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耽溺の別荘 16

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 ずちゅ、と先端が肉環をくぐり抜けて含まされた。
 待ち望んだ楔を悦んだ花筒はうねり、淫液に濡れていく。
 しかしすぐに引き抜かれて、口を開けた蕾は寂しそうに涎を垂らした。

「あ……ふ、ぁ、ん……」

 満たされない欲を持て余した体が、ぶるりと震える。
 はやく、貫いてほしい。
 奥まで満たしてほしい。
 もう、それしか考えられなくなる。

「澪、どうしてほしい。言ってみろ」

 焦らすように雄芯を後孔に触れさせて、晃久は口にすることを要求する。蕾は硬い雄芯を求めて、戦慄いている。澪は高く掲げられた膝を震わせた。
 この体勢で貫かれるのは、先ほどトキに挿入されそうになったことを彷彿とさせる。

「ん、ん……や、です……言えません」
「そうか。ここはもう限界のようだがな」

 ぐじゅ、と水音を立ててまた楔の切っ先が埋め込まれた。入り口だけを弄ぶように拡げられる。欲しがりな蕾は逃すまいとするように、きゅうと締めつける。

「あっ……はぁ、うぅん……」

 もどかしい刺激を与えられ、腰奥に燻る疼きは暴発しそうなほどに膨れ上がる。ひとりでに腰が揺れてしまい、澪は淫らに身をくねらせた。
 トキがごくりと喉を鳴らす音が耳に届いたが、繕う余裕などなかった。あえかな吐息を零しながら、男を誘うように肢体を揺らす。
 体の奥深くから、じわりと滲んだ淫液が花筒を濡らして入り口まで伝う。楔を奥まで誘うかのように、蕾に含まれた切っ先を濡らすと、溢れたものが滴り落ちた。

「あぁ、もう、若さま、もうだめです。お願いです、許してください……!」

 快楽に塗られた肢体をくねらせて懇願する澪を、晃久は双眸を細めて見下ろした。

「澪。おまえを抱くのは俺だ。そのことをたっぷりと教え込んでやる」

 ぐじゅん、と力強く楔は奥まで挿入された。甘い衝撃に、澪は背を弓なりに撓らせる。

「あああああっ、あぁん、あっ、あっ、ぁ……」

 花芯はびくりびくりと震えて、また欲の飛沫を吹き上げた。挿入されただけで吐精してしまった。

「達したな。どうする、抜くか?」
「いやっ、いやぁ、若さまっ……!」
「何がいやなんだ。どうしてほしいのか、おまえの口から、はっきりと言え」

 ずりゅ、と引き抜かれそうになり、濡れた花筒は必死に楔に絡みつく。
 腰奥に溜まった灼熱のような塊に、体を内側から焼かれるようだった。
 澪は陥落した。眦から涙が一筋、つうと零れ落ちる。

「若さまの、熱くて硬い肉棒で、僕の奥を突いてください……。僕の体の奥に、精をたくさん注いでください……」
「奥が良いのか」
「はい……奥が……きもちいいから……」

 ずくりと腰を押し込まれる。熱杭は濡れた花筒を幾度も出し挿れして擦り上げた。激しい抽挿を送られて、先端は奥の感じるところを抉る。
 渇望したものをようやく与えられ、澪の唇から喜悦の声が迸る。

「あぁっ、あぁ、ん、あ、いいっ、若さま、あ、おく、奥が」
「おまえの奥はどうなってるんだ。トキに説明してやれ」

 潤んだ眸を開ければ、トキは瞬きもせずに乱れる澪を見ていた。
 あれほど恥ずかしかったのに、晃久に貫かれたことにより、体の奥にひそむ熱の塊と共に羞恥は蕩けた。

「僕の奥が……若さまの硬い芯で突かれて、ぐじゅぐじゅに蕩けてます……」
「そうされると、いつもおまえはどうなる?」

 激しく突き上げられ、淫らな肢体はがくがくと揺さぶられる。澪は嬌声を零して揺れながら、淫猥な言葉を紡いだ。

「あっ、あっ、そうすると……きもちよくて、高まって、達してしまいます」
「達する前に俺との約束があったな」
「あ、そうです。いく、って若さまに教えないと……ん、あ、あぁ」

 小刻みに揺らされ、幾度も硬い切っ先で奥を突かれる。
 澪のオメガである体はアルファの精を求めて、搾り取るように先端を包む込む。

「あ、あ、若さま……いく、んぁ、あぁ、いくぅ……っ」
「ああ、いけ。……っく」

 濃厚な白濁が勢いよく注ぎ込まれる。奥の口は楔の先端を銜え込んで、ごくりごくりと美味そうに呑み込んだ。

「あっ……あ、ぁ……」

 快楽の残滓に震える体を抱き竦められ、唇を塞がれる。薄く眸を開けば、こちらを凝視しているトキと目が合った。
 すべて見られてしまった。
 でもこれが、晃久の下した罰なのだ。
 絡めた舌を解放した晃久は腰を回して濡れた花筒を捏ね回す。淫液や白濁が混じり合い、花筒はぐちゃりと音を立てた。

「あ……やぁ……」
「もう一度だ。トキ、見ていろ」
「かしこまりました」

 平然としたふたりのやり取りに瞠目する。
 まるで見世物だ。これはオークションと同じように、商品を見せるためのセックスなのだ。晃久が己の所有物であると誇示するための。
 哀しくて、胸が引き絞られる。
 けれど体は欲望に正直で、晃久の雄芯に悦んで絡みつくのだ。
 澪は相反する心と体を抱えながら嬌声を上げ続けた。
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