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3章 ちゃんとお仕事します
17.神官長がフラフラどうした
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「え……な? 風呂で……まさか、そんな……?」
「しらねぇの? お互い裸になってな? オイルを垂らしてマッサージしてるうちに、気持ち良くなってきてアソコがーー」
「いや! うん、やめてくれ。想像してしまう」
「想像してくれよ。なんなら、家の風呂に入るたびに思い出して興奮していいぞ」
「そんな……ふしだらな行為……」
ちょっとつつきすぎたのか、また禁欲的な神官長モードになったウォーレンがブツブツいいながらチビチビ酒を飲み始めた。
「あ~ぁ、想像したら興奮してきた。ウォーレン襲っちゃう前に、酒でも飲もうっと! 今夜はカクテルメニュー全部制覇とかしちゃおっかな!」
「あぁ、好きに頼んでくれ」
いつも太っ腹なウォーレンだ。
太っ腹に感謝して、メニュー全部制覇を頼むために、1階のバーカウンターに向かった。
そして目の前に揃ったグラス。いや、ちょっと失敗したかも……。
さすがにグラスが多すぎるぞ。
VIPルームのテーブルの上に、いろんなグラスが50客並んだ。
これ、裏メニューみたいなのも入れられてる気がする。メニュー表には30種類くらいしかなかったよな?
でも、一口ずつ飲み比べするってのも面白いか!
テーブルの端から一口ずつ飲んでみることにする。それでも半分もいかないうちに、アルコールが回って眠くなってきた。
口に合うやつはついつい飲み過ぎちゃうしさ。
「ん~~~……ウォーレ~~ン。眠くなってきたぁ。1人じゃのめそうになーい」
「そうか、今、動きがありそうだから、しばらく待ってくれ」
「えぇぇほんとに寝ちゃうよ? 構ってくれないと寝ちゃうんだからね?」
「どうぞ、眠いなら寝ればいい」
背を向けたままのウォーレンの声が、また少し笑っていた。
まぁ……いいか。
また一口飲みながら、頭がふわふわしていくのに任せる。1人掛けソファの座り心地も気持ちよく眠気を誘う。
いつの間にか、まぶたが落ちていた。
「ランス!」
ウォーレンの声に、意識が戻った。
どこか切羽詰まった声が聞こえて、不思議に思う。
いつものVIPルームだ。なにも変わったことはない。
寝る前は1人掛けソファで丸くなった記憶だったけど、今はベッドの上だ。運んでくれたのかな。
いやまて、やっぱりおかしい。
俺を覗きこんでいるウォーレンの顔が妙に火照ってみえるし、息も荒いような……。
「んん、ウォーレン? どうした?」
「いや、……さっきから体の調子が悪いんだ。……体が妙に熱くて……風邪かもしれん。だから今日は帰ろうと思って……」
そういいながらフラフラしたウォーレンの体がのしかかってきて押し潰された。
本当に体が熱い。
酒を飲んでも赤くなるのを見たことがないウォーレンが、頬を赤らめて、潤んだ目でこっちをみている。
あ~エロい。
いやまてまて息子、元気になるのは早い。様子がおかしいぞ。
さっきまで普通の様子だったのに、突然の風邪?
「何か変だ……いやまてよ? カクテルを飲んだのか?」
「あぁ」
「いやぁ、まさかまさか……」
まさかだ。ウォーレンの下から這い出して確認すると、ウォーレンの飲み干したらしいグラスの中に、薬が混じっているやつがあった。
においでわかる。媚薬だなコレ……。
裏メニューに媚薬入りカクテルがあるのか……。
「ランス……すまない。馬車を呼べないだろうか」
「いや、そんな危ない状態で、あんたを帰せるわけないだろ。あんた媚薬入りカクテルでフラフラしてんだよ」
「びやく……?」
「興奮して性欲が強くなる薬。裏メニューにあったみたいで、混じってたんだ」
ウォーレンが何か考えようとする顔で、額を押さえている。
その頭がゆっくり傾き――そのままベッドに突っ伏した。
「おぉい! 大丈夫か?」
ベッドに仰向けにすると、ぼんやりしたウォーレンと目が合う。
「うん、すごくボーッとして……どうしよう。どうしたらいいんだ?」
ふだんと違いすぎる。助けを求めるように伸ばされた指も、握ると熱い。いつもの冷たい指じゃない。
「暑……水……」
「ハイハイ水ね」
ベッド脇のサイドテーブルで、ピッチャーからグラスに注ぐと、ウォーレンを支えながら飲ませた。
飲み干したウォーレンが、気だるげなため息をつく。
火照った頰に濡れた唇がエロ…………
「んんっ?!」
え? キスされてんじゃん俺ェ?
