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ウチの愛する旦那が女の子ばかり保護してくるので苦労が絶えません
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——最愛の旦那が、また女を連れて仕事先から帰ってきた。
私は自宅兼商店の入口の前で仁王立ちになり、ぷるぷると肩を震わせている。旦那はその覇気に気圧されたのか、一歩後退すると申し訳なさそうに控えめに笑う。その端正で綺麗な目鼻立ちが、心無しか震えている。
「……そんな怖い顔をしないでおくれよ、リーディア。これは世界の危機なんだ」
「ライネス。世界の危機と夫婦の危機、どちらが大切だとお思いなのかしら?」
「もちろん夫婦の危機さ。愛しているよリーディア」
私は思わず「キッ!」と音が出そうな勢いで旦那——ライネスを睨んだ。しおしおとその場で小さくなるライネス。
そんなライネスの横で、連れてきた女が私を威嚇する様に歯を剥く。茶褐色の肌、まだ年端もいかぬ少女と呼べる年頃だ。
なるほどなるほど。彼女からしてみれば、命の恩人が理不尽に怒られている構図に見えるワケだ。うんうん、分かっているわ。慣れているから。そう、慣 れ て い る か ら 。
私がそうやってニッコリと微笑むと、少女は逆に怖くなったのか。ライネスと同様に身を小さくして震え始めた。
「……あらまあ、コリンさんとこの旦那さん、また女の子を連れて帰ってきたわよ」
「……あらあらあまあまあ。奥さんも大変ねえ……上手くいっていないのかしら?」
遠くから、近所の奥様方のひそひそ話が聞こえてくる。私は眉間に皺を寄せ、はーと溜息をつく。一言一句、言われていることに間違いはないのだが、事情を知らない人に聞かれたら確実に誤解される内容だ。
「はー。まあいいわ、とりあえず中で話を聞きましょ」
「う、うん、そうだね」
私の「帰宅許可」が出ると、ライネスの顔がぱあと明るくなる。前から思っていたけど、ライネスは犬系だな。
私が自宅兼商店の入口へ振り返ると、店内にいたはずの店員たちがにょっきり顔を出してこちらの様子を眺めていた。その出歯亀精神に、私の眉間の皺が深くなる。
「あ、マスター。もしかして新しい子? それともあいじん?」
「へー褐色。南の子かな? この辺りじゃちょっと珍しいかも」
「マスター、腹減った。そろそろ昼飯食わせロー」
店員たちが口々にわちゃわちゃと騒ぎ出す。見て分かるか? 分からんか。全員女の子だ。そうだ、彼女たちはウチの商店で雇っている店員であり——ほぼ全員、ライネスが連れてきた子だ。
「おらー、まだ昼には早いぞー。とっとと仕事終わらせないと、昼飯抜きにするわよ!」
そう言いながら私が腕を振ると、きゃーと店員たちは店内へと逃げ帰る。まったく、いつの間にかにすっかり気分はお母さんだ。子供まだいないのに。
「ほら、早く中に入りなさいな」
「……」
しかし、褐色の女の子は何か警戒しているのか、その場から動かない。まあ分かる。何があったか知らないけれど、人の善意が信じられない時ってあるよね。
私はゆっくりと女の子の前で腰を屈める。視線が合う。琥珀色の綺麗な瞳している。羨ましい。
「私はリーディア。あなたのお名前は?」
「……リコ」
「そう、リコね。——安心して。ここは『コリン書店』。あなたがとりあえず一人で食べられるようになるまでは、面倒見てあげるわ」
そういって、私はリコの頭を撫でてやった。
—— ※ —— ※ ——
コリン書店は、先祖代々受け継いでいる家業の店名である。王都の外れ、薄日差す風通しの良い通り沿いにある。
この時代、書店の仕事は三種類ある。一つは文字通り書籍の売買。もう一つは、写本の製作。基本的に今の本は全部手書きである。だから人力で写す必要がある。
そしてもう一つは、呪文紙(スクロール)の製作である。呪文紙とは紙面に呪文が書かれていて、広げると魔法が発動するというアレである。
通常は大元になる原本があり、それを写本と同じ様に人力で複製する。複写の精度が高ければ高いほど、魔法の精度も高くなる。つまり職人技であり、精度が高い写本職人は重宝される。ウチの店員たちは基本、その写本職人である。
「……あら、初めてにしてはすごいじゃないの」
私は素直に感心した。昼食をとって少し落ち着いた後、新参のリコに試しに写本をさせてみた。呪文紙としては基礎の「明かり」の呪文紙。時間はかかったが、書き上がった呪文紙を見てびっくり。原本と寸分違わぬ出来だったからだ。この出来だったら最上級品として売れそうだ。
「リコ、もしかしてこの仕事したことがあるの?」
「ううん。でも、見たものを書くのは得意だから……」
褒められ慣れていないのか、リコは顔を赤らめて下を向いてしまった。かわいい。
しかしあれか、見たものを寸分違わず覚えて複写できる才能か。なかなかレアの才能だ。……これだったら二年も修行すれば、あっという間に独立できそうだ。というか、なぜそんな子がウチに?
