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復讐

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結局、クリスティーヌとアイザックは離縁する事になった。
慰謝料も殆どなく、着の身着のまま追い出されるようにして出ていくクリスティーヌをイザベラは屋敷の窓から見送った。

「ふふ、あははは!」

誰もいない部屋でイザベラは勝利の哄笑をあげた。
10年、その年月をかけて彼女はアイザックを取り戻し、自身の居場所を奪い返した。
けれども、彼女の復讐はそこでは終わらない。
アイザックの性格を彼女はよくわかっている。
手に入ったものを疎んじ、手放したものを惜しむ。
いつかまた同じことを繰り返そうとするだろう。
その前に手を打とう。
この家も、土地も全て自分とお腹の子の名義に変えてしまおう。
そうすれば、彼をうしなったとしても生活は確保できる。
それに、今出て行ったクリスティーヌの様に出て行くアイザックの姿を想像すると笑いがこみ上げてくる。
そんな母親に反応したかの様に、胎の中で胎児が動くのを感じ、イザベラは先程と打って変わった愛情の籠もった顔で自身の胎を撫ぜる。

「馬鹿な人」

クリスティーヌが10年かけても子どもが生まれなかったのは、彼に問題があった事をイザベラは自身の身を持って知った。
そして、知ってからは早かった。
彼の父に声をかけ、その子種を貰い、子を宿したのだ。
勿論、アイザックや彼の母はそんな事を知らない。
自分の子だと、孫だと信じている。
何かあった時、あの義父は役に立ってくれるだろう。

「さぁて、部屋のお片付けをしなくっちゃ」

嫌いな女クリスティーヌの気配が一つも残らないように、使用人も全て入れ替えよう。
ニンマリとした笑みでイザベラは言った。

「人の物を取るからこんな目に合うの」

彼女の予測が当たりアイザックが出て行く日が来るかは、神のみぞ知ることである。

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