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浴室の後戯 2
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怯えた目を向けたセナに、シャンドラはようやく瞬きをひとつした。
「俺が怖いですか」
「あの……本当に、ラシードさまが?」
「もちろん、ファルゼフ宰相を通していますけどね。俺は護衛官という地位ですが、ファルゼフ宰相は俺の兄なのです。そのことは王も無論ご存じです。宰相の弟なので特別な任務を与えられることも多々あります」
ファルゼフとシャンドラは兄弟なのだ。全然似ていないが、ラシードとセナも髪の色が同じこと以外は全く違った性質なので、兄弟とはそんなものかもしれない。
シャンドラは説明しながら、ばさばさと黒装束を脱ぎ捨てていった。下穿きも脱いで、全裸になってしまう。
「あの……何を?」
驚いているセナに、彼は両手を掲げ、舌も出して見せた。
「これで、信用してくれますか?」
どうやらセナが殺められる懸念を抱いていると思い、武器を身につけていないことを証明したらしい。
そういった心配をしたわけではないのだけれど、疑うような素振りを見せてしまった。シャンドラは宰相の護衛官という地位だからこそ、ラシードが信頼して命じたのに、それを無闇に疑ったりしてはいけない。悪いことをしたと、セナは反省して寝台から足を下ろす。
「もちろん、信用しています。それじゃあ……入浴のお手伝いをお願いしますね」
「はい。ぜひ」
掌を差し出されたので、その手に自らの手を重ねた。
熱い。
冷酷そうなアサシンは、驚くほど体の熱が高かった。
「あっ……」
男の熱を感じた体は立ち上がった途端に、花筒の奥からたらりと蜜を滴らせる。
花筒はラシードが注ぎ込んだ精でいっぱいだ。
ふらりと揺れた肢体を、力強い腕が抱き留めた。
「失礼」
軽々と横抱きにされて、隣の浴室に連れ去られる。
ふたりとも全裸なので、密着した男の体から直に熱が伝わる。
セナはぎゅっと両足に力を込めて、蜜が零れないよう祈った。
シャンドラは体を洗うと言っていたけれど、そんなことをされたら、この痴態も見られてしまうかもしれない。セナを下ろしたら、帰ってもらうように頼まなければ。
広大な浴室は半屋外になっている石造りの湯船があり、いつでも入浴できるようにお湯が張られている。細やかなタイルで彩られた洗い場には、黄金で造られた椅子が置かれていた。まるでオブジェのような滑らかな曲線を描いた椅子に主人が体を横たえれば、仰臥したまま召使いが体や髪を洗えるのだ。
黄金の椅子にそっとセナの体を下ろしたシャンドラは、黙々と海綿や石鹸の準備を始めた。どうやら本当にセナの体を洗うつもりのようだ。
「あの、シャンドラ……」
「なんでしょう」
「体は洗ってもらわなくていいです。自分で洗いますから」
「そういうわけにはいきませんね」
にべもなく却下されてしまう。
泡立てた海綿を手にしたシャンドラは、セナの足の甲をそっと海綿で撫で上げた。ふわりとした泡の感触が心地好い。
「でも、その、だめなんです。洗ってもらうと困るんです」
「なぜです」
「……ええと」
零れた蜜を見られるのが恥ずかしいから……とは、とても言えない。
顔を赤くしてうろうろと視線を彷徨わせているうちに、シャンドラの手にした海綿は脛から膝頭まで上ってきた。意味ありげに丸い膝頭を、くるくると海綿が回る。そうされると密やかな刺激が這い上ってきて、連日にわたり楔を咥え込んだ蕾は、ひくんと蠢いた。
セナは身じろぎをするふりをして、感じてしまった甘い悦楽をやり過ごそうとする。
「その……汚れてるので……見られたくないんです」
「気にしないでください。俺は全く気にしません」
「そう言われても……」
断言するシャンドラには一片の迷いもない。
海綿は腿まで上がってきてしまった。
どうしよう。
セナは両手で花芯ごと覆い隠した。膝に力を入れて、内股が見えてしまわないようにする。
一切表情を動かさないシャンドラが、ちらりと眉を上げた。
「なぜ、隠すのです」
もしかして、はっきり言わないとわかってもらえないのだろうか。
セナは羞恥を押し殺して、ぼそぼそと伝える。
「あのう……僕の、秘部から、精とか、滴ってきちゃうんです……。だから、それを見られるのが、たまらなく恥ずかしいので、これ以上は洗わなくて結構です……」
どうにかすべて言い切った。
真っ赤になって俯いているセナを、シャンドラは瞬きもせずに凝視している。
わかってもらえただろうか……?