「ねえライネス。この子、どこから拾ってきたのよ?」
「ん? 人身売買で連れてこられたトコロを保護したんだ」
「へー、その組織はどうしたの?」
「え、壊滅させたけど?」
「ぐっしょぶ」
私は親指を立てた。ライネスは王都騎士団の団員だ。王都騎士団とは……まあ王都の警察みたいなものだ。魔王が退治されてから数十年。世間的には随分と平和にはなったんだけど、まあ悪いことをする人間というのはいつの世にもいるもので……。
そういった仕事をしていると、まあまあ保護の必要な人たちっていうのが出てくる。大人であれば仕事を斡旋し、子供であれば親元に戻すか、それとも孤児院に引き取ってもらうかする。
そんな中、大人と子供の中間ぐらいっていう年齢が色々と問題があってねー。孤児院に入れるには育ちすぎているし、まあ男の子であれば力もあるから色々と潰しも聞くんだけど、女の子だとね……。行き先に苦慮する場合も多い。
これで大体分かったかな? そう、そういう子を、ライネスが連れてきちゃうというわけさ。まあウチとしても人手はあった方がいいし、連れてこられてきた子も手に職を付けられるので将来独立出来る。良いことずくめではあるんだけど、さっき言った理由から女の子ばかりになっちゃうのがね……。
最初の頃は苦労した。月一でライネスが女の子を連れてくるものだから、近所では「新婚なのに不仲説」とか「旦那が■■説」とか「実は百合の園説」とか、散々に言われまくった……釈明するのに苦労したわ。
まあそんなわけではありますが、私が完全に納得しているかというと話は別だ。理由は分かる。ライネスに不倫の気がないことも知っている。
でも! それでも定期的に女の子を連れ帰ってくるその姿ってのはさ、見る方としては複雑なのよ。
—— ※ —— ※ ——
こんこん。
寝室のドアをノックする音がする。私はダブルベッドの上に寝転がったまま、無視する。
こんこん。
またノックされる。ノックしているのは無論ライネスだ。ドアの前には「ライネスのみ入室厳禁」という貼り紙をしてある。彼はそれを無視出来ない。
こんこん。
「おーい、リーディア。機嫌直しておくれよー」
「やだ」
今宵の私は無慈悲だった。なぜ私が不機嫌なのか、その問いに正解しない限り、今夜は廊下で寝て貰う。
「帰ってくるのが一週間ぶりだから怒ってる?」
「ぶー」
「また女の子連れてきたから?」
「ぶー」
「もしかして、去年お気に入りのマイセンカップ割ったの、まだ怒ってる?」
「あ。折角忘れたのを思い出した上にそれは一昨年。減点」
「ええー……」
ドアの前で萎れるライネスの姿が見える様だった。でも私は容赦しない。これは夫婦の危機である。ここを蔑ろにしたらダメだと、私の本能が告げている。
「せめてヒントをおくれよ、愛するリーディアぁ……」
「うーん、ヒントか。ヒント……結局、ライネスの愛ってそんなものなのよね?」
「違うッ!」
どん。激しい音がして私はびくっとなった。「いてて」というライネスの呻き声がする。……さては勢い良く立ち上がった時にドアノブに頭でもぶつけたか?
