15 / 17
本編
第十四話 墓参り
しおりを挟む
違和感とともに目が覚めた。少し苦しいし何か柔らかいものが背中に当たっている。後ろを見るとシフレががっつり僕をホールドしていた。すごく起こしたくない。でも起こさないと出られない。どうするべきか…。
朝っぱらから頬を引っぱたかれ寝起きは最悪だった。僕は悪くない。シフレが起きたら突然引っぱたかれた。昨日の夜の事覚えてないのか?
「今日はお墓に行く予定だったな。どこにあるんだ?」
「あの小高い丘の上。ほら、木が見えるだろ。」
木とは言っても枯れ果てているが。この周辺はあまり木が生えないそうで木材も離れた森から取りに行っている。
「おーい!そこの英雄さんよ!丸太取ってきてくれないか?」
と家を直している大工に頼まれた。あの日襲われた時から随分たったがあまり復興は進んでいない。一つは人手不足。もう一つは周りに木材にする木が無いことだ。
「3本ほどでいいか?私が用意しよう。」
シフレが代わりに返事をして、腰に携えた件を引き抜く。それを地面に軽く突き刺し目を瞑ると木が生えてきた。
「嬢ちゃんは魔術師か?この不毛の大地にこんなに立派な木を生やすとはな!」
シフレが大工に取り巻かれ褒めちぎられているが、それを半ば強引に終わらせ墓へと向かった。
丘を登ると静かで涼しい風か吹いた。そこには枯れ木がある。その下に四角い石が置いてあり、そこにはシフレと言う文字が刻まれていた。
「初めまして。私は元ディスマルク帝国第一皇子アンネローゼン・ディスマルクだ。今はあなたの名前を借りてシフレと名乗っている。私の部下が大変なことをした。申し訳ない。せめて…安らかに……。」
そう言ってシフレは枯れ木にエクスカリバーを突き刺ししゃがみ込んだ。そして祈る様な仕草をする。すると、木に青葉が戻り土の塊の様な地面から緑の芝が生えてきた。
「久しぶり、シフレ。僕は今復讐の旅に出てる。多分君は望んでないと思うけど僕にはそれしかやることが無いから。それにこの世界は…間違ってる。」
一瞬静寂に包まれる。風の音だけが空気を揺らし、髪や服をたなびかせる。しかしその静寂は見知らぬ人によって打ち切られた。
「やぁ、如月 徹くん。会えるの楽しみにしてたよ。」
振り返ると全身が白いスーツの様な服で身を固めた白髪の男が立っていた。見た目は僕と同じくらいか少し上くらいだ。
「貴方は誰です?見たところ帝国の人には見えませんが。」
シフレが僕の腕を引っ張った。そして険しい表情を浮かべる。
「アイツは元ディスマルク帝国騎士の中でも四剣と呼ばれている騎士の元一員だ。それにその四剣の第一騎士を務めていた。要するにリーダーだ。」
「アンネローゼン様。お久しぶりです。まぁ私のことはキラとでも呼んで下さい。」
常に笑っているキラの顔は何の感情もこもっておらずただ少しの殺意が漂っていた。
朝っぱらから頬を引っぱたかれ寝起きは最悪だった。僕は悪くない。シフレが起きたら突然引っぱたかれた。昨日の夜の事覚えてないのか?
「今日はお墓に行く予定だったな。どこにあるんだ?」
「あの小高い丘の上。ほら、木が見えるだろ。」
木とは言っても枯れ果てているが。この周辺はあまり木が生えないそうで木材も離れた森から取りに行っている。
「おーい!そこの英雄さんよ!丸太取ってきてくれないか?」
と家を直している大工に頼まれた。あの日襲われた時から随分たったがあまり復興は進んでいない。一つは人手不足。もう一つは周りに木材にする木が無いことだ。
「3本ほどでいいか?私が用意しよう。」
シフレが代わりに返事をして、腰に携えた件を引き抜く。それを地面に軽く突き刺し目を瞑ると木が生えてきた。
「嬢ちゃんは魔術師か?この不毛の大地にこんなに立派な木を生やすとはな!」
シフレが大工に取り巻かれ褒めちぎられているが、それを半ば強引に終わらせ墓へと向かった。
丘を登ると静かで涼しい風か吹いた。そこには枯れ木がある。その下に四角い石が置いてあり、そこにはシフレと言う文字が刻まれていた。
「初めまして。私は元ディスマルク帝国第一皇子アンネローゼン・ディスマルクだ。今はあなたの名前を借りてシフレと名乗っている。私の部下が大変なことをした。申し訳ない。せめて…安らかに……。」
そう言ってシフレは枯れ木にエクスカリバーを突き刺ししゃがみ込んだ。そして祈る様な仕草をする。すると、木に青葉が戻り土の塊の様な地面から緑の芝が生えてきた。
「久しぶり、シフレ。僕は今復讐の旅に出てる。多分君は望んでないと思うけど僕にはそれしかやることが無いから。それにこの世界は…間違ってる。」
一瞬静寂に包まれる。風の音だけが空気を揺らし、髪や服をたなびかせる。しかしその静寂は見知らぬ人によって打ち切られた。
「やぁ、如月 徹くん。会えるの楽しみにしてたよ。」
振り返ると全身が白いスーツの様な服で身を固めた白髪の男が立っていた。見た目は僕と同じくらいか少し上くらいだ。
「貴方は誰です?見たところ帝国の人には見えませんが。」
シフレが僕の腕を引っ張った。そして険しい表情を浮かべる。
「アイツは元ディスマルク帝国騎士の中でも四剣と呼ばれている騎士の元一員だ。それにその四剣の第一騎士を務めていた。要するにリーダーだ。」
「アンネローゼン様。お久しぶりです。まぁ私のことはキラとでも呼んで下さい。」
常に笑っているキラの顔は何の感情もこもっておらずただ少しの殺意が漂っていた。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
その断罪、三ヶ月後じゃダメですか?
荒瀬ヤヒロ
恋愛
ダメですか。
突然覚えのない罪をなすりつけられたアレクサンドルは兄と弟ともに深い溜め息を吐く。
「あと、三ヶ月だったのに…」
*「小説家になろう」にも掲載しています。
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
あれ?なんでこうなった?
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、正妃教育をしていたルミアナは、婚約者であった王子の堂々とした浮気の現場を見て、ここが前世でやった乙女ゲームの中であり、そして自分は悪役令嬢という立場にあることを思い出した。
…‥って、最終的に国外追放になるのはまぁいいとして、あの超屑王子が国王になったら、この国終わるよね?ならば、絶対に国外追放されないと!!
そう意気込み、彼女は国外追放後も生きていけるように色々とやって、ついに婚約破棄を迎える・・・・はずだった。
‥‥‥あれ?なんでこうなった?
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
【完結】悪役令嬢の断罪現場に居合わせた私が巻き込まれた悲劇
藍生蕗
ファンタジー
悪役令嬢と揶揄される公爵令嬢フィラデラが公の場で断罪……されている。
トリアは会場の端でその様を傍観していたが、何故か急に自分の名前が出てきた事に動揺し、思わず返事をしてしまう。
会場が注目する中、聞かれる事に答える度に場の空気は悪くなって行って……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる