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1章 神官長がきた
3.昼職の知り合いなんです
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楽屋も通路も、舞台の裏は散らかっているしネズミが走り抜けるような汚い場所だ。王国の繁華街の片隅という立地では、どこの店でも裏側にはそういう乱雑さがある。
それでも、客に見せる表側はピカピカに磨き上げられ、飾り立てられている。
舞台に立つキャストが客に夢とエロスを魅せるためだ。
「今夜は、いつもと同じ演目だ。しっかり見せつけてこい!」
店長の掛け声もいつもの通り。
薄暗い店内で、舞台の上にはライトが当たる。反射するほどに磨かれた舞台の上に立ち、体に染み込んだダンスで魅せた。
たまに新しいダンスの習得に励むこともあるけど、今日はいつもの慣れた演目が続く日だ。
中性的な美貌のミーシャたちが猫のようなしなやかさで踊る。尻を向けて踊っている時は女よりも女に見えるエロさ。
続いて俺やリックのような筋肉質なやつの踊り。
客席に流し目をやり、体に手を這わせながら一枚ずつ服を脱いでいく。
「は……、やけに、客の多いことで……」
「給料日……だからな……」
音楽に紛れる小声にリックからも返事があった。
たまに客席アピールすると、おひねりの紙幣をパンツにねじ込まれる。
今夜は客が多いから、おひねりが多い。でもな、おひねりを突っ込みついでのように、俺のチンコを握っていったおっさん、おまえは許さん。
ダンス中の悪戯は悪戯で返すのが信条だ。
アドリブダンスのフリをしておっさんを舞台に引っ張り上げる。おっさんは慌てながらも嬉しそうにニヤケた顔だ。
愛撫のフリして後ろからヘッドロックをかけ、キンタマを強く握ってやると、「ひぅっ」とか泣き声を上げながら痛みに悶絶して舞台に崩れ落ちた。
そのまま黒服に舞台袖へ引きずられていく。ざまぁみろ。
リックには呆れた目で見られたけど。
ハプニングはありつつも、想定内。
いつもの舞台と変わらない。放心していても体は勝手にいつもの動きをするくらいに染み込んでいる。
いつもの手順で踊りながら、例の上司を見る余裕くらいある。
そんなわけで、舞台の上から神官長を観察していた。
やっぱりおかしい。この店にくる客としては異質だ。
なんてったって、舞台を全く見てないんだから。
さっきから一度たりとも目が合わない。むしろ下を向いているというか、机の上のグラスを凝視している。
じゃあ、酒飲み目的かというとそれも違うようで、グラスには飲み物がなみなみとはいったまま、手をつけている様子がない。
何が目的なんだか、検討がつかないな。
ただ、目が合わないくらいに舞台を見ていないということは、俺に気づく可能性も低い。
ただの後光が差している置物と思え。無視だ無視。
ショーが終わると、汗ばんだ肌を拭いながら楽屋に戻った。
このショーパブのダンスは1日2回の上演だ。次まで2時間ある。
楽屋に戻ってソファで寝転ぶ俺を尻目に、他のダンサーは身だしなみを整えると客席へ接客に出ていった。
この店には、接客だけの一般キャストと、ダンス兼接客の上級キャストがいる。
だから、演目が終わるとダンサーもみんな接客に出るから楽屋は空になる。
接客と言っても、お喋りするだけのノータッチな高級店じゃない。
ボディタッチはOK。挿入はキャスト合意の上。個室料金で部屋も取れる。
たまにトイレでやってるのもいるが、長くなると強面の黒服に追い出される。
だからキャストっていっても別名では男娼だ。
そんな中で俺は特別扱いを受けて、接客を免除されている。ダンスオンリー。
これが店長との持ちつ持たれつの中身だ。
「おい、ランス」
再び楽屋に現れた店長に……嫌な予感がする。
「おや? 店長がこんな時間に楽屋に顔を出すとは……よほど店が暇なんすね?」
「逆だ。猫の手も借りたいほど忙しい。ってなわけで、おまえ、新規のイケメンの席につけ」
「げぇぇえええ?! いやいやいや、ぜっっったいに嫌だ!」
「今、あの客につけられる上級キャストがいないんだ! 一般キャストもつけてみたがどうにもハマらんようでな……。でもあの金を持っていそうな客を逃がすわけにはいかん! バカ猫が! 手を貸せ!!」
やばすぎる。
なんとか顔バレせずにショーを乗り切れたと思ったのに、こんどは面と向かってセクシー衣装で上司の接客?
ドッキリ企画じゃないんだからね?! バレたら人生アウトだよ?!
「まてよ! 俺はダンサーで、男娼じゃないだろ! いつも接客は免除されてるじゃねーか」
「そんな契約はしてないだろうが! ランス目当ての客につかせると問題ばっかり起こすから、接客から外してるだけだ! あの客はおまえ目当てっぽくもないし、問題ない」
俺目当てじゃないけど、変につついたら俺に目が向いちゃうかもじゃん?!
「え~~~でも、こんな顔も見えない覆面ダンサーがきたらガッカリすんじゃない? やめとこ!」
「おまえに顔はいらん!体だけあれば大丈夫!」
ひどいぃ、そんな風に思っていたの店長……顔もまぁまぁいいと思うんだけど!?