「リーディア……愛しているよ、それだけは信じて欲しい」
「愛しているわ、ライネス。でも私は、何を見て信じたらいいの?」
「……!?」
あー。特大のヒントを言っちゃったか。私もまだまだ甘いな。
ドアの向こうで、ライネスがゆっくりと囁く。
「ごめんよリーディア。……今度から、他の女の子のご飯粒を取る前に、君の口元を確認するよ」
……正解。
夕食の時。ライネスは、リコの口元についたご飯粒を取ってあげた。別に普通の、優しいライネスにとってはいつも通りの、何気ない所作だ。
でもね、これは私の我が儘。私のことを愛しているのなら、まず私のことを見て欲しい。そうじゃないといつか、私は貴方を信じられなくなってしまう。それが怖い。
私はドアを開いた。鍵は別に掛かっていない。
「……ごめんねライネス。我が儘言って」
「オレの方こそごめん、リーディア」
私はライルスは見つめ合い、そしてそっと優しく唇を重ねた。
—— ※ —— ※ ——
——数日後。
「おお、リコは結構力持ちねー」
「そんなこと、ないです」
両手に紙袋を提げたリコは、恥ずかしそうに下を向く。うんうん、初々しくっていいのう。なんかちょっと百合百合しい気分になる。いけないいけない。私はライネス一筋なのだ。
今日はリコと一緒に、中央通りの小道具店まで買い出しに行ってきた。ペン先やインクなど、いろいろ所用の物は多いので週に一回は買い出しに出る。リコを連れてきたのは、買い出しの作業を覚えてもらう為でもある。リコは物覚えが良い。次は一人で行けるだろう。
「……あれ、なんだろ?」
私はふと足を止める。中央通りから横に伸びた路地に人が集まっている。野次馬? どうやら誰かが喧嘩をしている様だ。しばらくすると中央通りを巡回していた騎士たちが、私とリコに間を抜けて駆け付ける。
「喧嘩なんて野蛮ね。これだから男ってのは……」
「うぐっ?!」
「え?」
突然、リコが呻き声を残して消えた。紙袋の中身が路上に散乱する。慌てて振り返った私。そこで見たのは、いつの間にかに止まっていた馬車と、そして私に向かってくる無精髭の男。
あ、という声を上げる間もなく、私の意識は暗転した。
—— ※ —— ※ ——
「……なんでこんな女まで連れてきたんだ?! 始末するのが面倒だろうが」
「……女としか言われてなかったんだ。仕方無いだろう?」
「……褐色肌の小娘だっていったろ?! ったく、どうせ行き掛けの駄賃のつもりなんだろうが」
「……へっ! 分かってるじゃねえか」
意識が戻ってくる。頭痛い。男たちが喋っている声が聞こえてくる……薄暗い、夜の気配を感じる。どうやら私は床の上に転がされているらしい。身体を動かそうとするが、腕が動かない。縄で縛られていた。
「お、どうやら目を覚ましたようだな」
私が目を覚ましたのに気づいた。無精髭の男が近づいてきて、私の傍にしゃがみこむ。少し酔っているのか、酒臭い。私は眉間に皺を寄せる。
「あんたたち……何者なの? どうしようっていうの? リコは?」
「リコ? ああ、あの小娘か。ほれ、あそこだよ」
無精髭の男がくいっと顎を動かす。その先を見ると、縛られたリコが別の男に荷物の様に背負っているのが見えた。口には猿轡がされている。リコは暴れているが、男はまったく動じない。男はそのまま外へ出て行こうとする。
「ちょっと、リコをどうするつもり!?」
「なんだ、何も知らないのか? だったら教えてやるよ」
「おい、やめろ」
中年の男が制止するが、無精髭の男は口を止めない。
「あの娘はな、絵画の贋作作りの為に売られるのさ。何でもレアな技能持ちとかでな。折角南方から攫ってきたのに、騎士様に邪魔されちまった」
「え……?! もしかして、人身売買の組織ってアンタたちのこと? まだ生き残りがいたなんて……」
「そうだよ、あんたの旦那には随分世話になった。仲間もほとんどいなくなっちまったしな」
無精髭の男が下卑た笑いをする。あれ? 待って。もしかしてこの展開は……私の頬を冷や汗が伝う。私は身を捩るが、縄が緩む気配は一向に無い。それを見て、男はげひゃひゃと笑う。
「丁度良い。嫁さんのアンタに、旦那の責任を取ってもらうとするかな」
そういって無精髭の男はズボンのベルトを緩める。やっぱりー!? そういう展開はノーサンキューなんですけど!
