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第一章 手放した男
21.勝利
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ヴェリエは炎竜たちを穴だらけになったゲール山の中に放した。雪山羊の背に乗り、岩をどろどろに溶かしながら住処を作ろうと動き出した炎竜たちを眺め、ニールは腕組みをした。
「森に連れていくわけにはいかないが、ここに置くのも危険ではないか?」
「その石を置いていけ。お前の念を込めればその効果が続く」
横から口を挟んだのはリーナだった。ダルニが相変わらず隣に控えている。
数個の魔鉱石にヴェリエは念を込めてゲール山に埋めて歩いた。
ヴェリエを守るトーリ族の男達はまだ炎竜を警戒するように盾を掲げていた。炎竜がそそり立つ壁を登りその裏側に姿を消すと、ヴェリエはガイの背中に担ぎ上げられた。
トーリ族は既に移動を始めており、ヴェリエを担いだガイもその列に並んで走りだす。
雪山羊たちよりもはるかに早くトーリ族は縄張りであるアーダの森に帰還した。
リーナの家に戻ると、ヴェリエは泥のように眠りこんだ。
しかしその眠りは突如打ち破られた。
体を揺さぶられ、ヴェリエはトーリ族の男が寝室に入ってきたのだと思い、体をすくませた。
「ヴェリエ、少し話を聞きたい」
その声はリーナだった。ヴェリエは目をこすりながら顔を上げ、狭い寝室に男達が詰めかけていることに気が付いた。
膝を引き寄せ体を守るように小さくなると、ニールがヴェリエの体を背後から抱きしめた。
「お前にやったまじない玉、どこにやった?」
そこで初めてヴェリエはウーナ国の王子ゼデルに奪われたことを思い出した。あの男は一族の女に子種を注いだのだ。
それはトーリ族にとって報復に値する行為だった。
かつて、アーダの森を支配しようとしたエルドランド国はトーリ族の反撃にあい、滅びかけたことがあった。
王国は死に瀕したが、トーリ族と手を取り合うことを約束した王が現れ、争いを止め国を救ったのだ。
トーリ族はアーダの森に戻り、互いに干渉し合わない良好な関係を保ってきた。
しかし今回の場合はそういう結末にはならなかった。
トーリ族の中にウーナ国を擁護する者は現れなかったし、争いを止める理由もない。
その日のうちにトーリ族は森を出発し、あっという間に第一皇子の軍隊を殲滅してしまったのだ。
ヴェリエが疲れきった体を休める数日の間にことは終わり、ヴェリエは庭先で自分を抱いたウーナ国第一皇子ゼデルの首と対峙することになった。
「この男か?」
リーナが掴み上げたその生首を見て、ヴェリエは盛大に嘔吐した。自分を抱いた男の生首など見たくも無かった。
一族の男以外の男と交わればこうした結末が待っているのだ。
リーナは三つ石を繋げた首飾りをヴェリエの首にかけた。
「一つ目は孕まぬための予防だ。あとの二つは家畜番として必要な時に使うためのまじない玉だ。念を込めるのはお前だ」
リーナはヴェリエの首にそれをかけながら、なんとも解せないというように顔を顰めた。
「お前は嫌なことがあるとすぐに岩山の雪山羊のところへ逃げた。家畜番が似合いだと思ったが、炎竜まで放牧できるとなれば多少の才能はあったのだろう。一族の中ではあまり必要性を感じないが、守りにはなる」
ヴェリエは滑らかな石の感触を指で確かめながら、控えめに口を開いた。
「さらわれた私を助けてくれたのはエリオよ。
一刻も早くお城に戻って危険を知らせなきゃいけないのに、私を助け、トーリ族に危険を知らせろと言ってくれた。トーリ族は報復するけど、してもらったことにお礼はしないの?今度のことも狙いは私達だった。彼らは巻き込まれただけよ……」
「何がいいたい?」
リーナの口調は冷たかった。
「外界のことに関わらないのが掟だと言うけれど、エリオやこの国の人たちはトーリ族の森を守ってくれている。その、エリオのお城と仲良くしてもいいのではないかしら。助けてくれたし……」
「こちらも助けたはずだ」
「私を助けに来ただけでしょう?」
リーナの表情が険しくなった。
最近口答えが減り、ようやく一族の女らしくなったのに、今回の活躍で教え込んできた従順さを忘れ去ってしまったようだった。
炎竜を制したことは称賛に値する行為だったかもしれないが、トーリ族であればヴェリエがいなくても最終的には倒せたはずだ。
「お前がエリオという男のために炎竜を勝手に連れ出し、あの城を助けに行ったことを言っているのか?
