淫神の孕み贄

沖田弥子

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宰相の本心 1

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「はぁ……あ、ぁ、きもちいい……シャンドラ……あぁっ……ん」
「最高に淫らで可愛らしい。俺の、神の贄……」

 細腰を掴まれ、猛った肉棒で濡れた媚肉を舐め上げられる。
 ぐっちゅぐっちゅと淫猥な水音が室内に響き渡る。
 百人目に到達した快楽は、よりいっそう濃密に膨れ上がった。
 シャンドラに激しく突き上げられながら、花芯はイフサーンにちゅぱちゅぱとしゃぶられ、両の尖りはほかのアルファたちによって、ねっとりと口腔に含まれて舐めしゃぶられている。

「あっあっ、ひぁ、あぅん、あん、あぁん、あぅ、あっ」

 甘い喘ぎがひっきりなしに零れていく。 
 全身に与えられる壮絶な快楽に、セナは白目を剥いた。口端から涎が零れ、顎を伝う。
 綻んだ子宮口を硬い先端に穿たれて、またも肉体は極めてしまう。

「あぅっ……あっ、あぁあぁあんぁ――……っ……」

 極上の快感が腰から脳天めがけて突き抜けていく。
 セナは背を弓なりに撓らせ、大きく広げた四肢をぴんと張る。
 それは快楽に身を委ねた神の贄が、楽園へ飛び立っていくかのごとく神々しい姿だった。
 どぷり、と爆ぜた雄芯から熱い飛沫が注ぎ込まれる。
 快楽に溺れる神の贄は、百人のアルファの精を呑み込んだ。
 歴史上に語り継がれる神馬の儀は、ここに終わりを迎えたのだった。



 無事に神馬の儀を終え、リガラ城砦をあとにした一行は王都へ凱旋した。
 沿道で騎士団を出迎えてくれた国民は、偉業を成し遂げた彼らに深い敬意をもって平伏した。
 一時はベルーシャ国にリガラ城砦を占拠され、神の贄とアルファたちが人質になったのである。その後の顛末を思えば、思い出話としてみんなで笑い合えるときがやってくるだろう。
 馬車に揺られているファルゼフは、隣のセナへ微笑みかけた。

「王が援軍を率いてリガラ城砦へ駆けつけ、アポロニオス王を撃退したという話はすでに国民の間に広まっているようですね。この英雄譚は末永く語り継がれることでしょう」
「ええ……そうですね……」

 ラシードやハリルたちは自らの馬に騎乗しているので、車内にはファルゼフとふたりきりである。
 今回の旅では様々なできごとが起こった。ベルーシャ軍に襲われてアルファたちの命を危険にさらし、兄弟の裏切りに絶望したこともあった。
 だが、すべてはファルゼフとラシードの計画通りだったというわけで、皆の命も助かり、予定通りに儀式を遂行することができた。
 本当によかったのだが、セナは安堵することもままならない。
 苦しげに息を継ぎ、疼く体を小刻みに震わせる。何も知らない他者が見れば、体調が優れないのだと思うだろう。
 神馬の儀を行い、神の楔と百人のアルファたちの肉棒を咥えて精を呑み込んだセナは、オメガの発情が頂点へと達してしまったのだ。
 儀式が終わっても体の疼きは一向に収まらず、下腹の淫紋は楔を求めて切なくうねっている。
 そもそも神馬の儀は、神の贄の発情を促すために行われたものなので、終了すればすべてが終わるわけではなかった。このあとは王宮へ戻り、受胎の儀を執り行わなければならないのである。
 セナは浅く呼吸をしながら、言葉を継いだ。

「あの、ファルゼフ……リガラ城砦では……裏切ったと思ってしまい、申し訳ありませんでした。あなたがた兄弟は初めから、トルキア国のために尽力してくださったのですね……」
「よいのですよ、セナ様。そのように仕向けたのは、わたくしなのですから。神馬の儀を遂行できたのも、すべては皆様がわたくしの思惑通りに動き、協力してくださったおかげです。セナ様は淫らにアポロニオス王を誘惑して、時間稼ぎをしてくださいました。その功績は甚大なものでございましょう」
「あ、あの、そのことはですね……。もう忘れたいです……」

 アポロニオスがセナに夢中になることすら、ファルゼフの計算通りだったというわけなのだ。
 さすがは策士である。
 ということは……ファルゼフがセナを愛していると告白してくれたことも、計画のうちだったのだろうか。
 セナが潤んだ上目でファルゼフを見ると、彼の喉仏がごくりと上下した。

「神馬の儀により、発情が百パーセントに達したようですね。喜ばしいことですが、まだすべての儀式は終了しておりません。最大の目的は、セナ様が懐妊することなのですから」

 揺れる馬車から守るように肩を抱かれ、男の掌の熱さにぞくりと身を震わせる。
 それだけでもう、セナの足の狭間に淫らな液体が滑り落ちた。
 散々愛された神の贄の肉体は、いつでも雄を迎えられるよう、しとどに濡れてしまっている。

「んんっ……わかっています」
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