「やめなさいよ! これだから下半身から生まれた男ってのはッ」
「へっへへ、旦那だって男だろうがよ?」
「失礼ね。ウチのライネスは待てが出来る良い子よ!」
「なんだいそりゃ? 新しいプレイか何かかい?」
「やめっ」
げひゃひゃと笑いながら男が手を伸ばしてくる。その手が上着を掴み、強く引っ張る。ボタンが弾け飛ぶ。
「……ライネスッ!」
私は思わずそう叫んでいた。
——その時。
部屋の壁が崩れた。比喩無しで、ぼこっと崩れた。室内にいた男たちの視線が、空いた穴に集まる。私も涙目で見た。
「………」
ゆらりと。その穴から出てきたのは、なんとライネスだった。彼はふはーと熱い吐息を吐き、ゆっくりと室内を見回す。
中年の男、リコを担いだ男、無精髭の男。そしてその下で、上着を被られかけている私。私は思った。「あ、まずい」と。
ライネスが「狂犬」モードに入っている。壁を突き破ってきたのと、無言なのがその証拠。普段のライネスはそんなに行儀悪くない。
「え?」
無精髭の男が疑問符を残して消えた。私も見えなかったが、男が天井に突き刺さっているのを見ると、たぶんライネスが殴って吹き飛ばしたのだ。さすが「狂犬」モードのライネス。もうこうなったら止められない。
「うわああああッ」
リコを担いだ男は慌てて外に逃げ出した。うん、彼は勘が良い。逆に突然のことに固まってしまった中年の男は、ライネスの横殴りを受けて今度は壁に突き刺さった。
ライネスは熱い吐息を吐きながら、リコを担いだ男の後を見つめた。一歩踏み出す。
「……あ」
私は思わず唸った。ライネスは男を追い掛けるより前に、私をそっと抱き上げたのだ。そのままお嬢様抱っこの体勢で抱き上げる。
(……嬉しい……)
私はそっとライネスの横顔に寄り添った。彼は、ライネスは忘れていなかった。まず私を見て欲しいという、私の願いを。それは「狂犬」でも変わらない。それが何よりも嬉しい。
「さあ! リコを取り戻して、ライネス!」
「がう」
ライネスは私を抱きかかえたまま、疾風の様に走った。夜風が気持ち良い。リコを担いだ男にはすぐに追いついた。ライネスの一撃で、男は呆気なくダウンする。
程なくして、周囲から騎士たちが集まってくる。縄を解かれた私とリコは抱き合って無事を喜んだ。
「おお、愛するリーディアよ。ごめんよー、こんな目に遭わせてしまって!」
「よしよし、お前はよくやった。さすがは私のライネス」
「狂犬」モードが解除されたライネスがその輪に加わる。その横を、人身売買の残党たちが連行されていく。そうして事件はようやく解決したのだった。
—— ※ —— ※ ——
——一ヶ月後
「……ヒマね……」
私は商店のカウンターに顎を乗せて店番をしていた。基本、店番は持ち回り制。それは店主(マスター)である私も例外ではない。
まあ、暇である。基本受注販売がメインだからね。店頭に稀覯本や呪文書を物色しに来る客など珍しい。楽と言えば楽だが、何もしないで待っているのは暇を通り越して苦痛ではある。
後ろの工房では、みんなが作業している。リコも作業手順は覚えたので、大体の作業は一人で完結できる。こりゃ独立するのも早いかな……。
あの後、人身売買の組織は懇切丁寧に根絶やしにされた。特に一度は根絶宣言をしたライネスの熱の入れようは尋常じゃなかったと噂で聞いた。まあそれだけじゃないとは思うけど……。
今もわざわざ南方にまで出向いて、最後の仕上げをしてくると行って出張中だ。そろそろ帰ってくるころだと思うが……。
からんころん。
ドアが開く音がする。
「いらっしゃい……って、ライネス!」
私は思わずカウンターから立ち上がった。そこにはちょっと日焼けしたライネスが立っていたからだ。どうやら出張から帰ってきたらしい。
「お帰りなさいライネス。仕事はどうだった?」
「うん。もちろん今度は確実に丁寧に殲滅してきたよ」
「そう、それはぐっじょぶ」
私が親指を立てる。ライネスもニッコリと微笑む。
「それでなんだが……」
「ん? どした?」
私もライネスが帰ってきて、嬉しくて浮かれていたのかもしれない。だからライネスの微妙な雰囲気に気がつかなかった。満面の笑みを浮かべる私の前に、「それ」はしずしずと歩み出る。
白い肌と金色の髪。年齢は十四、五程度か。ちゃんと食べているのか心配なぐらいに身が細い。そして……耳が尖っている。妖精種(エルフ)! 今度は人間ですらない。私はぐらりと地面が傾いた気がした。
「……また、世界の危機なんだ」
ライネスが子犬のような目をして、申し訳なさそうにそう言った。
【完】