外界の男を助けるために、一族の掟に背き勝手に出て行ったことに対する処罰を考えるべきだという意見さえあがったのだぞ」
その言葉に青くなりヴェリエは口を噤んだ。
炎竜を退けたのだから、少しは一族の中での地位が向上したのではないかと期待したが、それは甘い考えだったのだ。
「知らせに対する礼というなら、城に侵入していた炎竜を排除し、やつらの敵を殺し尽くしたことで返している。思い上がるな。お前は一族の娘、処罰が必要だと進言しておこう」
立ち上がったリーナにヴェリエはすがった。
リーナの提案する処罰はいつも残酷だ。
「いやっ!ごめんなさい!もう口答えしないわ」
風を切ってリーナの手が飛び、頬を打つ音と共にヴェリエは寝台から転がり落ちた。
体を丸め、咄嗟に衝撃を和らげたヴェリエは、唇を伝う血を拭い、打ち付けた肩を押さえた。
「ごめんなさい……」
しかし許されることはなかった。
その夜、ダルニが寝室に現れた。
ダルニは乱暴なだけではなかった。入って来てから出て行くまで一言も言葉を発さないのだ。
それは不気味でひたすら恐ろしかった。
乱暴者のガイでさえ、身勝手な言葉をいろいろ囁いてくるというのに。
ダルニは嫌だと泣きじゃくるヴェリエを押さえつけ、顔色一つ変えず交わり、体液を吐き出すと、まるで使い終わった道具を投げ捨てるように出て行った。
人格の全てを否定されているようで、ヴェリエはたまらなく惨めな気持ちになった。
ゴーデ領、ドウェイン城の一室ではエルドランドの王がロナウス・ゴーデを前に今回の働きを労っていた。
被害は甚大ではあったが、それでも数万の敵に攻め込まれたというのに生き延びた兵士は多かった。
多少遅れたとはいえ、敵軍に潜入したエリオからの知らせが王都とドウェイン城の被害を最小限にとどめたのだ。
敵兵が一万以上死亡したのに比べ、こちらは数百の犠牲で済んだ。
王は冬の備えや、城の修繕、住宅の補償、様々な支援を約束した。
「トーリ族を味方につけるとは見事だったな」
王の言葉に、ロナウスは複雑な顔をした。
「トーリ族は恐らく味方をしたとは考えていないでしょう。炎竜を相手に怯むことのない恐ろしい相手です。
互いに干渉し合わないようにすることでうまく共存してこられたと思うのですが……これからの関係に苦慮しそうです」
王は頷いた。ロナウスから跡継ぎのエリオがトーリ族の女に恋をしていると報告を受けたばかりであった。
「そうだな。トーリ族との関係については代々ゴーデ領の統治者に任せてきた。
私から言えることはお前の跡継ぎの伴侶については口を出さないといったところだな。
王都から花嫁候補を送ることはやめておこう。いざとなれば養子でもいいだろう。
トーリ族とうまく縁が結べれば一族に、面白い血が入ることになるな」
寛大な王の言葉にロナウスは恭しく頭を下げた。
手厚い支援を約束した王は、ロナウスに信頼の眼差しを向けた。
「ロナウス、お前の父が亡くなった時、俺は何の力にもなれなかった。いろいろと背負い込み大変な思いをしたことだろう。何かあれば頼って来い。当時よりはましな国になっただろう」
王位を自力で勝ち取った傭兵上がりの王は民衆に人気があるだけではなかった。様々な古い慣例を廃止し、国の決まりにこだわらず、土地に合わせた統治を領主たちに許していた。
さらに実力や人柄を重視し、側近に加えることでも有名だった。
北の最果ての地であるから王都と繋がりのある家柄の女性を探そうと考えていたが、そうした心配は無用だったのかもしれないとロナウスは思った。
