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第4章 国主編
第104話 ジルの大冒険(1) ~ヴァルプルギスの夜と黒の森~
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ジルはフリードリヒ親衛隊の魔女イゾベル・ゴーディの使い魔の黒猫である。体格は雌猫らしく小柄で、普通の黒猫とは違う艶々と黒光りする毛並が一際美しいのが特徴だった。
イゾベルの仕事はロートリンゲン大公フリードリヒの警護であるが、大公の命を狙うものなどそうはいない。また、大公自身が極めて高い戦闘力の持ち主なので、仕事ははっきり言って暇だった。
その使い魔であるジルも特に何を命じられるわけでもなく、暇を持て余していた。
この城のボス猫はティーガーという太った茶虎柄の雄のケットシーで、人族に対しては媚を売っていて人気者であるが、同族の猫に対しては威張りくさっていた。
ジルはティーガーを避けながら今日も城中を探検する。
ジルにはお気に入りの場所がある。
それはフリードリヒの膝の上であった。どうも雌猫というのは人族についても男に惹かれる性質があるらしい。
ジルは政務の合間を見つけては、フリードリヒの膝の上で惰眠を貪るのを無上の楽しみとしていた。
フリードリヒの方も嫌いではないらしく、ジルが膝の上に乗ると優しく撫でてくれる。フリードリヒは猫の気持ちよいところを心得ていて的確に刺激してくれる。
ジルは猫でありながらフリードリヒのことを恋人のように思っていた。
一方のフリードリヒもジルと過ごすひと時を楽しんでいたが、いじり倒していくうちに恍惚となり、本能で交尾の姿勢を取ってしまうジルを見ると、浮気をしているような微妙な気分にもなっていた。
──これは猫だ。猫と遊んでいるだけだ…
必死に自分に言い聞かせるフリードリヒであった。
実はフォーンを眷属にしてから動物と意思疎通ができるようになっていたので、ジルの気持ちは痛いほどわかっていたのだ。
しかも、動物の意思というのは人間よりもより本能に近く、直接なだけに刺激も強かった。
◆
そんなフリードリヒも公私に忙しく、ジルとの時間は十分にはとれない。
ジルは暇を持て余して城を彷徨ううちにある人族の少女を見つけた。
それはフリードリヒの娘のブリュンヒルデだった。
ブリュンヒルデは部屋で本を読んでいた。
その横顔をじっと見つめるジル…
──あの人に似ている…
容姿はもちろんだが、魂の波動みたいなものがあの人を彷彿とさせる…
そうか。この子はあの人の娘なのだ。そうに違いない。
そのときブリュンヒルデがジルに気づいた。
ジルは子供が嫌いだった。突然に思いつきで突飛な行動をとったりして驚かせるし、逃げると面白がって追いかけ回したりする。
ジルはいつでも威嚇できるよう警戒した。
しかし、ブリュンヒルデは他の子供とは違った。
ジルに恐怖を与えないように、そっと近づいてくる。
「こんにちは。猫ちゃん。きれいな毛並みね。可愛いわ」
とブリュンヒルデが話しかける。
「!!!」ジルは仰天した。
喋っている意味がわかるではないか…
この娘はあの人と同じようにテレパシーが飛ばせるのか!?
『毛並を清潔に保つのは猫の基本なのよ』とジルはテレパシーで答えてみた。
『あら。あなた。言葉が話せるのね』
ブリュンヒルデは少し驚きながら答えた。
『私は魔女イゾベル・ゴーディの使い魔のジルよ。そこらの野良猫と一緒にしないで』
『まあ。使い魔なんて初めてだわ。何ができるの? 魔法とか使える?』
『何が…って、魔法は使えないけど…。喋れるくらいかな』
『それだけでも凄いわ』
ブリュンヒルデはキラキラした目でジルを見つめている。
『いや。それほどのことでは…』
『ねえ。体に触ってもいい?』
『いいけど、優しくね』
『わかったわ』
ブリュンヒルデはそっと手の甲でジルの体を撫でる。
『あなた変わった触り方をするのね。あの人みたい…』
『お父様に教えてもらったのよ。掌よりも手の甲の方が敏感に感じられるんですって』
『まあ。親子は似るっていうけど…』
『いや~ん。柔らかくてフワフワ。気持ちいい』
『ねえ。頬ずりしてもいい?』
ブリュンヒルデの要求がエスカレートしていく。
『もう。しょうがないわねえ』
ブリュンヒルデは、ジルにそっと頬ずりをする。
『あ~ん。気持ちいい。いい匂い』
──えっ。匂いまで嗅いでいるの!
