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5.妖精眼ってなあに?
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厨房に向かった時とは違う道を使い辿り着いた部屋は沢山の本棚に囲まれ、机が一つ置いてあるだけのこじんまりとした部屋だった。
「ここは私の書斎なのですよ」
部屋の主である銀髪の麗人はやっていた作業を止めて私たちの方へとやってきて私が持っているクッキーを見つけて「これが……」と呟いて1枚手に取るとマジマジと見つめた。
「不思議な香ばしい甘い香りですね」
その艶やかな唇へとクッキーが吸い込まれーーサクッと音がして彼の目が輝く。
「美味しい……これが、主が求める『美味なる供物』……」
ゴクリと喉が鳴る音がした様な気がした。
彼はクッキーから目を離すと私へと向き合う。
「私はこの神殿の長を務めるシュゼット・フロランタンと申します」
「あ……わ、私は、南藤春菜です」
「ナン……ドゥ?変わったお名前ですね」
「えっと、春菜です!春菜が先で、南藤が苗字なんです」
「そうなんですか。ハルゥナですね」
……こんな普通に話せるのに、なんで名前だけ片言になってしまうのだろう。
いや、こういう物なんだと割り切った方がいいかな?うん。割り切ろう。
「神殿長。彼女のことですが……」
トルテさんが神殿長に耳打ちをする。
「なんと……ハルゥナは妖精眼の持ち主でしたか」
「実は妖精眼の意味が良くわかっていないんです。名前の通り妖精が見えるって意味ならそうですけど……」
「そうでしたか。ハルゥナの言った通り、妖精が見える眼のことであっていますよ。この世界には沢山の妖精がいます。ですが、通常は目には写りません。貴方や私のように特殊な眼を持っている者以外には見えないのです」
「そうだったんですか……」
「ええ。ですから、その眼を持つ者は大事にされるんですよ。私が神殿長になれたのもそのお陰です」
「神殿長!それは違いますっ!!」
「ふふ、冗談ですよ」
納得した私だったけど、神殿長の言葉に強く反応したのはトルテさんだった。
それに対して、神殿長は微笑を浮かべながら唇に指を置いた。そしてボソッと呟いた。
「ですが、妖精眼を持っているなら巫女候補になるかもしれませんね」
「え?」
「いえ、こちらの話です」
その声は聞き取れなくて、思わず聞き返したけど、笑顔で躱されてしまった。
「では、ハルゥナ。あなたの部屋を準備致しました。こちらへどうぞ」
「神殿長自ら案内されるのですか!?」
「トルテ。主が望まれたのです。それを叶えるのは私の使命……」
「御意」
突っ込まないけど、何、この小芝居。
神殿長に案内してもらうのは、そんなに大層なことなのか。
そして私の所為じゃないのに、なんで図々しいヤツだみたいな顔で見られないといけないの、トルテさん!
承諾したの、自分でしょうが!!
前を歩く神殿長と私の後ろを歩くトルテさん。
トルテさんの視線がザクザクと体に突き刺さっている気がしてならない……
うへぇ……早く着いて……
「わふっ。ご、ごめんなさい」
「いえ、大丈夫ですよ」
背後を気にしながら歩いていた所為か、前をちゃんと見てなくて神殿長にぶつかってしまった。
ああ゛ートルテさん、わざとじゃない!わざとじゃないから睨まないでっ!!
「ハルゥナ、貴方の部屋につきましたよ」
「ここは私の書斎なのですよ」
部屋の主である銀髪の麗人はやっていた作業を止めて私たちの方へとやってきて私が持っているクッキーを見つけて「これが……」と呟いて1枚手に取るとマジマジと見つめた。
「不思議な香ばしい甘い香りですね」
その艶やかな唇へとクッキーが吸い込まれーーサクッと音がして彼の目が輝く。
「美味しい……これが、主が求める『美味なる供物』……」
ゴクリと喉が鳴る音がした様な気がした。
彼はクッキーから目を離すと私へと向き合う。
「私はこの神殿の長を務めるシュゼット・フロランタンと申します」
「あ……わ、私は、南藤春菜です」
「ナン……ドゥ?変わったお名前ですね」
「えっと、春菜です!春菜が先で、南藤が苗字なんです」
「そうなんですか。ハルゥナですね」
……こんな普通に話せるのに、なんで名前だけ片言になってしまうのだろう。
いや、こういう物なんだと割り切った方がいいかな?うん。割り切ろう。
「神殿長。彼女のことですが……」
トルテさんが神殿長に耳打ちをする。
「なんと……ハルゥナは妖精眼の持ち主でしたか」
「実は妖精眼の意味が良くわかっていないんです。名前の通り妖精が見えるって意味ならそうですけど……」
「そうでしたか。ハルゥナの言った通り、妖精が見える眼のことであっていますよ。この世界には沢山の妖精がいます。ですが、通常は目には写りません。貴方や私のように特殊な眼を持っている者以外には見えないのです」
「そうだったんですか……」
「ええ。ですから、その眼を持つ者は大事にされるんですよ。私が神殿長になれたのもそのお陰です」
「神殿長!それは違いますっ!!」
「ふふ、冗談ですよ」
納得した私だったけど、神殿長の言葉に強く反応したのはトルテさんだった。
それに対して、神殿長は微笑を浮かべながら唇に指を置いた。そしてボソッと呟いた。
「ですが、妖精眼を持っているなら巫女候補になるかもしれませんね」
「え?」
「いえ、こちらの話です」
その声は聞き取れなくて、思わず聞き返したけど、笑顔で躱されてしまった。
「では、ハルゥナ。あなたの部屋を準備致しました。こちらへどうぞ」
「神殿長自ら案内されるのですか!?」
「トルテ。主が望まれたのです。それを叶えるのは私の使命……」
「御意」
突っ込まないけど、何、この小芝居。
神殿長に案内してもらうのは、そんなに大層なことなのか。
そして私の所為じゃないのに、なんで図々しいヤツだみたいな顔で見られないといけないの、トルテさん!
承諾したの、自分でしょうが!!
前を歩く神殿長と私の後ろを歩くトルテさん。
トルテさんの視線がザクザクと体に突き刺さっている気がしてならない……
うへぇ……早く着いて……
「わふっ。ご、ごめんなさい」
「いえ、大丈夫ですよ」
背後を気にしながら歩いていた所為か、前をちゃんと見てなくて神殿長にぶつかってしまった。
ああ゛ートルテさん、わざとじゃない!わざとじゃないから睨まないでっ!!
「ハルゥナ、貴方の部屋につきましたよ」
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