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初夜 2

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「え?」

 驚きすぎて眸を瞠ったままだったが、ふつうは閉じるものなのだろうか。というか、なぜ閉じなければならないのか。安珠は戸惑いながら視線を彷徨わせた。吐息のかかるほど傍で、鴇はくすりと微笑む。

「安珠の好きなようにしていいよ。でも唇は少し開いてくれると嬉しいな」
「え……こう?」

 初心者の素直さで、言われたとおりに唇を開いてしまう。
 後頭部を大きな掌で支えられると、鴇が口を開けながら精悍な顔を傾けるさまが視界いっぱいに広がった。

「んっ」

 ぬるりと、熱くて濡れたものが口腔に挿し入れられる。
 それが鴇の舌だということを、淫らな動きで中を掻き回されてから気づいた。

「あ……んくっ、……ん、ふ……」

 歯列を辿り、頬裏をなぞられる。口蓋をくすぐられると、敏感なそこはびくりと体を跳ねさせた。

「くっ……んぅう……」

 顔を逸らして逃れようとしても、頭の後ろを押さえられているので敵わない。伸ばした手は男の背を掻いた。
 強靱な筋肉が指先に触れる。鴇は服を着ているときは冷淡な容貌のためか痩せて見えるのに、裸になると男らしく鍛え上げられた肉体を纏っていた。
 鴇は殊更反応の良い口蓋を舐り続ける。初心な体は乾いた土に水が染み込むように、鋭敏に快感を掬う。

「ん、ん、ふ……んん……っ」

 腰奥に熱の塊が凝っているような錯覚が過ぎる。
 それが突如、苛烈に弾けた。びくり、びくりと腰が淫らに跳ね上がる。

「あっ、あっ、んぅ……」

 舌を絡められ、じゅるりと啜られる。達した刺激の残滓まで吸い上げられた。
 快楽の余韻に痺れながら濡れた舌を擦り合わせ、唾液を呑み込む。ようやく解放された唇は銀糸でつながれた。

「あ、はぁ……息が、できない……」

 肩で大きく息をする。苦しくて、でもきもちよくて、甘い痺れが体中を支配していた。
 鴇は何ともないようで、散々貪った安珠の濡れた唇をまた音を立てて吸う。

「鼻で息するんだよ。ちゃんとできてたから大丈夫」
「あ……。そうだったのか……」

 夢中で口づけを受けていたので無自覚だった。己の体に意識をむければ、下肢の濡れた感触に気づかされる。
 ライトが照らす淡い橙色の光に浮き上がる滑らかな肌を確かめるように、鴇は大きな掌でじっくりと撫で下ろす。首筋に押し当てられた唇は、鎖骨を辿り、鳩尾まで真っ直ぐに下りていく。

「安珠……もしかして、キスだけで達した?」

 臍に舌先を捩入れて、男の舌と唇は下腹に及ぶ。
 鴇の手は知らぬ間にベルトを外して、スラックスを引き下げていた。濡れた下穿きも花芯も、露わにされてしまう。

「あ……あ……だって、感じて……」

 白い腿を撫で下ろした鴇は、膝裏に手をかけた。その眸は獰猛に眇められている。

「見せて。安珠の、一番奥のほうを」

 蝶が羽を開くように、ゆっくりと、淫靡に、両足は開かれていった。
 誰にも見せたことのない奥の窄まりが晒される。
 外気に触れた冷たさと相反する男の手の熱さに、安珠はぶるりと背を震わせた。

「これが、安珠の蕾……」

 感嘆の息を吐いた鴇の顔が、大きく開かれた己の足の狭間にある。
 そこは自分でも見たことのない秘められた箇所だ。あんなところを誰かに凝視される日が来るなんて。

「ひっ」

 ぬぐ、と奥の窄まりに熱いものを挿入された感覚が走る。
 熱くて、濡れていて、意思を持ったそれは肉環をくぐり抜け、まだ硬い花筒を探る。
 ぴちゃり、ぴちゃりと卑猥な水音が鳴り響く。あまりのことに惑乱した安珠は悲鳴を上げた。

「ひぃ……っ、いや、いやだ、鴇……やぁあ……」
「前戯をさせて。安珠の蕾はとても硬いんだ。傷つけたくないから」

 伸び上がった鴇は小刻みに震える安珠の頬に、口づけをひとつ落とす。まるで子どもを宥めるような仕草に、胸の嵐は少々収まる。
 乱れた薄茶の髪を大きな掌で掻き上げて、安珠の様子をじっくりと観察した鴇は体をずらした。はだけられた胸元へ唇を寄せる。

「あっ」

 胸の突起をぬろりと舐め上げられ、甘い刺激に喉元を反らせる。
 口腔に含まれ、飴をしゃぶるように舌先で転がされた。じゅるりときつく吸い上げられて硬く張り詰めた突起をまたねっとりと濡れた舌で弄られる。
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