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7章 エピローグ

52.【拘束】*

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 2人の別れから5年後ほどのち。
 ラシャは魔王の玉座の前に立つレオンの姿を見て震えた。

「レオンが……勇者だったのか」
「ずっと会いたかった」

 光を集めたように輝くプラチナブロンド、森の中の湖のような澄んだ緑の瞳は初めて出会った時と同じように美しい。
 当時、見ることが叶わなかったラシャの移植された黄金の右目は問題なく動くようで、ジッとラシャを見つめている。
 レオンに似合うと思って置いて行った緑の宝石の額飾りをいまだしている姿に胸が痛くなった。

 凛々しく端正な顔立ちは、5年の間で以前よりも男らしさを増していた。
 その顔が冷たい笑みを浮かべている。

「会いたかったが、ラシャが魔王だなんて想定外だ。そんな器じゃないだろう?」

 ラシャの内情を知っているレオンの言葉だけに、ラシャはその言葉の意味が正確に理解できる。
 あざけりに聞こえるその言葉は、本来のところ最弱の王子と言われたラシャに魔王の素養がなかったことを的確についている。

「俺の父も兄も殺したのはレオンだろ? あとは幼い弟だけ。混乱する戦時中にとりあえずおかれたお飾りの魔王だよ」
「なるほど。あんたがここにいた事に驚いたが、あんたらしくもある。あんたは簡単に全てを捨てようとするからな。ペットも、あんたの命すらも。お飾りなんて立場は蹴って逃げ出せばいいだろうに」
「レオンこそわかってないな。魔王は最後に勇者の前に立ちはだからないといけないんだ。物語でもそうなっている」
「立ちはだかる……ね」

 目の前に立つレオンがラシャの頰をなでた。
 いつのまにか手袋を脱いだ手は、昔を思い出させる温かいもので、冷えていたラシャはついその手に頰を寄せていた。
 ただ昔よりも傷が増えていた。
 レオンの体温にうっとりしたが、慌てて身を離して緩んだ顔を取り繕う。

「それで、望みはなんだ? 魔の島が欲しいのか? 魔王を殺しに来たのか?」

 身を屈めたレオンがラシャの耳に顔を寄せる。
 レオンの両手は、ラシャの肘置きを掴む手の上に乗せられて、そのまま押さえつけてくる。
 レオンの手にこもる力が強く、ラシャの両手が痛みを感じた。
 痛みに眉を寄せたラシャに、レオンが囁いた。

「あんたに捨てられてからずっと思っていた。魔族を滅ぼそうと。最後があんただ」




 ラシャは両手足を玉座に縛られて動けなかった。
 レオンの魔法で編まれた細い光の鎖が巻きつき、ラシャは両手を開き、足も開いて固定されたまま、あっけなく身動きが取れなくなった。

「……レオ……」

 魔族の露出の高い服は簡単に肌蹴られ、ラシャの秘部まで全てをレオンに晒していた。

「魔族は人間よりも寿命が長いんだってな。たった5年じゃ、あんたのどこも変わりない。逆に俺は年を取る代わりに色んな力をつけたよ」

 以前はほとんど見ることのなかったレオンの魔法に縛られて、ラシャもレオンの成長を感じる。
 レオンの手にラシャは髪を引っ張られた。

「く……ぅ」

 髪の下から晒された首筋に噛みつかれて、ラシャは声を飲み込んだ。
 ラシャの滲んだ血がレオンの唇にうつった。それをレオンはペロリとなめる。

「そうだ、あんたはこんな味だったな」

 何度も乱暴に噛み付いたレオンだが、次第にその動きが優しくなる。
 噛み付いた跡をなめる姿は卑猥で、ラシャも腰の奥が熱くなりはじめた。

「んぅ……っ」

 レオンが欲情を滲ませる眼差しでラシャを見ながら、ラシャの胸の尖りを舌先でなめる。

「ひぁっ……レオン」

 湿った舌先で舐め上げられてラシャは震えた。この感覚も5年ぶりだ。

「ここは触らなかったのか? 前は赤くぽってりして卑猥になっていたのに、すっかり元通りだな」

 そういいながら、レオンはラシャの胸筋を揉み、乳首を弾くようにくすぐる。その度に襲われる快感にラシャはピクッと震えた。
 乳輪をくすぐられ、乳首をコリコリ転がされる感覚は久しぶりだ。久しぶりでもラシャはすぐに感じはじめてしまい、快感に体が動いてしまうのを止められない。

「あ……ぁん」

 玉座に縛り付けられた手を握りしめて、快感を追わないように耐えようとしても、レオンが吸い付くたびに体がはねて、意味がなかった。

「や……!」

 片方を強く吸われ、もう片方を強くつままれると、ビクンと腰が浮いてしまった。
 強い刺激の後は、レオンに陵辱されているとは思えないほど優しく宥めるように舐められた。

 このままでは、また前のように卑猥で外に出せない乳首になりそうだ。
 でも縛り付けられて快感を追うしかないラシャに、レオンを止めるすべはない。

「し……ない、自分でなんて……そんなこと」
「俺の代わりの……ペットは?」
「ペット?」

 レオンがラシャの開かれた股のあいだに手をおく。その指が力ないレオンのモノをはさみ、悪戯にクニクニといじった。

「満月の夜、あんたを慰める存在はいたのか?」
「そんなのはいない。俺を満足させたのはレオンだけだ」

 レオンの顔に一瞬歓喜が浮かんだ。それにラシャも驚く。
 レオンは今をときめく勇者だ。
 ペットだった頃のことなど、闇に葬りたい記憶なんじゃないのか?