『わ、私。臭くないわよね?』
『とってもいい匂いよ』
──よかった。
それからジルは暇があるとブリュンヒルデのところに出入りするようになった。
いろいろ話しているうちに、ブリュンヒルデは魔法も使えることがわかった。
『え~っ! 魔法も使えるの? どの属性?』
『一応は全部…かな』
ブリュンヒルデが少し照れながら答える。
『クアトルってこと?』
『それだけじゃなくて、光と闇なんかも』
──イゾベルより凄いじゃない!
『もしかして空も飛べるの?』
『魔法の杖があれば飛べるよ』
『えっ! 箒じゃなくて?』
『杖だよ』
『私。久しぶりに空のお散歩がしてみたいかも…』
『いいわよ。じゃあ。杖を取ってくるね』
ジルは杖を見て目を見張った。何と立派で高貴な魔力に満ち溢れた杖なのか…
それを見たブリュンヒルデが自慢する。
『えへへっ。良いでしょう。お父様が世界樹の枝で作ってくれたのよ』
──世界樹の枝って簡単にいうけれど…
ジルは開いた口が塞がらない。
気を取り直して、ブリュンヒルデは外に出ると、杖に跨った。杖の前の方にジルがちょこんと座る。
『あれっ! 飛行薬を忘れてるわよ』
『何それ? そんなものなくても空は飛べるよ』
──そっか。悪魔と契約した魔女じゃないんだった…
杖は一気に空を駆けのぼっていく。
『久しぶりの空の上。気持ちいい』
『こうやって上からお城を眺めるとなんだか偉くなったみたい』
こうして空のお散歩はジルとブリュンヒルデの日課となったのだった。
◆
フリードリヒ親衛隊、すなわちイゾベルを筆頭とした12人の魔女たちは、フリードリヒに命を救ってもらったということもあるし、役目がらずっとフリードリヒの傍に控えている。
そのうちに皆が皆フリードリヒに好意を寄せるようになっており、フリードリヒの愛妾になることを夢見ていた。
しかし、聖者が身を清めなければならないように、魔女は常にその実を穢れさせておかなければならない。
そのために、夜中に悪魔との宴サバトを行い、あらゆる冒涜行為や性的乱交を繰り広げるのだが、フリードリヒに好意を寄せる彼女たちは男性の悪魔と交わることをよしとしなかった。
自然と彼女たちが繰り広げる性行為は同性愛行為となっていた。
男と交わらない魔女など珍妙なだけであるが、彼女たちの主人であるアスタロトも、フリードリヒの愛妾となってからは他の者と交わっていない様子であり、配下の彼女たちの行為をあえて黙認しているようだった。
今年も5月になる前夜、すなわちヴァルプルギスの夜がやってくる。その夜は死者と生者との境が弱くなる時間だといわれる。
地上では、生者の間を歩き回るといわれる死者と無秩序な魂を追い払うためにかがり火が焚かれる。
ヴァルプルギスの夜には、ドイツ中の魔女たちが黒の森の最高峰であるブロッケン山に集まり、合同サバトを繰り広げるのが慣例となっている。
この特別な時に行われるサバトは魔女の能力を維持していく上で不可欠であり、フリードリヒ親衛隊の面々もこれをすっぽかすわけにはいかなかった。
そしていよいよ今夜はヴァルプルギスの夜。
フリード親衛隊の面々は憂鬱な気持ちを引きずってブロッケン山へ向かっていた。
──さすがに今日は男の悪魔との行為を拒否しきれないかもしれない…
しかし、それは杞憂に終わった。
アスタロトは、美女の集団を見て集まってきた悪魔たちをいきなり風魔法で切り裂いた。そして啖呵を切ったのだ。
「わらわはわらわの眼鏡にかなった高貴な者としか交わらぬ。低級どもは身の程を知れ! わらわの配下の魔女も同じじゃ!」
アスタロトのような上級悪魔は普段は地獄におり、地上にはめったに姿を現さない。地上で行われるヴァルプルギスの夜のサバトに集まる悪魔たちが低級というのも、あながち間違いではなかった。
集まった悪魔たちは他の相手を求めて渋々と散り散りになっていった。
一方、イゾベルと一緒に黒の森を訪れたジルは、イゾベルのそんな本音を知ることもなく、初めての黒の森にワクワクしていた。
