夏なので、怪談話を1つ

夜船 紡

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学校の灯り

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私が通っていた小学校は、高台にありました。
その周囲は他に高い建物もないからでしょう。私の部屋の窓からも学校がしっかりと見えるのです。
当時は、学校の怪談が流行っていたこともあり夜に学校を見たくなくて毎日カーテンを閉めていました。
ですが、ある日、私はそれを忘れて眠ってしまったのです。
夜中に私は目を覚ましました。
部屋の中は真っ暗で殆ど何も見えません。またすぐに寝付けず、目が慣れてきたのでトイレに向かいました。

(あ、カーテンが……)

部屋から戻って一番最初に目に入ったのは、窓でした。
閉めないとという使命感にも似た、何かを感じて私は窓に駆け寄ります。
暗い場所にほつんと立つ白い建物が視界に入ってきます。それが学校なのはすぐにわかりました。

(なんだ、怖くないじゃない)

何の変哲もない建物があるだけ。
気にしすぎ、テレビや本の見過ぎだと、その時は思いました。
しかし、よく見るとおかしいのです。
教室の1つに明かりが突然つきました。
宿直の先生が見回りっているのでしょう。流れるように、消えてはつき、消えてはつきます。
けれども、次の瞬間、それは起きました。

チカチカチカチカ

建物全体に電気がついては消えるのです。
点滅するように、何度も、何度も。
その異常な光景に私は怖くなって急いでカーテンを閉めました。
カーテンが閉まった瞬間、窓にドコッという何かが当たったような音が聞こえてきました。
しかし、私は布団に潜り込み、確認なんてできません。見るのが怖かったのです。
そのまま、暫くして私は眠りにつくことができました。
朝、起きて私はカーテンを開けます。
窓も開けて下を見ましたが、そこには何もありません。
学校に行き、先生に昨日の宿直者さんに尋ねると偶然その先生でした。
なので私は教室の明かりについても尋ねましたが、先生は見ていなかったというのです。
確かにチカチカと眩しいくらい光っていたのに。
それに、あのぶつかった音は何だったのか…… 今でも不思議です。
けれども、私はそれを確かめたいとは思いません。
現在は自室の部屋を変えてもらい学校が見えない場所で眠っていますしね。


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