上 下
212 / 215
第5章 皇帝編

第194話 モンゴル帝国の分裂(1) ~モンゴル帝国帝位継承戦争~

しおりを挟む
 アレッポ攻防戦に先立つこと数か月前。

 モンゴル帝国のモンケハーンは東征軍を統括する弟のフビライに不信感を抱いていた。
 東征を急ぐモンケに対して、フビライは漠南漢地大総督に任命された後、南宋を侵攻するに当たって、正面攻撃による短期決戦を避け、雲南・大理遠征を行うなど長期戦の構えを明らかにしていたのだ。

「フビライは何をしているの。いつになったら南宋を討伐できるのだ!」

 フビライは後方のドロン・ノールに腰を据えて動かず、ここに遊牧宮廷の補給基地となる都城の開平府を築き、姚枢ようすうら漢人のブレーンを登用して中国を安定して支配する道を模索していた。
 モンケハーンには、この動きが東方で自立を目指しているようにも見えた。

 フビライを南宋作戦の責任者から更迭し、南宋への戦線を東方三王家筆頭でテムゲ・オッチギンの孫タガチャルにまかせたがすぐに撤退してしまう。

「もはやフビライに任せはおけぬ。我が自ら陣頭指揮に立って終わらせてくれるわ!」

 自ら陝西に入って親征を開始し、河南から四川の南宋領を転戦したが、釣魚城攻略中に、軍中で流行した疫病に罹って陣没した。

 急死したモンケは、後継者をはっきりときめておらず、後継者争いが発生する。
 後継者候補は大きく分けてフビライ、フラグ、アリクブケらのモンケの弟とモンケの遺児があったが、焦点は弟たちとなった。

 だが、フラグは遠くイランの地で遠征を行っており、帝位争奪に参加しようと思っても間に合わないのは明白であり、結局最有力候補はフビライとアリクブケに絞られた。

 遊牧民の末子相続の風習やアリクブケが帝国の本拠地たるモンゴル高原にあることからいって、アリクブケがかなり優勢だった。
 その上、フビライは生前のモンケと南宋侵攻の方針で対立しており、モンケの旧臣、遺児たちもこぞってアリクブケを支持しており、フビライは圧倒的に不利な状況にあった。

 しかし、多くの者がフビライの性急な北還を予想している中で、フビライはあえて南進を続け、鄂州を攻め始めた。
 これには急いで北還することで配下の軍、特に漢人部隊が離散することを防ぎ、モンケの死により散り散りになった諸将を味方に引き入れる目的があった。
 結果、この狙いは見事に的中し、遠征途上にあったモンゴル軍の諸将は続々とフビライの下に結集し、特に東方三王家の軍を率いるタガチャルがフビライの陣営に入ったことで、日和見を決め込んでいた多くの軍団もフビライ軍に合流した。

 フビライは、金蓮川のチャブイからの密使から、金蓮川のアラムダールと燕京のドルジが民兵の徴集を開始しており、至急北還するよう催促された。ここに至ってようやくフビライは全軍に北還を命じた。
 フビライは本拠地、金蓮川でクリルタイを開き、大ハーン即位を一方的に宣言した。

 これに対し、アリクブケ側はフビライの即位を聞くとそれに対抗して、こちらもクリルタイを開き大ハーンに即位した。

 帝国始まって以来初めて大ハーンが2人並び立ち、4年に及ぶモンゴル帝国帝位継承戦争相争うことになった

 が、フビライ側に付いた将兵の多くがこの戦争に自分たちの未来を賭けており、戦意旺盛だったのに対し、アリクブケ側はただモンケ以来のカラコルム政権に逆らわなかっただけという者が多く、戦意に乏しかった。
 さらに、フラグの西征、フビライの東征という2大遠征でモンゴル高原の兵力はさして多くはなかった。

 また、フビライが華北農耕地帯の豊かな物資を背景にカラコルムへの輸出を差し止めるという経済封鎖を行ったため、初戦からフビライ側が優勢に進んでいた。

    ◆

 アレッポ攻防戦の敗戦後、フラグは大ハーン崩御の知らせを受けた。

 フラグはカラコルムへ向かって引き返し始めたが、帰路の途上で次兄フビライと弟アリクブケによる帝位継承戦争が始まったことを聞くと、西アジアに留まり自立王朝としてイルハン朝を開くことを決断した。

