86 / 153
浴室の後戯 4
しおりを挟む
薄らと目を開けると、熱の籠もった双眸に間近から見つめられていた。
シャンドラに、接吻されている。
驚いたセナは腕を上げて、強靱な肩を押し戻そうとした。
けれど、びくともしない。上から覆い被さられているので、全く身動きが取れなかった。
「んっ、ん、んぅ」
ちゅう、と雄々しい唇に吸われた。その甘い刺激に、びくんと腰が跳ねる。快感に緩んだ肉環から、とろりと淫液が溢れた。
少し唇を離してセナの顔を窺ったシャンドラは、ふっと微笑んだ。
「可愛いです」
「……え」
彼の笑顔を初めて見た。その表情は、年相応の青年らしい邪気のない笑みで、無表情よりずっと血肉の通う人間らしさが感じられた。
茫然と見上げていたセナの体から力が抜ける。
その隙に、ぐいと片手で腰を持ち上げられた。弾みで足が大きく開いてしまう。
体を密着させたシャンドラは、驚きのひとことを放つ。
「挿れますね」
「えっ……何を?」
ぱちぱちと瞳を瞬かせる。舌を挿れてもいいかという意味だろうか。
緩んだ肉環に、ぐっと硬い先端が押し当てられた。その熱に、シャンドラが何をしようとしているのかわかってしまう。
「あっ……だめ、だめです!」
身を捻ろうとするけれど、覆い被さられて腰を持ち上げられている体勢なので身動きが取れない。完全にシャンドラに一手を取られてしまった状態だ。
抵抗しようと腰を揺らせば、濡れた肉環が亀頭を舐る。そうすると屹立はいっそう漲り、柔らかく綻んだ肉環を舐め上げた。
「問題ありません。これは後戯です」
「え……どういうことです?」
「舞踏会で昂ぶったままでしょう。セナ様の体を慰めて、淫紋を動かせという、王の命令です」
セナは目を見開いた。
この淫蕩な湯浴みは、もはや七日間を終えようとしているラシードが、最後にシャンドラを派遣して淫紋を動かそうと画策したことなのだ。
あらゆる手段を用いてセナに快楽を与えようとするラシードの執念には驚かされる。
けれどそれも、セナを愛するがゆえなのだ。
勝負に負けてしまったら、ラシードは二度とセナを抱けなくなるから。
「あ……で、でも、後戯ということなら、この状態で充分です」
後戯とは、くちづけたり髪を撫でたりすることではないだろうか。それなのにシャンドラは明らかに挿入しようとしている。もし中で出されたら、妊娠してしまうかもしれない。
セナが必死に腰をずらそうと身を捻ると、シャンドラは眉根を寄せた。
「それは俺に拷問を与えるということです。とてつもない無慈悲です」
「ええ? ……そんな」
「妊娠のことなら心配ありません。兄上から聞いているかもしれませんが、高祖母が王の娘なので、俺も王族の血を引くアルファなのです。ただ俺の母は異国の下女だったので、正妻の子である兄上とは異母兄弟になります」
「そうなんですか。異母兄弟だから髪の色も……あ、ぁっ」
くちゅ、と猛った雁首が探り当てた蕾に挿し入れられる。
連夜の遊戯ですっかり綻んだ肉環は、ぱくりと口を開けて、美味そうに楔を食んだ。
「あぁっ……あ、ん、やぁあ……っ」
ズチュズチュと、太い雄芯が柔襞を擦り上げていく。
すでにずぶ濡れの花筒は、いやらしい水音を立てながら男根を呑み込んでいった。
「すごい……吸い込まれますね」
シャンドラは深い息を吐きながら、ゆっくりと腰を押し進めていく。
「あぁあ……、あっ、入って……あぁ……ん」
淫猥な体は雄を求めていたことを知らされた。
たまらない悦楽に満たされて、セナは背を反らせる。そうすると、さらに腰が密着して、自ら受け入れるかのように両足が大きく開いていった。
ずちゅ、ぐちゅと卑猥な音を響かせながら、深く味わうかのように、蠕動した媚肉は剛直をしゃぶる。
けれどシャンドラは、ずりゅ……と腰を引いて雄芯を抜こうとした。
突然空虚さを覚えた花筒に、セナは思わずシャンドラの肩に縋りつく。
「あっ……いや、抜かないで……」
「抜きません。ゆっくり、擦りましょう」
ズチュ、グチュ……と、また楔は絡みつく媚肉を撫で上げながら、奥深くへ挿入されていった。
心は戸惑っているのに、花筒に雄芯を収められると満たされた心地になる。セナはオメガの肉欲に抗えず、シャンドラの楔を受け入れた。
浅い息を継ぎながら、押し込まれる熱杭の力強さを花筒で感じていたけれど、奥まで届く寸前に肉棒は引いてしまう。
「あうぅ……」
そしてまた、ゆっくりと、焦らすかのように楔を押し込まれていく。
ゆるゆると花筒を撫でるような抽挿は、決定的な刺激を与えられない。
下腹は熱くなり、弾けることのできない熱の塊が出口を求めて渦を巻く。