王は自分がここに居座っては邪魔になるだろうと、そうそうにゴーデ領を立ち去ったが、その際にロナウスの息子エリオにも言葉をかけた。
「ロナウスから聞いている。自慢の息子らしいな。今回の働き見事だった」
エリオは緊張の面持ちで深く礼をし、ロナウスの隣に立って王の一行を見送った。
数日空けず、王都からゴーデ領に豊富な物資と共に家屋の修繕を行うための職人たちが送られてきた。北の夏は短い。
春が来たと思えば涼しい夏が始まり、すぐに冬がやってくる。
破壊された城を再建するのも大変な仕事だった。
敵も三万もの兵士を失ってはすぐに他国を侵略するとは考え難かったが、それでも今回のような事態が起こることは想定するべきだった。
やるべき仕事が多すぎてエリオはなかなかロナウスと話をする時間を作ることができなかった。それはロナウスも同じで、領内の復興に関する細かい決断を日々迫られた。
忙しい合間を縫って、エリオは裏庭を抜けたゲール山に続く岩場に足を運んだ。
そこは岩をも溶かす炎竜の影響で、すっかり地形が様変わりしていたが、相変わらず雪山羊がちらほら姿を見せ、夕刻になるとのんびりとアーダの森に帰って行った。
しかしなかなかヴェリエは現れなかった。
飛ぶように一カ月が過ぎた頃、雪山羊の背に揺られ、ヴェリエがやっと姿を現した。
生き延びたら迎えに行くと約束したことを、エリオはヴェリエが覚えていることを願った。
「森に連れていくわけにはいかないが、ここに置くのも危険ではないか?」
「その石を置いていけ。お前の念を込めればその効果が続く」
横から口を挟んだのはリーナだった。ダルニが相変わらず隣に控えている。
数個の魔鉱石にヴェリエは念を込めてゲール山に埋めて歩いた。
ヴェリエを守るトーリ族の男達はまだ炎竜を警戒するように盾を掲げていた。炎竜がそそり立つ壁を登りその裏側に姿を消すと、ヴェリエはガイの背中に担ぎ上げられた。
トーリ族は既に移動を始めており、ヴェリエを担いだガイもその列に並んで走りだす。
雪山羊たちよりもはるかに早くトーリ族は縄張りであるアーダの森に帰還した。
リーナの家に戻ると、ヴェリエは泥のように眠りこんだ。
しかしその眠りは突如打ち破られた。
体を揺さぶられ、ヴェリエはトーリ族の男が寝室に入ってきたのだと思い、体をすくませた。
「ヴェリエ、少し話を聞きたい」
その声はリーナだった。ヴェリエは目をこすりながら顔を上げ、狭い寝室に男達が詰めかけていることに気が付いた。
膝を引き寄せ体を守るように小さくなると、ニールがヴェリエの体を背後から抱きしめた。
「お前にやったまじない玉、どこにやった?」
そこで初めてヴェリエはウーナ国の王子ゼデルに奪われたことを思い出した。あの男は一族の女に子種を注いだのだ。
それはトーリ族にとって報復に値する行為だった。
かつて、アーダの森を支配しようとしたエルドランド国はトーリ族の反撃にあい、滅びかけたことがあった。
王国は死に瀕したが、トーリ族と手を取り合うことを約束した王が現れ、争いを止め国を救ったのだ。
トーリ族はアーダの森に戻り、互いに干渉し合わない良好な関係を保ってきた。
しかし今回の場合はそういう結末にはならなかった。
トーリ族の中にウーナ国を擁護する者は現れなかったし、争いを止める理由もない。
その日のうちにトーリ族は森を出発し、あっという間に第一皇子の軍隊を殲滅してしまったのだ。
ヴェリエが疲れきった体を休める数日の間にことは終わり、ヴェリエは庭先で自分を抱いたウーナ国第一皇子ゼデルの首と対峙することになった。