 イルハン国の建国の成り行きで、西アジア地域を占拠して自立したため、隣接するジュチ・ウルスのベルケとはホラズム、アゼルバイジャンとグルジアの支配権を巡って対立した。

 皇位継承については、ベルケはアリクブケを支持し、フラグは、これに対抗して、フビライと友好関係を結んだ。

 ジュチ・ウルスのベルケはガイア帝国ライヒのマムルーク朝と友好を結び、イルハン朝挟撃の構えを見せた。
 これに対し、フラグはマムルーク朝の背後にあるビザンチン帝国と友好を結ぼうと密使を送ってきたが、フリードリヒに臣従するジュチ・ウルスと敵対する相手をコンスタンツェ女帝が全く相手にするはずがなかった。

 ベルケは、必勝を期するため、神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒに援軍を要請した。

「ハトゥンは側室待遇だし、しゅうと殿の要請には答えねばなるまい…それに宗主国としての面子めんつもあるしな…」

 フリードリヒは暗黒騎士団ドンクレリッターの出撃を決めた。

 その一方で、マムルーク朝には越境して偵察軍を派遣することでイルハン国に圧力をかけるように要請した。
 マムルーク朝もイルハン国とは国境を接する当事者であり、スルターナのシャジャル・アッドゥルは二つ返事でこれを了承した。

    ◆

 暗黒騎士団ドンクレリッターの出撃準備が進む中、深夜にフリードリヒの寝所を密かに訪れた者がいた。

 ──城の警備をかい潜るとは…何者だ?

 妖艶な美女だったが、闇の気配があり、その威圧感が半端ない。明らかに人族ではない。

「こんな夜更けに何者だ?」
「私の名はマーレ」

 ──タラサの母親と同じ名前だ。まさか…

「もしかしてティアマトなのか?」
「あら。一発で正体がばれるなんて…さすがだねえ」

 ティアマトは、メソポタミア神話における原初の海の女神で、淡水の神アプスーと交わり、より若い神々を生み出した。
 その容姿は龍の姿をしている。ドラゴンではなく、蛇のように長い東洋風の龍だ。

 だが、新しい神々と対立したため邪龍などと呼ばれる。

 ティアマトは、神々と戦うべく、自らが生み出したムシュマッヘという七岐の大蛇ほか10の怪物からなる武装集団を率いていた。

「そのティアマトが私に何の用だ?」
「私は昔からメソポタミアを縄張りにしていてね。だが、モンゴルとかいう奴らに蹂躙じゅうりんされちまった。私は縄張りを荒らされたくないのさ」

「心情は理解するが、だからどうだというのだ?」
「リリスのように、あんたに味方になってもらって、奴らを追い払いたいのさ」

 フリードリヒは脈絡なくリリスの話題を振られ、当惑気味に問うた。
「なぜリリスのことを知っている?」
「友達とまでは言わないけれど、昔からのお隣さんだからねえ…」

 ティアマトは愛妾あいしょうであるタラサの母だから、実質的に義母のようなものだ。
 それに、どの道ジュチ・ウルスの見方をすることは既定路線だし…

「わかった。いいだろう。どの道、イルハン国にはもう一撃加えておく予定だった」

 そこでフリードリヒは話題を変えた。
「ところで、あなたに会わせたい人がいる」
「いったい誰のことだい?」

「タラサだ」
「えっ! タラサがここにいるのかい?」
 ティアマトは、意表を突かれたとばかり、驚いた表情をしている。

「ああ。今は俺の愛妾をやっていて、子供もいる」
「なんと子供まで…それはぜひ会ってみたいねえ」
「わかった。手配しよう」

 そこでティアマトは一転してなまめかしい表情になるとフリードリヒを誘惑してくる。

「それで…報酬の方はリリスと同じでいいんだろう?」

 そして…

    ◆

 翌朝。
 早速、タラサと子供たちを呼びだしたが、部屋に入って来るなり、フリードリヒの横に控える妖艶な美女を見て不思議そうな顔をした。

「フリードさん。会わせたい人って?」
「ああ。この人だ。マーレさんだよ」

「ええっ!」
 タラサは驚愕した。

 タラサは、もう30代も後半の歳にもかかわらず、フリードリヒの眷属けんぞく化が進んでおり、20代前半の容姿を保っていた。
 紹介された美女は、若々しく、容姿だけ見ると20代後半くらいに見える…