シャンドラに、接吻されている。
驚いたセナは腕を上げて、強靱な肩を押し戻そうとした。
けれど、びくともしない。上から覆い被さられているので、全く身動きが取れなかった。
「んっ、ん、んぅ」
ちゅう、と雄々しい唇に吸われた。その甘い刺激に、びくんと腰が跳ねる。快感に緩んだ肉環から、とろりと淫液が溢れた。
少し唇を離してセナの顔を窺ったシャンドラは、ふっと微笑んだ。
「可愛いです」
「……え」
彼の笑顔を初めて見た。その表情は、年相応の青年らしい邪気のない笑みで、無表情よりずっと血肉の通う人間らしさが感じられた。
茫然と見上げていたセナの体から力が抜ける。
その隙に、ぐいと片手で腰を持ち上げられた。弾みで足が大きく開いてしまう。
体を密着させたシャンドラは、驚きのひとことを放つ。
「挿れますね」
「えっ……何を?」
ぱちぱちと瞳を瞬かせる。舌を挿れてもいいかという意味だろうか。
緩んだ肉環に、ぐっと硬い先端が押し当てられた。その熱に、シャンドラが何をしようとしているのかわかってしまう。
「あっ……だめ、だめです!」
身を捻ろうとするけれど、覆い被さられて腰を持ち上げられている体勢なので身動きが取れない。完全にシャンドラに一手を取られてしまった状態だ。
抵抗しようと腰を揺らせば、濡れた肉環が亀頭を舐る。そうすると屹立はいっそう漲り、柔らかく綻んだ肉環を舐め上げた。
「問題ありません。これは後戯です」
「え……どういうことです?」
「舞踏会で昂ぶったままでしょう。セナ様の体を慰めて、淫紋を動かせという、王の命令です」
セナは目を見開いた。
この淫蕩な湯浴みは、もはや七日間を終えようとしているラシードが、最後にシャンドラを派遣して淫紋を動かそうと画策したことなのだ。
あらゆる手段を用いてセナに快楽を与えようとするラシードの執念には驚かされる。
けれどそれも、セナを愛するがゆえなのだ。
勝負に負けてしまったら、ラシードは二度とセナを抱けなくなるから。
「あ……で、でも、後戯ということなら、この状態で充分です」
後戯とは、くちづけたり髪を撫でたりすることではないだろうか。それなのにシャンドラは明らかに挿入しようとしている。もし中で出されたら、妊娠してしまうかもしれない。
セナが必死に腰をずらそうと身を捻ると、シャンドラは眉根を寄せた。
「それは俺に拷問を与えるということです。とてつもない無慈悲です」
「ええ? ……そんな」
「妊娠のことなら心配ありません。兄上から聞いているかもしれませんが、高祖母が王の娘なので、俺も王族の血を引くアルファなのです。ただ俺の母は異国の下女だったので、正妻の子である兄上とは異母兄弟になります」
「そうなんですか。異母兄弟だから髪の色も……あ、ぁっ」
くちゅ、と猛った雁首が探り当てた蕾に挿し入れられる。
連夜の遊戯ですっかり綻んだ肉環は、ぱくりと口を開けて、美味そうに楔を食んだ。
「あぁっ……あ、ん、やぁあ……っ」
ズチュズチュと、太い雄芯が柔襞を擦り上げていく。
すでにずぶ濡れの花筒は、いやらしい水音を立てながら男根を呑み込んでいった。
「すごい……吸い込まれますね」
シャンドラは深い息を吐きながら、ゆっくりと腰を押し進めていく。
「あぁあ……、あっ、入って……あぁ……ん」
淫猥な体は雄を求めていたことを知らされた。
たまらない悦楽に満たされて、セナは背を反らせる。そうすると、さらに腰が密着して、自ら受け入れるかのように両足が大きく開いていった。
ずちゅ、ぐちゅと卑猥な音を響かせながら、深く味わうかのように、蠕動した媚肉は剛直をしゃぶる。
けれどシャンドラは、ずりゅ……と腰を引いて雄芯を抜こうとした。
突然空虚さを覚えた花筒に、セナは思わずシャンドラの肩に縋りつく。
「あっ……いや、抜かないで……」
「抜きません。ゆっくり、擦りましょう」
ズチュ、グチュ……と、また楔は絡みつく媚肉を撫で上げながら、奥深くへ挿入されていった。
心は戸惑っているのに、花筒に雄芯を収められると満たされた心地になる。セナはオメガの肉欲に抗えず、シャンドラの楔を受け入れた。
浅い息を継ぎながら、押し込まれる熱杭の力強さを花筒で感じていたけれど、奥まで届く寸前に肉棒は引いてしまう。
「あうぅ……」
そしてまた、ゆっくりと、焦らすかのように楔を押し込まれていく。
ゆるゆると花筒を撫でるような抽挿は、決定的な刺激を与えられない。
下腹は熱くなり、弾けることのできない熱の塊が出口を求めて渦を巻く。
19
お気に入りに追加
1,903
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる