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本編
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「それで、みー先生は、ずっとマリア様やルーク様の側で、家族同然に可愛がってきたってことなのね・・・」
そりゃ、マリア様もルーク様もみんな性格が変わってるわけだわ。
そう呟いて、クリスティーヌ様いや、楓ちゃんは私を見た。
そして、寂しげに言う。
「この世界でも、お互い親に恵まれなかったね」
その一言に違和感があった。
その一言で気づいてしまった。
今、彼女がどんな環境にいるのかに。
前世と同じならば、彼女は性的な虐待を受けていた可能性すらある。
今すぐ、あの家から離さないといけないが、私では身分が低すぎる。
「楓ちゃん・・・貴方・・・」
「うん、でもね、今は無関心状態だよ!てか、その為に花とか育ててたの。前世でさ、みー先生が教えてくれた知識、ここでも役に立ったよ?だから、大丈夫・・・大丈夫なの・・・」
ぽろぽろと涙をこぼす楓ちゃん。
いや、クリスティーヌ様を見て私は考えていたことをいつか必ず実行しようと心に決めた。
考えていたこと、それは貴族用の学園だ。
幼児から中等部までの大規模な学校を作ろうと思ったのだ。
もちろん、私だけでは作ることも、いや、考えを言うことすら本来出来なかっただろう。
だか、今はマリア様やクラウス様、ルーク様を通じて公爵様、王様や王妃様にも認識されている。
一介の侍女の待遇ではあり得ないほどの優遇・・・
だからこそ、成し遂げられるかもしれない。
もしかしたら、気が狂ったと言われ捨てられるかもしれないけれど根回しをしていきたいと思う。
そして、今は、クリスティーヌ様だ。
今は、金のなる木として扱われているという。
しかし、人間は慣れる生き物だ。
それが当たり前になった時、またクリスティーヌ様は被害にあうことになる。
どうすればいいだろう?
答えは出ず、クリスティーヌ様は、そのまま自宅へと帰っていった。
「またきますね」
と、笑みを浮かべながら・・・
「はぁ・・・」
「エルゼ、どうしたというの?クリスが帰ってから、貴方、様子がおかしくってよ」
マリア様の美しい髪をときながらも心あらずで、クリスティーヌ様のことを考えていたら、マリア様に言われた。
「ねぇ、もしかして・・・私ではなく、クリスティーヌに仕えたいなんて、言わないわよね?」
「違うのです、マリア様・・・!実は・・・」
誤解を解くために、私は、前世の話はせずに、今のクリスティーヌ様が好きでもない男に身体を許さねばならない環境にあるかもしれないという話、伯爵の悪い噂があり、クリスティーヌ様がその被害にあう可能性などを話した。
「マリア様の初めてのお友だちですから、私もどうすれば良いかと・・・」
「成る程ねぇ・・・。アヌーレ!明日、ドルマンにここに来てもらってちょうだい。エルゼ、貴方は心配しなくても大丈夫よ。私の、この公爵家の権力に敵う貴族なんていらっしゃらないわ」
「は、はぁ・・・」
10歳だというのに、マリア様は頼もしすぎる。が、心遣いが嬉しくて、思わず微笑んだ。
そして、次の日、ドルマンにマリア様が何をいったのかはわからないけれども、クリスティーヌ様は、公爵家で住むことになった。
名目はマリア様の学友として、最高の教育を受け共に成長をさせるためとのこと。その教育費や生活費は全てこの公爵家で持つことにして、預かったというのだ。
決まった時、クリスティーヌ様はぽろぽろと泣いた。
「マリア様・・・ありがとう・・・」
「いいのよ、いいの。私はクリスの友人なんですもの。友人は助け合わないと」
マリア様も涙を浮かべながらぎゅっとクリスティーヌ様を抱きしめた。
私も、席を外して泣いた。
ありがとうございます、マリア様。
ありがとうございます、ドルマン様。
ありがとうございます、公爵様。
ありがとうございます・・・
そうして、クリスティーヌ様は公爵家で育ち、クラウス様とも仲良くなり、ルーク様の邪魔をしてはウザがられながらも受け入れされている様子だ。
