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鴇の正体 6
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「ちがう、ちがう! 嘘つきのおまえなんか、求めてない!」
指を深く挿入されて蜜壺を解されながら、胸の突起をきつく啜られる。同時に与えられる悦楽に、体は歓喜したように甘く痺れた。
いやだ、感じたくない。
頭では拒絶するのに、体は男の愛撫に蕩けていく。体と心が噛み合わず、安珠は苦しさに薄い胸を喘がせながら襲い来る快楽の波に耐えた。
やがて指が引き抜かれると、熟れた蕾に灼熱の杭が押し宛てられる。
「あっ、や、やぁ……っ、……あぁあっ」
じゅくん、と濡れた音を立てて、極太の熱杭が身を貫く。
媚肉は美味そうにきゅうと締めつけながら、押し入る雄の楔を銜え込んだ。すぐに激しい抽挿を送り込まれ、がくがくと揺さぶられる体は愉悦に喘がされる。
「あっ、あっ、あぅ、はげし……、やぁ、あぁ、んぁ」
いやなのに、快感に抗えない淫らな体は腰を揺らめかせ、唇からは甘い嬌声を零してしまう。鴇は荒い息遣いで犯しながら、乱れる安珠を漆黒の双眸に収めた。
「ここに、俺の子種をたっぷり注ぐよ。孕ませてあげる」
感じる奥の口をずんずんと突かれ、耐えがたい快感の荒波に揉まれる。
猛った雄芯は濡れた蜜壺を掻き乱した。熱い先端が子宮口を擦り、ずくりと抉る。
「あ、あ、いや、ん、いっ……あぁ、鴇、いやだ、鴇!」
体の奥深くまで押し込まれた楔を小刻みに揺すられて、切っ先は奥の口に接吻した。腰骨に凝っていた甘い軋みが急速に背筋を迫り上がり、内股がぶるぶると震えだす。
達しそうになり、安珠は泣き喚きながらシャツを解き、男の背中に爪を立てた。
いきたくない。こんなふうに、無理やりに抱かれて孕みたくない。
短い爪で力の限り皮膚を掻き毟るのに、きつく絡みついた腕は解かれない。
「大丈夫だよ。いっていい。……愛してる」
耳元に囁かれた台詞に息を呑む。
最悪だ。
こんなときに、安珠がもっとも望んでいた言葉を聞かされるなんて。
「言うなっ、あっ、ぅあ、あぁ、あんん、んっ、あっ……」
白い脛が薄闇の中で高く掲げられ、足指は丸められた。雄を銜え込んだ内壁は精を促すように、きゅうと引き絞られる。
爆ぜた雄芯から迸る白濁が、奥の口に注がれていく。ごくり、ごくりと子種を呑む感触が体を、心を震わせた。
「あ……あ……、うぅ……」
「……上手に呑めたね。赤ちゃん、できるよ」
熱い腕に抱きしめられながら、呆然として虚空を見つめる。
この男は、安珠の何もかもを踏みにじるのだ。己の初恋を叶えたいという身勝手な想いだけで、椿小路公爵家を欺き、安珠の恋心を蔑ろにした。
絶望的な思いに胸を沈ませながら、しがみついている男を押しやる。
鴇が離れないので下肢をつながらせたまま横向きに転がった。抱き合う格好で足を絡ませる。鴇は顔を傾けて安珠を覗き込んできた。
「泣いたから少し瞼が腫れたね。後で冷やそう」
自分こそひどい顔のくせに人の心配とは呆れる。鴇の口端には血糊がこびりついている。思い切り掻き毟ったので、背中は皮膚が剥けて血が滲んでいるはずだった。
悪かった、と言おうとして、安珠は踏み止まる。
すべて鴇が悪いのだ。こちらから謝る必要などない。
唇を引き結んだ安珠の額に、鴇はそっと口づけを落とした。以前と何も変わらない優しさに、切なく胸が引き絞られる。そんなところだけが彼の真実だなんて。
苦い思いがまた胸の裡に込み上げて、嗚咽を堪える。
これで、最後だ。二度とこの男に体を触れさせない。
固く心に誓い、安珠は髪を梳く大きな掌を払い除けた。
執務室に、ぱらりと紙を捲る静かな音が染み込む。帳簿を捲っていた安珠の手が、ふと止まる。
「教会へ寄付……?」
椿小路家の支出を記した帳簿には、毎月一定の額が教会への寄付として載せられていた。それは鴇が当主に就任してから続いており、父の代には見られなかったものだ。鴇はクリスチャンでもないので礼拝などには一切行かない。
「そうか……あいつだったんだな。月の王子は」
鳴海神父が語っていた月の王子という寄付者の正体は、鴇だったのだ。正確には鴇に成り代わった廣人だが。
鳴海神父や死んだ鴇に対する贖罪ということなのだろうか。いずれにせよ晃久と組んだ商売は順調だそうで金の心配はなく、母や史子に対する支援にも充分に宛てられている。余った金を鴇が何に使おうが自由だ。椿小路公爵は、あいつなのだから。