「しらねぇの? お互い裸になってな? オイルを垂らしてマッサージしてるうちに、気持ち良くなってきてアソコがーー」
「いや! うん、やめてくれ。想像してしまう」
「想像してくれよ。なんなら、家の風呂に入るたびに思い出して興奮していいぞ」
「そんな……ふしだらな行為……」
ちょっとつつきすぎたのか、また禁欲的な神官長モードになったウォーレンがブツブツいいながらチビチビ酒を飲み始めた。
「あ~ぁ、想像したら興奮してきた。ウォーレン襲っちゃう前に、酒でも飲もうっと! 今夜はカクテルメニュー全部制覇とかしちゃおっかな!」
「あぁ、好きに頼んでくれ」
いつも太っ腹なウォーレンだ。
太っ腹に感謝して、メニュー全部制覇を頼むために、1階のバーカウンターに向かった。
そして目の前に揃ったグラス。いや、ちょっと失敗したかも……。
さすがにグラスが多すぎるぞ。
VIPルームのテーブルの上に、いろんなグラスが50客並んだ。
これ、裏メニューみたいなのも入れられてる気がする。メニュー表には30種類くらいしかなかったよな?
でも、一口ずつ飲み比べするってのも面白いか!
テーブルの端から一口ずつ飲んでみることにする。それでも半分もいかないうちに、アルコールが回って眠くなってきた。
口に合うやつはついつい飲み過ぎちゃうしさ。
「ん~~~……ウォーレ~~ン。眠くなってきたぁ。1人じゃのめそうになーい」
「そうか、今、動きがありそうだから、しばらく待ってくれ」
「えぇぇほんとに寝ちゃうよ? 構ってくれないと寝ちゃうんだからね?」
「どうぞ、眠いなら寝ればいい」
背を向けたままのウォーレンの声が、また少し笑っていた。
まぁ……いいか。
また一口飲みながら、頭がふわふわしていくのに任せる。1人掛けソファの座り心地も気持ちよく眠気を誘う。
いつの間にか、まぶたが落ちていた。
「ランス!」
ウォーレンの声に、意識が戻った。
どこか切羽詰まった声が聞こえて、不思議に思う。
いつものVIPルームだ。なにも変わったことはない。
寝る前は1人掛けソファで丸くなった記憶だったけど、今はベッドの上だ。運んでくれたのかな。
いやまて、やっぱりおかしい。
俺を覗きこんでいるウォーレンの顔が妙に火照ってみえるし、息も荒いような……。
「んん、ウォーレン? どうした?」
「いや、……さっきから体の調子が悪いんだ。……体が妙に熱くて……風邪かもしれん。だから今日は帰ろうと思って……」
そういいながらフラフラしたウォーレンの体がのしかかってきて押し潰された。
本当に体が熱い。
酒を飲んでも赤くなるのを見たことがないウォーレンが、頬を赤らめて、潤んだ目でこっちをみている。
あ~エロい。
いやまてまて息子、元気になるのは早い。様子がおかしいぞ。
さっきまで普通の様子だったのに、突然の風邪?
「何か変だ……いやまてよ? カクテルを飲んだのか?」
「あぁ」
「いやぁ、まさかまさか……」
まさかだ。ウォーレンの下から這い出して確認すると、ウォーレンの飲み干したらしいグラスの中に、薬が混じっているやつがあった。
においでわかる。媚薬だなコレ……。
裏メニューに媚薬入りカクテルがあるのか……。
「ランス……すまない。馬車を呼べないだろうか」
「いや、そんな危ない状態で、あんたを帰せるわけないだろ。あんた媚薬入りカクテルでフラフラしてんだよ」
「びやく……?」
「興奮して性欲が強くなる薬。裏メニューにあったみたいで、混じってたんだ」
ウォーレンが何か考えようとする顔で、額を押さえている。
その頭がゆっくり傾き――そのままベッドに突っ伏した。
「おぉい! 大丈夫か?」
ベッドに仰向けにすると、ぼんやりしたウォーレンと目が合う。
「うん、すごくボーッとして……どうしよう。どうしたらいいんだ?」
ふだんと違いすぎる。助けを求めるように伸ばされた指も、握ると熱い。いつもの冷たい指じゃない。
「暑……水……」
「ハイハイ水ね」
ベッド脇のサイドテーブルで、ピッチャーからグラスに注ぐと、ウォーレンを支えながら飲ませた。
飲み干したウォーレンが、気だるげなため息をつく。
火照った頰に濡れた唇がエロ…………
「んんっ?!」
え? キスされてんじゃん俺ェ?
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