私は自宅兼商店の入口の前で仁王立ちになり、ぷるぷると肩を震わせている。旦那はその覇気に気圧されたのか、一歩後退すると申し訳なさそうに控えめに笑う。その端正で綺麗な目鼻立ちが、心無しか震えている。
「……そんな怖い顔をしないでおくれよ、リーディア。これは世界の危機なんだ」
「ライネス。世界の危機と夫婦の危機、どちらが大切だとお思いなのかしら?」
「もちろん夫婦の危機さ。愛しているよリーディア」
私は思わず「キッ!」と音が出そうな勢いで旦那——ライネスを睨んだ。しおしおとその場で小さくなるライネス。
そんなライネスの横で、連れてきた女が私を威嚇する様に歯を剥く。茶褐色の肌、まだ年端もいかぬ少女と呼べる年頃だ。
なるほどなるほど。彼女からしてみれば、命の恩人が理不尽に怒られている構図に見えるワケだ。うんうん、分かっているわ。慣れているから。そう、慣 れ て い る か ら 。
私がそうやってニッコリと微笑むと、少女は逆に怖くなったのか。ライネスと同様に身を小さくして震え始めた。
「……あらまあ、コリンさんとこの旦那さん、また女の子を連れて帰ってきたわよ」
「……あらあらあまあまあ。奥さんも大変ねえ……上手くいっていないのかしら?」
遠くから、近所の奥様方のひそひそ話が聞こえてくる。私は眉間に皺を寄せ、はーと溜息をつく。一言一句、言われていることに間違いはないのだが、事情を知らない人に聞かれたら確実に誤解される内容だ。
「はー。まあいいわ、とりあえず中で話を聞きましょ」
「う、うん、そうだね」
私の「帰宅許可」が出ると、ライネスの顔がぱあと明るくなる。前から思っていたけど、ライネスは犬系だな。
私が自宅兼商店の入口へ振り返ると、店内にいたはずの店員たちがにょっきり顔を出してこちらの様子を眺めていた。その出歯亀精神に、私の眉間の皺が深くなる。
「あ、マスター。もしかして新しい子? それともあいじん?」
「へー褐色。南の子かな? この辺りじゃちょっと珍しいかも」
「マスター、腹減った。そろそろ昼飯食わせロー」
店員たちが口々にわちゃわちゃと騒ぎ出す。見て分かるか? 分からんか。全員女の子だ。そうだ、彼女たちはウチの商店で雇っている店員であり——ほぼ全員、ライネスが連れてきた子だ。
「おらー、まだ昼には早いぞー。とっとと仕事終わらせないと、昼飯抜きにするわよ!」
そう言いながら私が腕を振ると、きゃーと店員たちは店内へと逃げ帰る。まったく、いつの間にかにすっかり気分はお母さんだ。子供まだいないのに。
「ほら、早く中に入りなさいな」
「……」
しかし、褐色の女の子は何か警戒しているのか、その場から動かない。まあ分かる。何があったか知らないけれど、人の善意が信じられない時ってあるよね。
私はゆっくりと女の子の前で腰を屈める。視線が合う。琥珀色の綺麗な瞳している。羨ましい。
「私はリーディア。あなたのお名前は?」
「……リコ」
「そう、リコね。——安心して。ここは『コリン書店』。あなたがとりあえず一人で食べられるようになるまでは、面倒見てあげるわ」
そういって、私はリコの頭を撫でてやった。
—— ※ —— ※ ——
コリン書店は、先祖代々受け継いでいる家業の店名である。王都の外れ、薄日差す風通しの良い通り沿いにある。
この時代、書店の仕事は三種類ある。一つは文字通り書籍の売買。もう一つは、写本の製作。基本的に今の本は全部手書きである。だから人力で写す必要がある。
そしてもう一つは、呪文紙(スクロール)の製作である。呪文紙とは紙面に呪文が書かれていて、広げると魔法が発動するというアレである。
通常は大元になる原本があり、それを写本と同じ様に人力で複製する。複写の精度が高ければ高いほど、魔法の精度も高くなる。つまり職人技であり、精度が高い写本職人は重宝される。ウチの店員たちは基本、その写本職人である。
「……あら、初めてにしてはすごいじゃないの」
私は素直に感心した。昼食をとって少し落ち着いた後、新参のリコに試しに写本をさせてみた。呪文紙としては基礎の「明かり」の呪文紙。時間はかかったが、書き上がった呪文紙を見てびっくり。原本と寸分違わぬ出来だったからだ。この出来だったら最上級品として売れそうだ。
「リコ、もしかしてこの仕事したことがあるの?」
「ううん。でも、見たものを書くのは得意だから……」
褒められ慣れていないのか、リコは顔を赤らめて下を向いてしまった。かわいい。
しかしあれか、見たものを寸分違わず覚えて複写できる才能か。なかなかレアの才能だ。……これだったら二年も修行すれば、あっという間に独立できそうだ。というか、なぜそんな子がウチに?