「いや実はあれ、俺の昼職の知り合いで……」
「そんな嘘いうほど嫌か?! 顔バレしないための覆面ダンサーなんだ、問題ない! さっさといけ!」
まじで????
それでも、客に見せる表側はピカピカに磨き上げられ、飾り立てられている。
舞台に立つキャストが客に夢とエロスを魅せるためだ。
「今夜は、いつもと同じ演目だ。しっかり見せつけてこい!」
店長の掛け声もいつもの通り。
薄暗い店内で、舞台の上にはライトが当たる。反射するほどに磨かれた舞台の上に立ち、体に染み込んだダンスで魅せた。
たまに新しいダンスの習得に励むこともあるけど、今日はいつもの慣れた演目が続く日だ。
中性的な美貌のミーシャたちが猫のようなしなやかさで踊る。尻を向けて踊っている時は女よりも女に見えるエロさ。
続いて俺やリックのような筋肉質なやつの踊り。
客席に流し目をやり、体に手を這わせながら一枚ずつ服を脱いでいく。
「は……、やけに、客の多いことで……」
「給料日……だからな……」
音楽に紛れる小声にリックからも返事があった。
たまに客席アピールすると、おひねりの紙幣をパンツにねじ込まれる。
今夜は客が多いから、おひねりが多い。でもな、おひねりを突っ込みついでのように、俺のチンコを握っていったおっさん、おまえは許さん。
ダンス中の悪戯は悪戯で返すのが信条だ。
アドリブダンスのフリをしておっさんを舞台に引っ張り上げる。おっさんは慌てながらも嬉しそうにニヤケた顔だ。
愛撫のフリして後ろからヘッドロックをかけ、キンタマを強く握ってやると、「ひぅっ」とか泣き声を上げながら痛みに悶絶して舞台に崩れ落ちた。
そのまま黒服に舞台袖へ引きずられていく。ざまぁみろ。
リックには呆れた目で見られたけど。
ハプニングはありつつも、想定内。
いつもの舞台と変わらない。放心していても体は勝手にいつもの動きをするくらいに染み込んでいる。
いつもの手順で踊りながら、例の上司を見る余裕くらいある。
そんなわけで、舞台の上から神官長を観察していた。
やっぱりおかしい。この店にくる客としては異質だ。
なんてったって、舞台を全く見てないんだから。
さっきから一度たりとも目が合わない。むしろ下を向いているというか、机の上のグラスを凝視している。
じゃあ、酒飲み目的かというとそれも違うようで、グラスには飲み物がなみなみとはいったまま、手をつけている様子がない。
何が目的なんだか、検討がつかないな。
ただ、目が合わないくらいに舞台を見ていないということは、俺に気づく可能性も低い。
ただの後光が差している置物と思え。無視だ無視。
ショーが終わると、汗ばんだ肌を拭いながら楽屋に戻った。
このショーパブのダンスは1日2回の上演だ。次まで2時間ある。
楽屋に戻ってソファで寝転ぶ俺を尻目に、他のダンサーは身だしなみを整えると客席へ接客に出ていった。
この店には、接客だけの一般キャストと、ダンス兼接客の上級キャストがいる。
だから、演目が終わるとダンサーもみんな接客に出るから楽屋は空になる。
接客と言っても、お喋りするだけのノータッチな高級店じゃない。
ボディタッチはOK。挿入はキャスト合意の上。個室料金で部屋も取れる。
たまにトイレでやってるのもいるが、長くなると強面の黒服に追い出される。
だからキャストっていっても別名では男娼だ。
そんな中で俺は特別扱いを受けて、接客を免除されている。ダンスオンリー。
これが店長との持ちつ持たれつの中身だ。
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再び楽屋に現れた店長に……嫌な予感がする。
「おや? 店長がこんな時間に楽屋に顔を出すとは……よほど店が暇なんすね?」
「逆だ。猫の手も借りたいほど忙しい。ってなわけで、おまえ、新規のイケメンの席につけ」
「げぇぇえええ?! いやいやいや、ぜっっったいに嫌だ!」
「今、あの客につけられる上級キャストがいないんだ! 一般キャストもつけてみたがどうにもハマらんようでな……。でもあの金を持っていそうな客を逃がすわけにはいかん! バカ猫が! 手を貸せ!!」
やばすぎる。
なんとか顔バレせずにショーを乗り切れたと思ったのに、こんどは面と向かってセクシー衣装で上司の接客?
ドッキリ企画じゃないんだからね?! バレたら人生アウトだよ?!
「まてよ! 俺はダンサーで、男娼じゃないだろ! いつも接客は免除されてるじゃねーか」
「そんな契約はしてないだろうが! ランス目当ての客につかせると問題ばっかり起こすから、接客から外してるだけだ! あの客はおまえ目当てっぽくもないし、問題ない」
俺目当てじゃないけど、変につついたら俺に目が向いちゃうかもじゃん?!
「え~~~でも、こんな顔も見えない覆面ダンサーがきたらガッカリすんじゃない? やめとこ!」
「おまえに顔はいらん!体だけあれば大丈夫!」
ひどいぃ、そんな風に思っていたの店長……顔もまぁまぁいいと思うんだけど!?
「いや実はあれ、俺の昼職の知り合いで……」
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