ふいに扉が開き、入室した鴇は安珠を見据えたまま静かに扉を閉じた。
「何か用か」
指を深く挿入されて蜜壺を解されながら、胸の突起をきつく啜られる。同時に与えられる悦楽に、体は歓喜したように甘く痺れた。
いやだ、感じたくない。
頭では拒絶するのに、体は男の愛撫に蕩けていく。体と心が噛み合わず、安珠は苦しさに薄い胸を喘がせながら襲い来る快楽の波に耐えた。
やがて指が引き抜かれると、熟れた蕾に灼熱の杭が押し宛てられる。
「あっ、や、やぁ……っ、……あぁあっ」
じゅくん、と濡れた音を立てて、極太の熱杭が身を貫く。
媚肉は美味そうにきゅうと締めつけながら、押し入る雄の楔を銜え込んだ。すぐに激しい抽挿を送り込まれ、がくがくと揺さぶられる体は愉悦に喘がされる。
「あっ、あっ、あぅ、はげし……、やぁ、あぁ、んぁ」
いやなのに、快感に抗えない淫らな体は腰を揺らめかせ、唇からは甘い嬌声を零してしまう。鴇は荒い息遣いで犯しながら、乱れる安珠を漆黒の双眸に収めた。
「ここに、俺の子種をたっぷり注ぐよ。孕ませてあげる」
感じる奥の口をずんずんと突かれ、耐えがたい快感の荒波に揉まれる。
猛った雄芯は濡れた蜜壺を掻き乱した。熱い先端が子宮口を擦り、ずくりと抉る。
「あ、あ、いや、ん、いっ……あぁ、鴇、いやだ、鴇!」
体の奥深くまで押し込まれた楔を小刻みに揺すられて、切っ先は奥の口に接吻した。腰骨に凝っていた甘い軋みが急速に背筋を迫り上がり、内股がぶるぶると震えだす。
達しそうになり、安珠は泣き喚きながらシャツを解き、男の背中に爪を立てた。
いきたくない。こんなふうに、無理やりに抱かれて孕みたくない。
短い爪で力の限り皮膚を掻き毟るのに、きつく絡みついた腕は解かれない。
「大丈夫だよ。いっていい。……愛してる」
耳元に囁かれた台詞に息を呑む。
最悪だ。
こんなときに、安珠がもっとも望んでいた言葉を聞かされるなんて。
「言うなっ、あっ、ぅあ、あぁ、あんん、んっ、あっ……」
白い脛が薄闇の中で高く掲げられ、足指は丸められた。雄を銜え込んだ内壁は精を促すように、きゅうと引き絞られる。
爆ぜた雄芯から迸る白濁が、奥の口に注がれていく。ごくり、ごくりと子種を呑む感触が体を、心を震わせた。
「あ……あ……、うぅ……」
「……上手に呑めたね。赤ちゃん、できるよ」
熱い腕に抱きしめられながら、呆然として虚空を見つめる。
この男は、安珠の何もかもを踏みにじるのだ。己の初恋を叶えたいという身勝手な想いだけで、椿小路公爵家を欺き、安珠の恋心を蔑ろにした。
絶望的な思いに胸を沈ませながら、しがみついている男を押しやる。
鴇が離れないので下肢をつながらせたまま横向きに転がった。抱き合う格好で足を絡ませる。鴇は顔を傾けて安珠を覗き込んできた。
「泣いたから少し瞼が腫れたね。後で冷やそう」
自分こそひどい顔のくせに人の心配とは呆れる。鴇の口端には血糊がこびりついている。思い切り掻き毟ったので、背中は皮膚が剥けて血が滲んでいるはずだった。
悪かった、と言おうとして、安珠は踏み止まる。
すべて鴇が悪いのだ。こちらから謝る必要などない。
唇を引き結んだ安珠の額に、鴇はそっと口づけを落とした。以前と何も変わらない優しさに、切なく胸が引き絞られる。そんなところだけが彼の真実だなんて。
苦い思いがまた胸の裡に込み上げて、嗚咽を堪える。
これで、最後だ。二度とこの男に体を触れさせない。
固く心に誓い、安珠は髪を梳く大きな掌を払い除けた。
執務室に、ぱらりと紙を捲る静かな音が染み込む。帳簿を捲っていた安珠の手が、ふと止まる。
「教会へ寄付……?」
椿小路家の支出を記した帳簿には、毎月一定の額が教会への寄付として載せられていた。それは鴇が当主に就任してから続いており、父の代には見られなかったものだ。鴇はクリスチャンでもないので礼拝などには一切行かない。
「そうか……あいつだったんだな。月の王子は」
鳴海神父が語っていた月の王子という寄付者の正体は、鴇だったのだ。正確には鴇に成り代わった廣人だが。
鳴海神父や死んだ鴇に対する贖罪ということなのだろうか。いずれにせよ晃久と組んだ商売は順調だそうで金の心配はなく、母や史子に対する支援にも充分に宛てられている。余った金を鴇が何に使おうが自由だ。椿小路公爵は、あいつなのだから。
ふいに扉が開き、入室した鴇は安珠を見据えたまま静かに扉を閉じた。
「何か用か」
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