「ねえライネス。この子、どこから拾ってきたのよ?」
「ん? 人身売買で連れてこられたトコロを保護したんだ」
「へー、その組織はどうしたの?」
「え、壊滅させたけど?」
「ぐっしょぶ」
私は親指を立てた。ライネスは王都騎士団の団員だ。王都騎士団とは……まあ王都の警察みたいなものだ。魔王が退治されてから数十年。世間的には随分と平和にはなったんだけど、まあ悪いことをする人間というのはいつの世にもいるもので……。
そういった仕事をしていると、まあまあ保護の必要な人たちっていうのが出てくる。大人であれば仕事を斡旋し、子供であれば親元に戻すか、それとも孤児院に引き取ってもらうかする。
そんな中、大人と子供の中間ぐらいっていう年齢が色々と問題があってねー。孤児院に入れるには育ちすぎているし、まあ男の子であれば力もあるから色々と潰しも聞くんだけど、女の子だとね……。行き先に苦慮する場合も多い。
これで大体分かったかな? そう、そういう子を、ライネスが連れてきちゃうというわけさ。まあウチとしても人手はあった方がいいし、連れてこられてきた子も手に職を付けられるので将来独立出来る。良いことずくめではあるんだけど、さっき言った理由から女の子ばかりになっちゃうのがね……。
最初の頃は苦労した。月一でライネスが女の子を連れてくるものだから、近所では「新婚なのに不仲説」とか「旦那が■■説」とか「実は百合の園説」とか、散々に言われまくった……釈明するのに苦労したわ。
まあそんなわけではありますが、私が完全に納得しているかというと話は別だ。理由は分かる。ライネスに不倫の気がないことも知っている。
でも! それでも定期的に女の子を連れ帰ってくるその姿ってのはさ、見る方としては複雑なのよ。
—— ※ —— ※ ——
こんこん。
寝室のドアをノックする音がする。私はダブルベッドの上に寝転がったまま、無視する。
こんこん。
またノックされる。ノックしているのは無論ライネスだ。ドアの前には「ライネスのみ入室厳禁」という貼り紙をしてある。彼はそれを無視出来ない。
こんこん。
「おーい、リーディア。機嫌直しておくれよー」
「やだ」
今宵の私は無慈悲だった。なぜ私が不機嫌なのか、その問いに正解しない限り、今夜は廊下で寝て貰う。
「帰ってくるのが一週間ぶりだから怒ってる?」
「ぶー」
「また女の子連れてきたから?」
「ぶー」
「もしかして、去年お気に入りのマイセンカップ割ったの、まだ怒ってる?」
「あ。折角忘れたのを思い出した上にそれは一昨年。減点」
「ええー……」
ドアの前で萎れるライネスの姿が見える様だった。でも私は容赦しない。これは夫婦の危機である。ここを蔑ろにしたらダメだと、私の本能が告げている。
「せめてヒントをおくれよ、愛するリーディアぁ……」
「うーん、ヒントか。ヒント……結局、ライネスの愛ってそんなものなのよね?」
「違うッ!」
どん。激しい音がして私はびくっとなった。「いてて」というライネスの呻き声がする。……さては勢い良く立ち上がった時にドアノブに頭でもぶつけたか?