「そうですか。見てもいいですか?」
「えっ⁉」
「俺が怖いですか」
「あの……本当に、ラシードさまが?」
「もちろん、ファルゼフ宰相を通していますけどね。俺は護衛官という地位ですが、ファルゼフ宰相は俺の兄なのです。そのことは王も無論ご存じです。宰相の弟なので特別な任務を与えられることも多々あります」
ファルゼフとシャンドラは兄弟なのだ。全然似ていないが、ラシードとセナも髪の色が同じこと以外は全く違った性質なので、兄弟とはそんなものかもしれない。
シャンドラは説明しながら、ばさばさと黒装束を脱ぎ捨てていった。下穿きも脱いで、全裸になってしまう。
「あの……何を?」
驚いているセナに、彼は両手を掲げ、舌も出して見せた。
「これで、信用してくれますか?」
どうやらセナが殺められる懸念を抱いていると思い、武器を身につけていないことを証明したらしい。
そういった心配をしたわけではないのだけれど、疑うような素振りを見せてしまった。シャンドラは宰相の護衛官という地位だからこそ、ラシードが信頼して命じたのに、それを無闇に疑ったりしてはいけない。悪いことをしたと、セナは反省して寝台から足を下ろす。
「もちろん、信用しています。それじゃあ……入浴のお手伝いをお願いしますね」
「はい。ぜひ」
掌を差し出されたので、その手に自らの手を重ねた。
熱い。
冷酷そうなアサシンは、驚くほど体の熱が高かった。
「あっ……」
男の熱を感じた体は立ち上がった途端に、花筒の奥からたらりと蜜を滴らせる。
花筒はラシードが注ぎ込んだ精でいっぱいだ。
ふらりと揺れた肢体を、力強い腕が抱き留めた。
「失礼」
軽々と横抱きにされて、隣の浴室に連れ去られる。
ふたりとも全裸なので、密着した男の体から直に熱が伝わる。
セナはぎゅっと両足に力を込めて、蜜が零れないよう祈った。
シャンドラは体を洗うと言っていたけれど、そんなことをされたら、この痴態も見られてしまうかもしれない。セナを下ろしたら、帰ってもらうように頼まなければ。
広大な浴室は半屋外になっている石造りの湯船があり、いつでも入浴できるようにお湯が張られている。細やかなタイルで彩られた洗い場には、黄金で造られた椅子が置かれていた。まるでオブジェのような滑らかな曲線を描いた椅子に主人が体を横たえれば、仰臥したまま召使いが体や髪を洗えるのだ。
黄金の椅子にそっとセナの体を下ろしたシャンドラは、黙々と海綿や石鹸の準備を始めた。どうやら本当にセナの体を洗うつもりのようだ。
「あの、シャンドラ……」
「なんでしょう」
「体は洗ってもらわなくていいです。自分で洗いますから」
「そういうわけにはいきませんね」
にべもなく却下されてしまう。
泡立てた海綿を手にしたシャンドラは、セナの足の甲をそっと海綿で撫で上げた。ふわりとした泡の感触が心地好い。
「でも、その、だめなんです。洗ってもらうと困るんです」
「なぜです」
「……ええと」
零れた蜜を見られるのが恥ずかしいから……とは、とても言えない。
顔を赤くしてうろうろと視線を彷徨わせているうちに、シャンドラの手にした海綿は脛から膝頭まで上ってきた。意味ありげに丸い膝頭を、くるくると海綿が回る。そうされると密やかな刺激が這い上ってきて、連日にわたり楔を咥え込んだ蕾は、ひくんと蠢いた。
セナは身じろぎをするふりをして、感じてしまった甘い悦楽をやり過ごそうとする。
「その……汚れてるので……見られたくないんです」
「気にしないでください。俺は全く気にしません」
「そう言われても……」
断言するシャンドラには一片の迷いもない。
海綿は腿まで上がってきてしまった。
どうしよう。
セナは両手で花芯ごと覆い隠した。膝に力を入れて、内股が見えてしまわないようにする。
一切表情を動かさないシャンドラが、ちらりと眉を上げた。
「なぜ、隠すのです」
もしかして、はっきり言わないとわかってもらえないのだろうか。
セナは羞恥を押し殺して、ぼそぼそと伝える。
「あのう……僕の、秘部から、精とか、滴ってきちゃうんです……。だから、それを見られるのが、たまらなく恥ずかしいので、これ以上は洗わなくて結構です……」
どうにかすべて言い切った。
真っ赤になって俯いているセナを、シャンドラは瞬きもせずに凝視している。
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「えっ⁉」
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