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運命の日

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翌日、なんとか気持ちを持ち直したクリスティーヌは、昨日の態度をアイザックに詫びた。
一晩考えて、彼の気持ちを取り戻したいと考えたからだ。
そこから、なるべくアイザックの側へ、愛想を振り撒き、当時のように甘えていた。
しかし、彼の生活は変わらなかった。
それどころか、遅くなる日が増えて、帰ってこない日も多くなる。
その度にクリスティーヌは嘆いた。
そんなある日。

「クリスティーヌ」

珍しく早く帰ってきたアイザックがクリスティーヌを呼んだ。

「アイザックさま」
「君に話がある」

真剣な顔の彼に、昔の出来事を思い出す。
なんとか返事を返す事ができたが、視界が酷く鈍る。

「別れて欲しい」

クリスティーヌは、人形のようにカタンと座り込んだ。
恐れていた事が起きてしまった。
ガタガタと震えながらアイザックに問いかける。

「な、何故です!アイザックさま!」
「入ってくれ」

アイザックの言葉に扉が開き、中から自分を見下すように微笑むイザベラの姿があった。
彼女はアイザックの側によると自身のお腹を大切げに撫でた。
その動作に、クリスティーヌははっと気がついた。
イザベラが、アイザックの子を宿したのだと。

「御免なさいね、クリスティーヌさま」

うふふとイザベラが笑う。

「街で偶然再会したんだ。当時の事を彼女は許してくれ、肩身の狭い日陰でいいからと言ってくれた。しかし、妊娠したからにはその子どもにまで悲しい思いをさせたくない。わかるだろう?別れてくれ」
「嫌、嫌です!アイザックさまっ!私のことを愛していると言ってくださったじゃありませんか!」
「君は、この10年、子を宿す事はなかった。もう両親も君との離婚を了承してくれたよ」
「そんな、そんな・・・」

アイザックの言葉に、クリスティーヌは嘆いた。
そして、イザベラの最後の言葉にクリスティーヌは打ちのめされた。

「ふふ、クリスティーヌさま?元々彼はわたくしと婚約していたのよ?これは運命なの」
「うんめい・・・」
「そう、歪んだ形が元の鞘に収まっただけ。残念でしたわね」

ガタガタと震えるクリスティーヌを見て、イザベラの唇は嬉しげに釣り上がるのだった。
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