初めて見る黒の森は、広大で、マナのパワーに満ち溢れ、それに伴って見たこともない魔獣や妖怪の類が多数生息している。
見るもの全てが新鮮で、あちこちキョロキョロと見回してしまった。
もともと住んでいたスコットランドも神秘的な土地ではあったが黒の森のような場所はなかった。
同じように魔女に従って集まった使い魔たちから情報を収集することにする。
使い魔たちは、猫、烏などの鳥、蛙、鼬、子豚、ヒヨコ、ゴキブリなどさまざまだ。
早速、ジルは姉御肌の烏と仲良しになった。使い魔としてはかなりベテランのようである。
『あんた。黒の森は初めてかい?』
『最近、スコットランドから来たんです。ここは初めてですが、凄いところですね。見たこともない魔獣や妖怪がいっぱいいます』
『ここは世界でも有数なマナの湧出地なのさ。だから、それを求めて魔獣、妖怪から神様まであらゆる者がやってくる』
『へえ。もっといろいろ見物してみたいな』
『強力な魔獣、妖怪も多いからね。あんた1人では無理だね』
『じゃあ。ご主人に頼んでみようかなあ』
『魔女でも1人じゃあきついだろうね』
『ご主人は魔法がかなり得意なんだけど』
『それでもさ。黒の森を甘く見ない方がいい』
『う~ん。残念だな…』
やがて夜明けが近づき、サバトがお開きになると、ジルはフリード親衛隊の面々とともにナンツィヒに帰還した。
イゾベルの仕事はロートリンゲン大公フリードリヒの警護であるが、大公の命を狙うものなどそうはいない。また、大公自身が極めて高い戦闘力の持ち主なので、仕事ははっきり言って暇だった。
その使い魔であるジルも特に何を命じられるわけでもなく、暇を持て余していた。
この城のボス猫はティーガーという太った茶虎柄の雄のケットシーで、人族に対しては媚を売っていて人気者であるが、同族の猫に対しては威張りくさっていた。
ジルはティーガーを避けながら今日も城中を探検する。
ジルにはお気に入りの場所がある。
それはフリードリヒの膝の上であった。どうも雌猫というのは人族についても男に惹かれる性質があるらしい。
ジルは政務の合間を見つけては、フリードリヒの膝の上で惰眠を貪るのを無上の楽しみとしていた。
フリードリヒの方も嫌いではないらしく、ジルが膝の上に乗ると優しく撫でてくれる。フリードリヒは猫の気持ちよいところを心得ていて的確に刺激してくれる。
ジルは猫でありながらフリードリヒのことを恋人のように思っていた。
一方のフリードリヒもジルと過ごすひと時を楽しんでいたが、いじり倒していくうちに恍惚となり、本能で交尾の姿勢を取ってしまうジルを見ると、浮気をしているような微妙な気分にもなっていた。
──これは猫だ。猫と遊んでいるだけだ…
必死に自分に言い聞かせるフリードリヒであった。
実はフォーンを眷属にしてから動物と意思疎通ができるようになっていたので、ジルの気持ちは痛いほどわかっていたのだ。
しかも、動物の意思というのは人間よりもより本能に近く、直接なだけに刺激も強かった。
◆
そんなフリードリヒも公私に忙しく、ジルとの時間は十分にはとれない。
ジルは暇を持て余して城を彷徨ううちにある人族の少女を見つけた。
それはフリードリヒの娘のブリュンヒルデだった。
ブリュンヒルデは部屋で本を読んでいた。
その横顔をじっと見つめるジル…
──あの人に似ている…
容姿はもちろんだが、魂の波動みたいなものがあの人を彷彿とさせる…
そうか。この子はあの人の娘なのだ。そうに違いない。
そのときブリュンヒルデがジルに気づいた。
ジルは子供が嫌いだった。突然に思いつきで突飛な行動をとったりして驚かせるし、逃げると面白がって追いかけ回したりする。
ジルはいつでも威嚇できるよう警戒した。
しかし、ブリュンヒルデは他の子供とは違った。
ジルに恐怖を与えないように、そっと近づいてくる。
「こんにちは。猫ちゃん。きれいな毛並みね。可愛いわ」
とブリュンヒルデが話しかける。
「!!!」ジルは仰天した。
喋っている意味がわかるではないか…
この娘はあの人と同じようにテレパシーが飛ばせるのか!?