「リーディア……愛しているよ、それだけは信じて欲しい」
「愛しているわ、ライネス。でも私は、何を見て信じたらいいの?」
「……!?」
あー。特大のヒントを言っちゃったか。私もまだまだ甘いな。
ドアの向こうで、ライネスがゆっくりと囁く。
「ごめんよリーディア。……今度から、他の女の子のご飯粒を取る前に、君の口元を確認するよ」
……正解。
夕食の時。ライネスは、リコの口元についたご飯粒を取ってあげた。別に普通の、優しいライネスにとってはいつも通りの、何気ない所作だ。
でもね、これは私の我が儘。私のことを愛しているのなら、まず私のことを見て欲しい。そうじゃないといつか、私は貴方を信じられなくなってしまう。それが怖い。
私はドアを開いた。鍵は別に掛かっていない。
「……ごめんねライネス。我が儘言って」
「オレの方こそごめん、リーディア」
私はライルスは見つめ合い、そしてそっと優しく唇を重ねた。
—— ※ —— ※ ——
——数日後。
「おお、リコは結構力持ちねー」
「そんなこと、ないです」
両手に紙袋を提げたリコは、恥ずかしそうに下を向く。うんうん、初々しくっていいのう。なんかちょっと百合百合しい気分になる。いけないいけない。私はライネス一筋なのだ。
今日はリコと一緒に、中央通りの小道具店まで買い出しに行ってきた。ペン先やインクなど、いろいろ所用の物は多いので週に一回は買い出しに出る。リコを連れてきたのは、買い出しの作業を覚えてもらう為でもある。リコは物覚えが良い。次は一人で行けるだろう。
「……あれ、なんだろ?」
私はふと足を止める。中央通りから横に伸びた路地に人が集まっている。野次馬? どうやら誰かが喧嘩をしている様だ。しばらくすると中央通りを巡回していた騎士たちが、私とリコに間を抜けて駆け付ける。
「喧嘩なんて野蛮ね。これだから男ってのは……」
「うぐっ?!」
「え?」
突然、リコが呻き声を残して消えた。紙袋の中身が路上に散乱する。慌てて振り返った私。そこで見たのは、いつの間にかに止まっていた馬車と、そして私に向かってくる無精髭の男。
あ、という声を上げる間もなく、私の意識は暗転した。
—— ※ —— ※ ——
「……なんでこんな女まで連れてきたんだ?! 始末するのが面倒だろうが」
「……女としか言われてなかったんだ。仕方無いだろう?」
「……褐色肌の小娘だっていったろ?! ったく、どうせ行き掛けの駄賃のつもりなんだろうが」
「……へっ! 分かってるじゃねえか」
意識が戻ってくる。頭痛い。男たちが喋っている声が聞こえてくる……薄暗い、夜の気配を感じる。どうやら私は床の上に転がされているらしい。身体を動かそうとするが、腕が動かない。縄で縛られていた。
「お、どうやら目を覚ましたようだな」
私が目を覚ましたのに気づいた。無精髭の男が近づいてきて、私の傍にしゃがみこむ。少し酔っているのか、酒臭い。私は眉間に皺を寄せる。
「あんたたち……何者なの? どうしようっていうの? リコは?」
「リコ? ああ、あの小娘か。ほれ、あそこだよ」
無精髭の男がくいっと顎を動かす。その先を見ると、縛られたリコが別の男に荷物の様に背負っているのが見えた。口には猿轡がされている。リコは暴れているが、男はまったく動じない。男はそのまま外へ出て行こうとする。
「ちょっと、リコをどうするつもり!?」
「なんだ、何も知らないのか? だったら教えてやるよ」
「おい、やめろ」
中年の男が制止するが、無精髭の男は口を止めない。
「あの娘はな、絵画の贋作作りの為に売られるのさ。何でもレアな技能持ちとかでな。折角南方から攫ってきたのに、騎士様に邪魔されちまった」
「え……?! もしかして、人身売買の組織ってアンタたちのこと? まだ生き残りがいたなんて……」
「そうだよ、あんたの旦那には随分世話になった。仲間もほとんどいなくなっちまったしな」
無精髭の男が下卑た笑いをする。あれ? 待って。もしかしてこの展開は……私の頬を冷や汗が伝う。私は身を捩るが、縄が緩む気配は一向に無い。それを見て、男はげひゃひゃと笑う。
「丁度良い。嫁さんのアンタに、旦那の責任を取ってもらうとするかな」
そういって無精髭の男はズボンのベルトを緩める。やっぱりー!? そういう展開はノーサンキューなんですけど!
