる」

娘のためにと付け加えたかったが、それはもう出来なかった。

「牧場は畳んだが、少しずつ売り上げも戻っている。菜園の方もうまくいっている。
エサ代も少し浮いた。冬の蓄えもなんとかなる。仕事を少し休んでも大丈夫だ。支え合って生きていける」

手探りな言葉だったが、男の精一杯の気持ちだった。
荒れた女の手にその手を重ね、抱き寄せようとした時、女はその手を振り払った。
男の胸は痛んだが、戻る道はなかった。

「君の……答えを待つ。だから、考えて欲しい」

大人しく身を引き、男は作業小屋を出た。


何かが劇的に変わることはなかった。
日々を積み重ね、ただ三人の生活は続き、ついに冬がやってきた。



 寒さに弱いパトを暖炉の前に連れてきた息子は、乾燥させたクルムの実を食べさせ、その首を膝に抱いてやっていた。
男の許しを得て、生活の足としても使うようになり、パトはすっかり息子の日常に入り込んでいた。

すでに日は暮れているが、隣の作業小屋からはまだ棺桶を削る音が聞こえている。
薪を運び、隣の作業小屋を温めてきた男が帰って来て、夕食の支度を始めた。

「ルカ、部屋にパトを置いてこい。食事の準備だ」

父親の言葉に従い、息子はパトを連れて部屋を出ていく。
すっかり食事の支度が終わり、二人が席についた時、扉が開いて雪混じりの冷たい風が吹き込んだ。
男が立ち上がり、女を迎え入れて扉を閉める。

「上着を預かろう」

無言の女から上着を受け取り、男は雪を払って暖炉近くの壁にかけた。
息子はそれを静かに待っている。
無口な母親は、自分勝手に暮らしている。

男と息子はそんな母親に合わせて食事をとる。

台所で手を洗い、女がテーブルにつくと、ようやく三人の食事が始まった。
会話は必ず男から始まった。

「今日も冷える。俺は厩舎の見回りをするから、ルカ、暖炉の点検を頼む」

「いつも通りだね。薪を少し運んでおく?そうだ。納屋に冬眠に来ている花リスを部屋に入れちゃだめ?冬眠中に死んでしまうことがあるのでしょう?薪が減ったら風除けがなくなって凍えてしまう気がするんだ」

「パトが食べてしまうかもしれないぞ?」

「クルムの実をあげているのに?」

「緑トカゲは雑食だ。肉を与えなくても死ぬことはないが、与えれば食べる」

二人が話している間に、女は少量の食事を食べ終え席を立った。
その手を男が押さえた。

「せめて皿に入っている分は食べてくれ。痩せすぎだ」

息子は聞いていないふりをして目を伏せた。
女は無表情で椅子に座り直し、残った食事を食べ始めた。

暖炉の火が揺らめき、ぱちぱちと音が鳴っている。
息子は息苦しさにため息をついた。
それを行儀が悪いぞと男が小さく睨む。

スプーンとフォークが皿にぶつかる音が響いた。
女が立ち上がり、空の食器を持って台所に向かう。

「食べるの、いつも早いよね……」

息子の小声に、男は優しく微笑んだ。

「そうだな。食べる速さは人ぞれぞれだ。一緒に食べ始めることが大切だ」

家の奥から鋭い風の音と共に凍てついた空気が流れ込んできた。
裏口を開け、女が外に出ていったのだ。
男が心配そうに腰を浮かせ、通路の向こうを覗き込む。

と、その時、玄関扉が鳴った。
ルカが急いで扉に向かう。

「どなたですか?」

男は女の出ていった方を気にしながらも、息子に追いつき、後ろに下がるように合図をした。

「教会のロベルです」

急いで扉を開けると、フードに雪を積もらせたロベルが立っていた。

「街道沿いで雪崩があったようです。数名の死者が出たとか。手伝ってもらえませんか?」

冬の事故は死に直結する。男はすぐに上着を身に着け外に出た。

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