『毛並を清潔に保つのは猫の基本なのよ』とジルはテレパシーで答えてみた。
『あら。あなた。言葉が話せるのね』
ブリュンヒルデは少し驚きながら答えた。
『私は魔女イゾベル・ゴーディの使い魔のジルよ。そこらの野良猫と一緒にしないで』
『まあ。使い魔なんて初めてだわ。何ができるの? 魔法とか使える?』
『何が…って、魔法は使えないけど…。喋れるくらいかな』
『それだけでも凄いわ』
ブリュンヒルデはキラキラした目でジルを見つめている。
『いや。それほどのことでは…』
『ねえ。体に触ってもいい?』
『いいけど、優しくね』
『わかったわ』
ブリュンヒルデはそっと手の甲でジルの体を撫でる。
『あなた変わった触り方をするのね。あの人みたい…』
『お父様に教えてもらったのよ。掌よりも手の甲の方が敏感に感じられるんですって』
『まあ。親子は似るっていうけど…』
『いや~ん。柔らかくてフワフワ。気持ちいい』
『ねえ。頬ずりしてもいい?』
ブリュンヒルデの要求がエスカレートしていく。
『もう。しょうがないわねえ』
ブリュンヒルデは、ジルにそっと頬ずりをする。
『あ~ん。気持ちいい。いい匂い』
──えっ。匂いまで嗅いでいるの!
『わ、私。臭くないわよね?』
『とってもいい匂いよ』
──よかった。
それからジルは暇があるとブリュンヒルデのところに出入りするようになった。
いろいろ話しているうちに、ブリュンヒルデは魔法も使えることがわかった。
『え~っ! 魔法も使えるの? どの属性?』
『一応は全部…かな』
ブリュンヒルデが少し照れながら答える。
『クアトルってこと?』
『それだけじゃなくて、光と闇なんかも』
──イゾベルより凄いじゃない!