「本当にお母ちゃんなの?」

 ティアマトは感極まって、タラサを抱きしめると言った。
「ああ。タラサなのね。置き去りにしてしまって、ごめんね」
「もういいんです。こうして会えたんだから…」

 しばらくして、感情が治まってくるとタラサは子供たちを紹介した。
「こちらが子供たちです」

「お祖母ばあ様。長女のマーレです。お祖母ばあ様の名前をいただきました。これからよろしくお願いします」
「まあ、そうなんだね」と言うとティアマトはタラサ同様に抱きしめる。

 が、ふと気づくと言った。
「あなた。お腹が大きいのかい?」
「ええ。あと半年くらいです」

「すると、あたしは、会って早々にお祖母ばあさんどころか、もうすぐひいお祖母ばあさんになっちまうのかい」
 ティアマトは、呆れたような顔をして言った。

 その言いぶりが可笑しくて、一同は失笑した。

 笑いが収まったあと、ティアマトは真顔になって言った。
「タラサはあたしの正体のことは聞いているのだろう」
「はい。フリードさんから聞きました」

「なら今更だね」
「そうだよ。お母ちゃんも一緒に暮らそうよ。このお城では異形いぎょうの者は珍しくないから、大丈夫だよ。
 ね。いいでしょ。フリードさん」
 タラサは出会った頃のような甘えた声で頼んでくる。

 これにはフリードリヒも拒否できなかった。
「ああ。そうだな」
「やったあ!」

 このように、ティアマトの来訪というびっくりイベントはあったものの、出撃準備は整い、フリードリヒは暗黒騎士団ドンクレリッターを率いてジュチ・ウルスのベルケのもとへ進発した。
 もちろんタラサも参陣したし、ティアマトとその怪物軍団も同行することになった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

死んだと思ったら異世界に

トワイライト
ファンタジー
18歳の時、世界初のVRMMOゲーム『ユグドラシルオンライン』を始めた事がきっかけで二つの世界を救った主人公、五十嵐祐也は一緒にゲームをプレイした仲間達と幸せな日々を過ごし…そして死んだ。 祐也は家族や親戚に看取られ、走馬灯の様に流れる人生を振り替える。 だが、死んだはず祐也は草原で目を覚ました。 そして自分の姿を確認するとソコにはユグドラシルオンラインでの装備をつけている自分の姿があった。 その後、なんと体は若返り、ゲーム時代のステータス、装備、アイテム等を引き継いだ状態で異世界に来たことが判明する。 20年間プレイし続けたゲームのステータスや道具などを持った状態で異世界に来てしまった祐也は異世界で何をするのか。 「取り敢えず、この世界を楽しもうか」 この作品は自分が以前に書いたユグドラシルオンラインの続編です。

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

前世は悪神でしたので今世は商人として慎ましく生きたいと思います

八神 凪
ファンタジー
 平凡な商人の息子として生まれたレオスは、無限収納できるカバンを持つという理由で、悪逆非道な大魔王を倒すべく旅をしている勇者パーティに半ば拉致されるように同行させられてしまう。  いよいよ大魔王との決戦。しかし大魔王の力は脅威で、勇者も苦戦しあわや全滅かというその時、レオスは前世が悪神であったことを思い出す――  そしてめでたく大魔王を倒したものの「商人が大魔王を倒したというのはちょっと……」という理由で、功績を与えられず、お金と骨董品をいくつか貰うことで決着する。だが、そのお金は勇者装備を押し付けられ巻き上げられる始末に……  「はあ……とりあえず家に帰ろう……この力がバレたらどうなるか分からないし、なるべく目立たず、ひっそりしないとね……」  悪神の力を取り戻した彼は無事、実家へ帰ることができるのか?  八神 凪、作家人生二周年記念作、始動!  ※表紙絵は「茜328」様からいただいたファンアートを使用させていただきました! 素敵なイラストをありがとうございます!

処理中です...