とある小さな村のチートな鍛冶屋さん

夜船 紡

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トランキル帝国編

川遊び、行く前の準備は大切です

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ぷにぷに。
ぷにぷに。

ジェードの言葉が気になって姿鏡の前でお肉のついてしまった二の腕やお腹を触る。
うん、やっぱり太ってる。体重計はないから何キロぐらい太ったのかはわからないけど・・・。
最近美味しいものを食べすぎたしなぁ。
和食は太りにくいっていうけど、やっぱり量の問題かな?
お肉もカロリーがあるしなぁ。
でも、タンパク質も大事だっていうよね。
うーん・・・そうだ!魚だ!!
魚の油は脂肪を燃えやすくするって昔TVで言ってた気がするし、何より、食べたい!
村の市場だと魚は出ないし、『猫の目亭』のご飯でも、仕入れが難しいらしく中々メニューに載らないからあまり食べる機会がなかったんだよね・・・。
よーし、そうと決まれば!
普段着のワンピースから、動きやすいズボンに着替える。
今日は、運動も兼ねて林の中の川に魚釣りに行こう!
あ、でも、魔物はどうしよう。
悩んでいる私を見て不審に思ったのか、フローがどうしたの?と尋ねる。

「林の中の川に魚釣りに行こうと思うんだけど、魔物、いるよなぁと思って」
ーそれやったら、魔物除け持って行ったらいいやん
「魔物除け?」

フローと同じく、また悩み出した私を見ていたルビーくんが提案してくれる。

ー樹なんやけどな、傷つけると血みたいな樹液が流れるんや!
ーお薬にもなるの。
ーその樹の匂いが人には感じえへんねんけど、魔物にとっては避けて通りたいぐらいの匂いらしい。
「へぇ、そうなんだ!ラリマーに聞いてみよ」

早速ラリマーの所へ行って事情を話すとラリマーは呆れたように意外な事実を教えてくれた。

ーマスタ、その樹ならずっと、このお庭にあるよ~?

ラリマーがお昼寝の時に使っている、樹がその木だったのだ。
白い樹皮に覆われ、キノコの傘のように枝を広げた樹。その下の日陰は程よい涼しさで過ごしやすいのだ。
まさか、この樹がそうだとは・・・。
気を取り直して、樹に少しナイフで切り目を入れると本当に血のような、赤い樹液が流れてくる。
その樹液をコップ1杯分程取るとセラフィが樹を癒してくれた。
【ブラッド・ツリーの樹液・・・人には感知できない魔物が嫌いな匂いを発し、魔物を寄せ付けない。しかし、嗅覚がない魔物には効果がない。また、止血や鎮痛の効果があり薬としても使われている】
鑑定をかけると、樹の名前がわかった。血の木ってそのまんまなんだね・・・。
魔物除けとしての使い方は、鉄板の上でコイン大の大きさに垂らしでしばらく待つと、水分が飛んで固形化するのでそれを持ち歩くようだ。以前、ネビルさんが使っていた魔除の香とはまた違うものなんだねと私がいうと、魔物が苦手な匂いは結構あるから、手に入りやすくて加工しやすい物を使っているんじゃない?この樹はこの地域には生えていないからねとラリマーは興味なさげに告げた。
あんまり、人に興味ないらしい。
少し話している間に、カラカラに樹液が固まったので、それをポケットに入れる。
釣りの道具も、以前の市場で見て買ったものがある。
水筒代わりの水さしにお茶を入れて・・・よし。

「出発だー!!」
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