『もしかして空も飛べるの?』
『魔法の杖があれば飛べるよ』
『えっ! 箒じゃなくて?』
『杖だよ』
『私。久しぶりに空のお散歩がしてみたいかも…』
『いいわよ。じゃあ。杖を取ってくるね』
ジルは杖を見て目を見張った。何と立派で高貴な魔力に満ち溢れた杖なのか…
それを見たブリュンヒルデが自慢する。
『えへへっ。良いでしょう。お父様が世界樹の枝で作ってくれたのよ』
──世界樹の枝って簡単にいうけれど…
ジルは開いた口が塞がらない。
気を取り直して、ブリュンヒルデは外に出ると、杖に跨った。杖の前の方にジルがちょこんと座る。
『あれっ! 飛行薬を忘れてるわよ』
『何それ? そんなものなくても空は飛べるよ』
──そっか。悪魔と契約した魔女じゃないんだった…
杖は一気に空を駆けのぼっていく。
『久しぶりの空の上。気持ちいい』
『こうやって上からお城を眺めるとなんだか偉くなったみたい』
こうして空のお散歩はジルとブリュンヒルデの日課となったのだった。
◆
フリードリヒ親衛隊、すなわちイゾベルを筆頭とした12人の魔女たちは、フリードリヒに命を救ってもらったということもあるし、役目がらずっとフリードリヒの傍に控えている。
そのうちに皆が皆フリードリヒに好意を寄せるようになっており、フリードリヒの愛妾になることを夢見ていた。
しかし、聖者が身を清めなければならないように、魔女は常にその実を穢れさせておかなければならない。
そのために、夜中に悪魔との宴サバトを行い、あらゆる冒涜行為や性的乱交を繰り広げるのだが、フリードリヒに好意を寄せる彼女たちは男性の悪魔と交わることをよしとしなかった。
自然と彼女たちが繰り広げる性行為は同性愛行為となっていた。
男と交わらない魔女など珍妙なだけであるが、彼女たちの主人であるアスタロトも、フリードリヒの愛妾となってからは他の者と交わっていない様子であり、配下の彼女たちの行為をあえて黙認しているようだった。
今年も5月になる前夜、すなわちヴァルプルギスの夜がやってくる。その夜は死者と生者との境が弱くなる時間だといわれる。
地上では、生者の間を歩き回るといわれる死者と無秩序な魂を追い払うためにかがり火が焚かれる。
ヴァルプルギスの夜には、ドイツ中の魔女たちが黒の森の最高峰であるブロッケン山に集まり、合同サバトを繰り広げるのが慣例となっている。
この特別な時に行われるサバトは魔女の能力を維持していく上で不可欠であり、フリードリヒ親衛隊の面々もこれをすっぽかすわけにはいかなかった。
そしていよいよ今夜はヴァルプルギスの夜。
フリード親衛隊の面々は憂鬱な気持ちを引きずってブロッケン山へ向かっていた。
──さすがに今日は男の悪魔との行為を拒否しきれないかもしれない…
しかし、それは杞憂に終わった。
アスタロトは、美女の集団を見て集まってきた悪魔たちをいきなり風魔法で切り裂いた。そして啖呵を切ったのだ。
「わらわはわらわの眼鏡にかなった高貴な者としか交わらぬ。低級どもは身の程を知れ! わらわの配下の魔女も同じじゃ!」
アスタロトのような上級悪魔は普段は地獄におり、地上にはめったに姿を現さない。地上で行われるヴァルプルギスの夜のサバトに集まる悪魔たちが低級というのも、あながち間違いではなかった。
集まった悪魔たちは他の相手を求めて渋々と散り散りになっていった。
一方、イゾベルと一緒に黒の森を訪れたジルは、イゾベルのそんな本音を知ることもなく、初めての黒の森にワクワクしていた。
初めて見る黒の森は、広大で、マナのパワーに満ち溢れ、それに伴って見たこともない魔獣や妖怪の類が多数生息している。
見るもの全てが新鮮で、あちこちキョロキョロと見回してしまった。
もともと住んでいたスコットランドも神秘的な土地ではあったが黒の森のような場所はなかった。
同じように魔女に従って集まった使い魔たちから情報を収集することにする。
使い魔たちは、猫、烏などの鳥、蛙、鼬、子豚、ヒヨコ、ゴキブリなどさまざまだ。
早速、ジルは姉御肌の烏と仲良しになった。使い魔としてはかなりベテランのようである。
『あんた。黒の森は初めてかい?』
『最近、スコットランドから来たんです。ここは初めてですが、凄いところですね。見たこともない魔獣や妖怪がいっぱいいます』
『ここは世界でも有数なマナの湧出地なのさ。だから、それを求めて魔獣、妖怪から神様まであらゆる者がやってくる』
『へえ。もっといろいろ見物してみたいな』
『強力な魔獣、妖怪も多いからね。あんた1人では無理だね』
『じゃあ。ご主人に頼んでみようかなあ』
『魔女でも1人じゃあきついだろうね』
『ご主人は魔法がかなり得意なんだけど』
『それでもさ。黒の森を甘く見ない方がいい』
『う~ん。残念だな…』
やがて夜明けが近づき、サバトがお開きになると、ジルはフリード親衛隊の面々とともにナンツィヒに帰還した。
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