 レオンはラシャの口に指を突っ込み、無理やりこじ開けると自分の舌をさしいれた。
 長くしなやかにみえるが、勇者の指は強固だ。ラシャに指と舌を噛み切ることなどできず、指をはまされたまま、レオンの肉厚の舌に口内を蹂躙された。
 飲み込めない唾液が顎へ伝っていく。

「アッ……んは……んん」

 レオンの舌に絡めとられるような濃厚なキスをしながら、ラシャの精気がレオンへ流れ込んでいくのがわかる。
 それでも良い気がした。精気のことなど関係なく、レオンに触れているだけで、ラシャの体は快感に震える。

 レオンはキスをしながら股を開いたラシャの股間に膝を擦り付け、なぶるように緩急をつけてラシャのモノと尻のあいだの場所を押してくる。
 キスをしながら押されていると、どんどんムズムズとした感覚が湧き上がる。
 後ろの蕾から中に入れられて、感じるそこを突かれている時のような感覚。
 魔法の鎖が足を動かそうとするたびに食い込んだ。

「あ……ッ!もぅ……い……!」

 ラシャは縛られたまま、体をビクンビクンとはねさせて、力のない前から蜜をしたたらせた。

「あ……ぁぁッ」
「相変わらず感じやすい体だな。これで本当に男を求めずにいられたのか?」

 レオンがラシャのだした蜜を指に絡め、後ろの蕾に突っ込んだ。

「ひぁッ!」

 キツく閉じたラシャの後ろの蕾は、ひさしぶりに入れられたことに痛みを感じた。

「ッ……こっちも、せまいな」

 後ろをほぐされながら、ラシャの前を抜かれる。クチュクチュ湿った音をたてながら、ラシャの前から出る蜜が後ろにたれていき、レオンの指の滑りをよくした。

「あ……ッ!また、……いく!」

 いきそうになったとたん、ラシャのモノの根本を抑えて動きがとめられ、いきそうでいけないまま、ラシャはヒクヒクと身を震わせた。

「あ……」
「まだだ」

 後ろに入った指をぎゅうぎゅうと締め付けてしまう。しばらくして快感が逃げていくと、またレオンに後ろをいじられる。

「ひぁ……ッ!……ひん」

 いきそうでいけない感覚を何度も味わい止められているうちに、快感の波が止まらなくなり、ひっきりなしに体が痙攣する。

「あ……あぁ……あ……」

 縛られた指先まで快感に支配されて痙攣する。
 ラシャの後ろの蕾に与えられる刺激だけに意識を集中してしまう。
 もっと強い刺激が欲しくて、ラシャは縛られた体のまま、指の動きに合わせて小さく腰を動かしていた。

「そんなに欲しいのか? 淫乱に腰が揺れてるぞ」

 レオンは笑いながらも欲望の滲む目でラシャのそこを凝視している。
 柔らかくほぐれたそこから、レオンの指が引き抜かれる。
 蕾にレオンの熱いモノが押し当てられた。

 ラシャは体を震わせながらその衝撃を待った。
 …………だが、レオンはそのまま動きを止めてしまう。

「……れ、おん……ほしいから、いれて」

 ラシャは息を荒げながら、敵の勇者にねだっていた。
 レオンは腰を止めたまま、ラシャをジッと睨んだ。緑と金色の目がギラギラ光っていて、その激しい美しさに少しうっとり見てしまう。
 だが、そのおねだりに勇者はそっぽをむく。

「いやだ。なんであんたが気持ちいいことをしないとならないんだ」

 レオンは大きくなった自身のものをラシャの蕾から外し、ラシャのモノと合わせて握ると腰を動かした。
 それだけでも気持ち良く、ラシャは声を上げながらいった。

「あぁ………………んぅ」

 ラシャの力ないものはトロトロと流れてレオンの手を汚し、レオンのものは激しく飛びながらラシャの胸と顔に散った。

「は……はぁ……」

 レオンが息を荒げながら身を起こした。汗の張り付いた前髪をかき上げた。
 右目を縦に横断するように残る傷跡は、かなり薄くなったがまだ残っている。端正な顔立ちだが、傷跡のせいで凄味を増している。
 その傷跡を残したままレオンと離れた。そう思い出したラシャの胸に後悔がよぎった。
 本当ならラシャが近くで癒してやりたかったという思いが強く心を締め付ける。

「レオン……優しいな」
「はぁ?」

 怒った顔で見下ろすレオンだが、ラシャは怯まずについ笑ってしまった。

「俺を殺すなら、欲望のままに突っ込めば良かったのに。父上を倒すほどの力をつけた今のレオンなら、それだけで俺の精気を吸い尽くして殺せるだろう」

 ラシャの言葉に、レオンは押し黙った。

「レオン、魔法を解いてくれ」

 ラシャの言葉にレオンは不貞腐れた顔で従う。
 解放されたラシャは、そのままレオンを抱きしめた。

「置いて行ってごめん。すごく怒ってたんだな。もう俺の全部をキミにあげるから、ずっとそばにおいてくれ」

 レオンの腕がラシャの体に回った。強く抱きしめられて痛いはずなのに、心が満たされた。

「俺……レオンのことを愛してるんだ」

 レオンが腕の中で頷いたのがわかった。
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