夏なので、怪談話を１つ

テレビ

この体験は私の父より聞いた話です。

私は幼い頃、2階建ての木造の一軒家に住んでいました。
1階では私と母と父が布団で川の字になり、2階では2人の姉が2段ベットで眠っていたそうです。
それは、私がハイハイが出来るぐらいの赤ちゃんだった時に起こりました。
ふと父が夜中に目を覚ましたそうです。

(水でも飲むか)

そう思って起き上がった時、母と共に寝ていた筈の私の姿がない事に気が付きました。
目が覚めて徘徊してしまったのかと辺りを見渡しましたが、布団の周り、部屋の中にはいないのです。

(一体何処へ……)

その時、ザーザーと微かに音が聞こえてきたそう。
音の方へと顔を向けると居間に繋がる襖が僅かに開いているのに気づき、父は居間へ。
そこには真っ暗な中、砂嵐が映ったテレビがありました。
そして、そのテレビの前に座り、泣きもせず真顔で見つめる私の姿も。
父は、不審に思いつつも居間の明かりをつけてテレビを消しました。
すると、私の顔はみるみる歪み、泣き出しました。
すごい大泣きで結局母も起きてきて一緒になってあやしたとか。
霊的な現象はなかったそうですが、居間へと続く襖は父が寝るときにしっかりと閉めていたそうです。
また、いくら家の中とはいえ暗闇の中、赤ちゃんが1人テレビをつけ、ジッと見つめるというのも少し不気味な出来事だったと言われていました。


一体、小さな頃の私は、砂嵐のテレビの中に何を見ていたのでしょうか？