「この男か?」
リーナが掴み上げたその生首を見て、ヴェリエは盛大に嘔吐した。自分を抱いた男の生首など見たくも無かった。
一族の男以外の男と交わればこうした結末が待っているのだ。
リーナは三つ石を繋げた首飾りをヴェリエの首にかけた。
「一つ目は孕まぬための予防だ。あとの二つは家畜番として必要な時に使うためのまじない玉だ。念を込めるのはお前だ」
リーナはヴェリエの首にそれをかけながら、なんとも解せないというように顔を顰めた。
「お前は嫌なことがあるとすぐに岩山の雪山羊のところへ逃げた。家畜番が似合いだと思ったが、炎竜まで放牧できるとなれば多少の才能はあったのだろう。一族の中ではあまり必要性を感じないが、守りにはなる」
ヴェリエは滑らかな石の感触を指で確かめながら、控えめに口を開いた。
「さらわれた私を助けてくれたのはエリオよ。
一刻も早くお城に戻って危険を知らせなきゃいけないのに、私を助け、トーリ族に危険を知らせろと言ってくれた。トーリ族は報復するけど、してもらったことにお礼はしないの?今度のことも狙いは私達だった。彼らは巻き込まれただけよ……」
「何がいいたい?」
リーナの口調は冷たかった。
「外界のことに関わらないのが掟だと言うけれど、エリオやこの国の人たちはトーリ族の森を守ってくれている。その、エリオのお城と仲良くしてもいいのではないかしら。助けてくれたし……」
「こちらも助けたはずだ」
「私を助けに来ただけでしょう?」
リーナの表情が険しくなった。
最近口答えが減り、ようやく一族の女らしくなったのに、今回の活躍で教え込んできた従順さを忘れ去ってしまったようだった。
炎竜を制したことは称賛に値する行為だったかもしれないが、トーリ族であればヴェリエがいなくても最終的には倒せたはずだ。
「お前がエリオという男のために炎竜を勝手に連れ出し、あの城を助けに行ったことを言っているのか?
外界の男を助けるために、一族の掟に背き勝手に出て行ったことに対する処罰を考えるべきだという意見さえあがったのだぞ」
その言葉に青くなりヴェリエは口を噤んだ。
炎竜を退けたのだから、少しは一族の中での地位が向上したのではないかと期待したが、それは甘い考えだったのだ。
「知らせに対する礼というなら、城に侵入していた炎竜を排除し、やつらの敵を殺し尽くしたことで返している。思い上がるな。お前は一族の娘、処罰が必要だと進言しておこう」
立ち上がったリーナにヴェリエはすがった。
リーナの提案する処罰はいつも残酷だ。
「いやっ!ごめんなさい!もう口答えしないわ」
風を切ってリーナの手が飛び、頬を打つ音と共にヴェリエは寝台から転がり落ちた。
体を丸め、咄嗟に衝撃を和らげたヴェリエは、唇を伝う血を拭い、打ち付けた肩を押さえた。
「ごめんなさい……」
しかし許されることはなかった。
その夜、ダルニが寝室に現れた。
ダルニは乱暴なだけではなかった。入って来てから出て行くまで一言も言葉を発さないのだ。
それは不気味でひたすら恐ろしかった。
乱暴者のガイでさえ、身勝手な言葉をいろいろ囁いてくるというのに。
ダルニは嫌だと泣きじゃくるヴェリエを押さえつけ、顔色一つ変えず交わり、体液を吐き出すと、まるで使い終わった道具を投げ捨てるように出て行った。
人格の全てを否定されているようで、ヴェリエはたまらなく惨めな気持ちになった。
ゴーデ領、ドウェイン城の一室ではエルドランドの王がロナウス・ゴーデを前に今回の働きを労っていた。
