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王宮の庭園にて 6
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ハリルに念を押したラシードは、互いの位置を入れ替える。
精を飲ませてもらえないのは、ハリルも同様だった。それどころか彼はセナの唇に雄芯を咥えさせようともしない。ラシードに制されているせいもあるのだろうが、飲ませようというつもりもないようだった。
その代わり、唇に雄々しい舌が挿入される。
セナの唇を塞いだハリルは、濡れた舌を思うさま舐る。小さな口の中は、逞しい男の舌をいっぱいに含まされた。
敏感な口蓋をぞろりと舐め上げられれば、快感の伝播した腰が前後に揺れる。
雄を咥え込んでいた蕾はひくひくと収縮して、とろりと淫液を垂らした。
そこをラシードの熱杭が、ずくんと貫く。
「んふぅ……っ、んっ……んん……」
濡れた媚肉は美味そうに、再び咥え込まされた硬い雄芯を引き絞る。
ずちゅずちゅと淫猥な音を立てて出し挿れされれば、逃すまいとするかのように、肉襞は熱い男根に絡みついた。
「あぁうぅ……んくぅ……ん、ん、ふ……っ」
びくん、と腰が大きく跳ね上がり、咥え込んだ楔を、きゅうと甘く引き絞る。
奥深くで弾けた楔の先端から、濃厚な白濁が迸る。しっとりと花筒を濡らされて、満たされた体は容易に頂点に達してしまった。
「あっ、あっ、あぁ――……」
快楽のただ中にある淫猥な肉体は、すぐに極めてしまう。
それで終わるはずもなく、再び男たちの律動が始まった。
まるで夢うつつの中にいるように、ゆるゆると甘い快感を塗り込められていく。
淫蕩な庭園には長い間、淫靡な水音が鳴り響いていた。
庭園での閨事から数日後。
セナは緊張の面持ちで、執務室に置かれた椅子に腰かけていた。
宰相の執務室には、以前は黄金の骨董品や有名な絵画が飾られていたというが、前任のマルドゥクの件もあったためか、ファルゼフはそれらをすべて撤去したそうだ。それはセナを執務室に案内してくれた側近が教えてくれた。
現在の宰相が使用するこの部屋には、重厚な執務机と椅子、それに数人で話し合いを行うための長椅子とテーブルが鎮座しているだけだ。大きな窓からは明るい陽射しが降り注いでいる。窓の外は庭園を一望できる風景が広がっていた。
トルキア国において、王の次に政治的権力を持つ宰相が執務を行うのに相応しい部屋の眺望である。
セナは本日、ファルゼフに執務室を訪れるよう告げられた。
宰相の執務室を指定されるなんて、初めてのことだ。それどころか、ファルゼフとふたりきりで会話するのも初めてなのである。緊張は拭えない。
おそらくは、王子たちの特別講義を行ったことで、何かお小言があるのではないだろうか。
緊張するセナに付き添っている側近は、和ませようとしてくれるのか、先程から喋り続けている。ファルゼフは会議が長引いているとのことで、まだやってきていない。
「ファルゼフ宰相は大変堅実な方でございます。歴代の宰相の中には、この部屋を黄金で埋め尽くした者もいましたが、そのようなものは必要ないと仰られました。それに貴族でもない平民の私を側近に採用してくださったのです。これまでは身分と役職は比例しておりましたから、大変驚きましたが、過去の功績を評価してくださったとかで……私はとても感激いたしました」
「ええ、ええ……」
熱く語る側近の男性は、ファルゼフに尊敬の念を抱いているようだ。
セナはファルゼフから何を言われるのか気が気ではなく、側近の話を上の空で聞いていた。
そのとき、執務室の重厚な扉が開かれた。
「お待たせいたしました、セナ様。会議が長引いてしまい、申し訳ございません」
眼鏡の奥の理知的な双眸を煌めかせたファルゼフは、まっすぐにセナの姿を眼に収める。
なんだか肉食獣に睨まれているようで、落ち着かない。彼は確かに堅実で聡明かもしれないが、どこか獰猛さを匂わせている。
ファルゼフが、すいと掌を翳す。合図を受けた側近は、一礼すると音もなく室内を出て行った。先程延々と喋っていた賑やかさとは乖離していることがふと気になったセナは、側近が出て行った扉に目を向ける。
閉められた扉の向こうで、側近の気配が消えた。どこかへ行ってしまったようだ。室内にはいなくても、宰相の側近ならば扉の外で控えているものではないだろうか。
頭に思い描いたセナの疑問を読んだかのように、ファルゼフは言葉を紡いだ。
「これからお話しするのは内々のことですから、人払いをいたしました。誰もこの執務室には近づかないよう命じておりますから、セナ様は安心して心の裡をお話しください」
優しげな微笑を浮かべながら、ファルゼフはセナの向かいに腰を下ろした。
彼の言葉に安堵を抱いたセナは、ほっとして肩の力を緩める。
「はい、わかりました。ファルゼフさま」
