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31話
しおりを挟む号泣しているエリザ様に近づきそっと寄り添う。
「エリザ様、大丈夫ですか? こちらハンカチを使ってくださいませ。それにこの椅子にお座りください」
崩れ落ちる様に泣いていたエリザを支えて椅子に座らせる。
「グスッ、あ、ありがとう、グスッ、ございます、わ。アレクシア様はお優しいのね」
「いえ、そんなことは……」
こんなことで優しいとは……。
「だって、魔王様はいくら、わたくしが話しかけても返事は素っ気なく笑顔ひとつもくださらないの……。でも、そんなクールなところも素敵で更に好きになってしまうのよ。でも、やっぱり優しくされるのは嬉しいですわ……」
「エリザ様……」
そんなにヴィンス様のことをお好きなのね……。なんだかまた心にモヤっとした感じがしましたわ。これは一体?
「アレクシア様は見た目の美しさだけでは無く、心もお優しいのですね」
「そんなことありませんわ。だってわたくしは……」
エリザからそう言われましたが見た目の自信も性格もいいとは言えないと自分では思っているアレクシア。
「アレクシア様は謙虚ですのね」
「アレクシアは美しいぞ」
「「!?」」
エリザ様が褒めてくださって、それでなくさえどうしたらいいか分からなかったのに、さらにヴィンス様にも言われるとは……。それにヴィンス様に言われると顔が赤くなってしまいますわ。
「なんでことでしょう……。あの魔王様が美しいと……」
エリザは滅多に笑わない、いつも無表情な魔王様がアレクシアを美しいと言い穏やかな笑顔も見せた。そのことに驚きが隠せない。
そしてエリザは決めた。
「アレクシア様!」
「! は、はい……」
エリザ様に急に呼ばれ思わず身構える。
「アレクシア様、わたくしとお友達になってくださいませ!」
「……お友達?」
「はい! ぜひお友達になりたいですわ!」
アレクシアは何を言われるのか身構えていたが拍子抜けした。
私とお友達に?てっきりヴィンス様に付き纏うなとか、目の敵にされ絡まれたりするのかと思いましたわ。
「私で良ければぜひ」
「アレクシア様! ありがとうございますわ! これからよろしくお願いしますわ、同じ魔王様を好きな者同士♪」
「……へえっ?」
「あら?」
ヴィンス様を好きな者同士……?ヴィンス様を……。
!?!?そ、それは、私がヴィンス様をす、好きということ!?
……私はヴィンス様のことが好きなの?確かにヴィンス様のことは好きだけどそれは異性として?
エリザは思った。絶賛混乱中のアレクシアの様子を見て、魔王様に恋心を抱いていることを自覚してなかったのねっと……。
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