「やめなさいよ! これだから下半身から生まれた男ってのはッ」
「へっへへ、旦那だって男だろうがよ?」
「失礼ね。ウチのライネスは待てが出来る良い子よ!」
「なんだいそりゃ? 新しいプレイか何かかい?」
「やめっ」
げひゃひゃと笑いながら男が手を伸ばしてくる。その手が上着を掴み、強く引っ張る。ボタンが弾け飛ぶ。
「……ライネスッ!」
私は思わずそう叫んでいた。
——その時。
部屋の壁が崩れた。比喩無しで、ぼこっと崩れた。室内にいた男たちの視線が、空いた穴に集まる。私も涙目で見た。
「………」
ゆらりと。その穴から出てきたのは、なんとライネスだった。彼はふはーと熱い吐息を吐き、ゆっくりと室内を見回す。
中年の男、リコを担いだ男、無精髭の男。そしてその下で、上着を被られかけている私。私は思った。「あ、まずい」と。
ライネスが「狂犬」モードに入っている。壁を突き破ってきたのと、無言なのがその証拠。普段のライネスはそんなに行儀悪くない。
「え?」
無精髭の男が疑問符を残して消えた。私も見えなかったが、男が天井に突き刺さっているのを見ると、たぶんライネスが殴って吹き飛ばしたのだ。さすが「狂犬」モードのライネス。もうこうなったら止められない。
「うわああああッ」
リコを担いだ男は慌てて外に逃げ出した。うん、彼は勘が良い。逆に突然のことに固まってしまった中年の男は、ライネスの横殴りを受けて今度は壁に突き刺さった。
ライネスは熱い吐息を吐きながら、リコを担いだ男の後を見つめた。一歩踏み出す。
「……あ」
私は思わず唸った。ライネスは男を追い掛けるより前に、私をそっと抱き上げたのだ。そのままお嬢様抱っこの体勢で抱き上げる。
(……嬉しい……)
私はそっとライネスの横顔に寄り添った。彼は、ライネスは忘れていなかった。まず私を見て欲しいという、私の願いを。それは「狂犬」でも変わらない。それが何よりも嬉しい。
「さあ! リコを取り戻して、ライネス!」
「がう」
ライネスは私を抱きかかえたまま、疾風の様に走った。夜風が気持ち良い。リコを担いだ男にはすぐに追いついた。ライネスの一撃で、男は呆気なくダウンする。
程なくして、周囲から騎士たちが集まってくる。縄を解かれた私とリコは抱き合って無事を喜んだ。
「おお、愛するリーディアよ。ごめんよー、こんな目に遭わせてしまって!」
「よしよし、お前はよくやった。さすがは私のライネス」
「狂犬」モードが解除されたライネスがその輪に加わる。その横を、人身売買の残党たちが連行されていく。そうして事件はようやく解決したのだった。
—— ※ —— ※ ——
——一ヶ月後
「……ヒマね……」
私は商店のカウンターに顎を乗せて店番をしていた。基本、店番は持ち回り制。それは店主(マスター)である私も例外ではない。
まあ、暇である。基本受注販売がメインだからね。店頭に稀覯本や呪文書を物色しに来る客など珍しい。楽と言えば楽だが、何もしないで待っているのは暇を通り越して苦痛ではある。
後ろの工房では、みんなが作業している。リコも作業手順は覚えたので、大体の作業は一人で完結できる。こりゃ独立するのも早いかな……。
あの後、人身売買の組織は懇切丁寧に根絶やしにされた。特に一度は根絶宣言をしたライネスの熱の入れようは尋常じゃなかったと噂で聞いた。まあそれだけじゃないとは思うけど……。
今もわざわざ南方にまで出向いて、最後の仕上げをしてくると行って出張中だ。そろそろ帰ってくるころだと思うが……。
からんころん。
ドアが開く音がする。
「いらっしゃい……って、ライネス!」
私は思わずカウンターから立ち上がった。そこにはちょっと日焼けしたライネスが立っていたからだ。どうやら出張から帰ってきたらしい。
「お帰りなさいライネス。仕事はどうだった?」
「うん。もちろん今度は確実に丁寧に殲滅してきたよ」
「そう、それはぐっじょぶ」
私が親指を立てる。ライネスもニッコリと微笑む。
「それでなんだが……」
「ん? どした?」
私もライネスが帰ってきて、嬉しくて浮かれていたのかもしれない。だからライネスの微妙な雰囲気に気がつかなかった。満面の笑みを浮かべる私の前に、「それ」はしずしずと歩み出る。
白い肌と金色の髪。年齢は十四、五程度か。ちゃんと食べているのか心配なぐらいに身が細い。そして……耳が尖っている。妖精種(エルフ)! 今度は人間ですらない。私はぐらりと地面が傾いた気がした。
「……また、世界の危機なんだ」
ライネスが子犬のような目をして、申し訳なさそうにそう言った。
【完】
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