「さま、は不要でございます。どうぞ、ファルゼフとお呼びください」
「わかりました。ファルゼフ」
精を飲ませてもらえないのは、ハリルも同様だった。それどころか彼はセナの唇に雄芯を咥えさせようともしない。ラシードに制されているせいもあるのだろうが、飲ませようというつもりもないようだった。
その代わり、唇に雄々しい舌が挿入される。
セナの唇を塞いだハリルは、濡れた舌を思うさま舐る。小さな口の中は、逞しい男の舌をいっぱいに含まされた。
敏感な口蓋をぞろりと舐め上げられれば、快感の伝播した腰が前後に揺れる。
雄を咥え込んでいた蕾はひくひくと収縮して、とろりと淫液を垂らした。
そこをラシードの熱杭が、ずくんと貫く。
「んふぅ……っ、んっ……んん……」
濡れた媚肉は美味そうに、再び咥え込まされた硬い雄芯を引き絞る。
ずちゅずちゅと淫猥な音を立てて出し挿れされれば、逃すまいとするかのように、肉襞は熱い男根に絡みついた。
「あぁうぅ……んくぅ……ん、ん、ふ……っ」
びくん、と腰が大きく跳ね上がり、咥え込んだ楔を、きゅうと甘く引き絞る。
奥深くで弾けた楔の先端から、濃厚な白濁が迸る。しっとりと花筒を濡らされて、満たされた体は容易に頂点に達してしまった。
「あっ、あっ、あぁ――……」
快楽のただ中にある淫猥な肉体は、すぐに極めてしまう。
それで終わるはずもなく、再び男たちの律動が始まった。
まるで夢うつつの中にいるように、ゆるゆると甘い快感を塗り込められていく。
淫蕩な庭園には長い間、淫靡な水音が鳴り響いていた。
庭園での閨事から数日後。
セナは緊張の面持ちで、執務室に置かれた椅子に腰かけていた。
宰相の執務室には、以前は黄金の骨董品や有名な絵画が飾られていたというが、前任のマルドゥクの件もあったためか、ファルゼフはそれらをすべて撤去したそうだ。それはセナを執務室に案内してくれた側近が教えてくれた。
現在の宰相が使用するこの部屋には、重厚な執務机と椅子、それに数人で話し合いを行うための長椅子とテーブルが鎮座しているだけだ。大きな窓からは明るい陽射しが降り注いでいる。窓の外は庭園を一望できる風景が広がっていた。
トルキア国において、王の次に政治的権力を持つ宰相が執務を行うのに相応しい部屋の眺望である。
セナは本日、ファルゼフに執務室を訪れるよう告げられた。
宰相の執務室を指定されるなんて、初めてのことだ。それどころか、ファルゼフとふたりきりで会話するのも初めてなのである。緊張は拭えない。
おそらくは、王子たちの特別講義を行ったことで、何かお小言があるのではないだろうか。
緊張するセナに付き添っている側近は、和ませようとしてくれるのか、先程から喋り続けている。ファルゼフは会議が長引いているとのことで、まだやってきていない。
「ファルゼフ宰相は大変堅実な方でございます。歴代の宰相の中には、この部屋を黄金で埋め尽くした者もいましたが、そのようなものは必要ないと仰られました。それに貴族でもない平民の私を側近に採用してくださったのです。これまでは身分と役職は比例しておりましたから、大変驚きましたが、過去の功績を評価してくださったとかで……私はとても感激いたしました」
「ええ、ええ……」
熱く語る側近の男性は、ファルゼフに尊敬の念を抱いているようだ。
セナはファルゼフから何を言われるのか気が気ではなく、側近の話を上の空で聞いていた。
そのとき、執務室の重厚な扉が開かれた。
「お待たせいたしました、セナ様。会議が長引いてしまい、申し訳ございません」
眼鏡の奥の理知的な双眸を煌めかせたファルゼフは、まっすぐにセナの姿を眼に収める。
なんだか肉食獣に睨まれているようで、落ち着かない。彼は確かに堅実で聡明かもしれないが、どこか獰猛さを匂わせている。
ファルゼフが、すいと掌を翳す。合図を受けた側近は、一礼すると音もなく室内を出て行った。先程延々と喋っていた賑やかさとは乖離していることがふと気になったセナは、側近が出て行った扉に目を向ける。
閉められた扉の向こうで、側近の気配が消えた。どこかへ行ってしまったようだ。室内にはいなくても、宰相の側近ならば扉の外で控えているものではないだろうか。
頭に思い描いたセナの疑問を読んだかのように、ファルゼフは言葉を紡いだ。
「これからお話しするのは内々のことですから、人払いをいたしました。誰もこの執務室には近づかないよう命じておりますから、セナ様は安心して心の裡をお話しください」
優しげな微笑を浮かべながら、ファルゼフはセナの向かいに腰を下ろした。
彼の言葉に安堵を抱いたセナは、ほっとして肩の力を緩める。
「はい、わかりました。ファルゼフさま」
「さま、は不要でございます。どうぞ、ファルゼフとお呼びください」
「わかりました。ファルゼフ」
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