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 えっ!?今、ラディリアス様は何て言った……?わたしがラディリアス様の婚約者だとか聞こえたけど……。うん?聞き間違えかな?それとも……。

 バイオレットの頭の中はもう絶賛混乱中であった。思わず、固まっているバイオレットにラディリアスはクスッと笑いながら言った。

「本当はこの件が終わってから改めてバイオレット嬢にプロポーズしようと思っていたのだけど。まさか、マーロンがおかしなことを言うもんでね……。バイオレット嬢にプロポーズする前にみんなの前で言うことになってしまったじゃないか。ねえ、どうしてくれるの?マーロン……」

「っ!! そ、そんなこと!」

 マーロンはラディリアス様にそう言われてたじたじしている。

 それにしても、やっぱり!わたしがラディリアス様の婚約者になったことは本当のことだった!しかも、ぷ、プロポーズ!?わっわっ!ど、どうしよう!?

 バイオレットの混乱は継続中。いくら、前世で彼氏だったとはいえ、改めてプロポーズすると言われてバイオレットは照れていた、心の中で。

「しかし、バイオレットは知らない様じゃないか! それにラディリアス殿は俺のお下がりでいいのか?」

 マーロンは思いついた様に言います。それにわたしが知らないからと言って婚約は親が勝手に決める場合もあるし、ラディリアス様が人前で言うのだから国王陛下が認めているに決まっているでしょう。アホだわ、コイツ……。

 それに、俺のお下がりって……。なんかムカつくわ~。まじ何様のつもり?確かに権力はあるけど、ないわー。

「……俺のお下がり? 意味が分かりませんね」

「っ! ……だって、俺の婚約だったバイオレットを婚約者にするなど、お下がりと言われてもおかしくはないじゃないか!」

 最初は怯んでいたマーロンだけど、ラディリアス様に強気で反論した。

「あははは! お前、本当にアホだな!」

 ラディリアス様は少し低い声で笑って話しているけど目が全然笑ってないわ。それから、ラディリアス様は今までの丁寧な言い方から砕けた言い方になった。

 ラディリアス様にアホと言われ、顔を真っ赤にしながら怒るマーロン。

「な、な、なんだと!?」

「あはははっ! だって、君、知らなかったのかい?」

「何をだ!?」

「国王陛下、言ってもよろしいでしょうか?」

「ラディリアス様、私から申しましょう……」

 すると、国王陛下は厳しい顔でマーロンに言います。

「マーロン、今まで何をしてきたのだ? それにバイオレット嬢をお下がり呼ばわりとは……。心底失望したぞ、マーロン。それに、バイオレット嬢がラディリアス様に嫁ぐことはなんらおかしくはないぞ」

「しかし、父上!」

「黙れ! マーロン、バイオレット嬢には幼い時からラディリアス様との婚約話はあったのだ!」

 えっ?幼い時から……?



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