こうして、ドンドン月日は流れ、マリア様は14歳になられた。
そりゃ、マリア様もルーク様もみんな性格が変わってるわけだわ。
そう呟いて、クリスティーヌ様いや、楓ちゃんは私を見た。
そして、寂しげに言う。
「この世界でも、お互い親に恵まれなかったね」
その一言に違和感があった。
その一言で気づいてしまった。
今、彼女がどんな環境にいるのかに。
前世と同じならば、彼女は性的な虐待を受けていた可能性すらある。
今すぐ、あの家から離さないといけないが、私では身分が低すぎる。
「楓ちゃん・・・貴方・・・」
「うん、でもね、今は無関心状態だよ!てか、その為に花とか育ててたの。前世でさ、みー先生が教えてくれた知識、ここでも役に立ったよ?だから、大丈夫・・・大丈夫なの・・・」
ぽろぽろと涙をこぼす楓ちゃん。
いや、クリスティーヌ様を見て私は考えていたことをいつか必ず実行しようと心に決めた。
考えていたこと、それは貴族用の学園だ。
幼児から中等部までの大規模な学校を作ろうと思ったのだ。
もちろん、私だけでは作ることも、いや、考えを言うことすら本来出来なかっただろう。
だか、今はマリア様やクラウス様、ルーク様を通じて公爵様、王様や王妃様にも認識されている。
一介の侍女の待遇ではあり得ないほどの優遇・・・
だからこそ、成し遂げられるかもしれない。
もしかしたら、気が狂ったと言われ捨てられるかもしれないけれど根回しをしていきたいと思う。
そして、今は、クリスティーヌ様だ。
今は、金のなる木として扱われているという。
しかし、人間は慣れる生き物だ。
それが当たり前になった時、またクリスティーヌ様は被害にあうことになる。
どうすればいいだろう?
答えは出ず、クリスティーヌ様は、そのまま自宅へと帰っていった。
「またきますね」
と、笑みを浮かべながら・・・
「はぁ・・・」
「エルゼ、どうしたというの?クリスが帰ってから、貴方、様子がおかしくってよ」
マリア様の美しい髪をときながらも心あらずで、クリスティーヌ様のことを考えていたら、マリア様に言われた。
「ねぇ、もしかして・・・私ではなく、クリスティーヌに仕えたいなんて、言わないわよね?」
「違うのです、マリア様・・・!実は・・・」
誤解を解くために、私は、前世の話はせずに、今のクリスティーヌ様が好きでもない男に身体を許さねばならない環境にあるかもしれないという話、伯爵の悪い噂があり、クリスティーヌ様がその被害にあう可能性などを話した。
「マリア様の初めてのお友だちですから、私もどうすれば良いかと・・・」
「成る程ねぇ・・・。アヌーレ!明日、ドルマンにここに来てもらってちょうだい。エルゼ、貴方は心配しなくても大丈夫よ。私の、この公爵家の権力に敵う貴族なんていらっしゃらないわ」
「は、はぁ・・・」
10歳だというのに、マリア様は頼もしすぎる。が、心遣いが嬉しくて、思わず微笑んだ。
そして、次の日、ドルマンにマリア様が何をいったのかはわからないけれども、クリスティーヌ様は、公爵家で住むことになった。
名目はマリア様の学友として、最高の教育を受け共に成長をさせるためとのこと。その教育費や生活費は全てこの公爵家で持つことにして、預かったというのだ。
決まった時、クリスティーヌ様はぽろぽろと泣いた。
「マリア様・・・ありがとう・・・」
「いいのよ、いいの。私はクリスの友人なんですもの。友人は助け合わないと」
マリア様も涙を浮かべながらぎゅっとクリスティーヌ様を抱きしめた。
私も、席を外して泣いた。
ありがとうございます、マリア様。
ありがとうございます、ドルマン様。
ありがとうございます、公爵様。
ありがとうございます・・・
そうして、クリスティーヌ様は公爵家で育ち、クラウス様とも仲良くなり、ルーク様の邪魔をしてはウザがられながらも受け入れされている様子だ。
こうして、ドンドン月日は流れ、マリア様は14歳になられた。
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