被害は甚大ではあったが、それでも数万の敵に攻め込まれたというのに生き延びた兵士は多かった。
多少遅れたとはいえ、敵軍に潜入したエリオからの知らせが王都とドウェイン城の被害を最小限にとどめたのだ。
敵兵が一万以上死亡したのに比べ、こちらは数百の犠牲で済んだ。
王は冬の備えや、城の修繕、住宅の補償、様々な支援を約束した。
「トーリ族を味方につけるとは見事だったな」
王の言葉に、ロナウスは複雑な顔をした。
「トーリ族は恐らく味方をしたとは考えていないでしょう。炎竜を相手に怯むことのない恐ろしい相手です。
互いに干渉し合わないようにすることでうまく共存してこられたと思うのですが……これからの関係に苦慮しそうです」
王は頷いた。ロナウスから跡継ぎのエリオがトーリ族の女に恋をしていると報告を受けたばかりであった。
「そうだな。トーリ族との関係については代々ゴーデ領の統治者に任せてきた。
私から言えることはお前の跡継ぎの伴侶については口を出さないといったところだな。
王都から花嫁候補を送ることはやめておこう。いざとなれば養子でもいいだろう。
トーリ族とうまく縁が結べれば一族に、面白い血が入ることになるな」
寛大な王の言葉にロナウスは恭しく頭を下げた。
手厚い支援を約束した王は、ロナウスに信頼の眼差しを向けた。
「ロナウス、お前の父が亡くなった時、俺は何の力にもなれなかった。いろいろと背負い込み大変な思いをしたことだろう。何かあれば頼って来い。当時よりはましな国になっただろう」
王位を自力で勝ち取った傭兵上がりの王は民衆に人気があるだけではなかった。様々な古い慣例を廃止し、国の決まりにこだわらず、土地に合わせた統治を領主たちに許していた。
さらに実力や人柄を重視し、側近に加えることでも有名だった。
北の最果ての地であるから王都と繋がりのある家柄の女性を探そうと考えていたが、そうした心配は無用だったのかもしれないとロナウスは思った。
王は自分がここに居座っては邪魔になるだろうと、そうそうにゴーデ領を立ち去ったが、その際にロナウスの息子エリオにも言葉をかけた。
「ロナウスから聞いている。自慢の息子らしいな。今回の働き見事だった」
エリオは緊張の面持ちで深く礼をし、ロナウスの隣に立って王の一行を見送った。
数日空けず、王都からゴーデ領に豊富な物資と共に家屋の修繕を行うための職人たちが送られてきた。北の夏は短い。
春が来たと思えば涼しい夏が始まり、すぐに冬がやってくる。
破壊された城を再建するのも大変な仕事だった。
敵も三万もの兵士を失ってはすぐに他国を侵略するとは考え難かったが、それでも今回のような事態が起こることは想定するべきだった。
やるべき仕事が多すぎてエリオはなかなかロナウスと話をする時間を作ることができなかった。それはロナウスも同じで、領内の復興に関する細かい決断を日々迫られた。
忙しい合間を縫って、エリオは裏庭を抜けたゲール山に続く岩場に足を運んだ。
そこは岩をも溶かす炎竜の影響で、すっかり地形が様変わりしていたが、相変わらず雪山羊がちらほら姿を見せ、夕刻になるとのんびりとアーダの森に帰って行った。
しかしなかなかヴェリエは現れなかった。
飛ぶように一カ月が過ぎた頃、雪山羊の背に揺られ、ヴェリエがやっと姿を現した。
生き延びたら迎えに行くと約束したことを、エリオはヴェリエが覚えていることを願った。
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