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「バイオレット・ホワード! お前との婚約を破棄する!」

 ついにこの時が来てしまいましたわ……。やっぱりシナリオ通りにしかならないのね……。






 わたしが前世の記憶を思い出したのは婚約者との顔合わせの時で思わず叫びそうになったわ。

 たまたま、親友が面白いから読んでみなって借りた小説でへえーなかなか面白いじゃんって思っただけの小説に!まさか自分が小説の中の人になるとは思わないでしょ!?しかも!悪役令嬢として!わたしなんか悪い事した?なんで悪役令嬢なのよ~。

 この悪役令嬢のバイオレット・ホワードはヒロインであるマリア・アンルーに嫉妬のあまり陰湿ないじめをし、挙句の果てに殺そうとする。それをバイオレットの婚約者である王太子が助けて、卒業パーティーで断罪するっていう王道な感じの小説だった。しかもこの断罪が犯罪者の刺青をされて国外追放っていうものなの!これはもうのたれ死ねって言ってるものじゃない!

 だからわたしは頑張った!悪役令嬢なんかにならない様に!まず、家族との仲を良くした。元々お父様とお母様はわたしに甘々だったが、更に媚を売りまくり、もうそれはそれは過保護になるまでに仲良くなった。

 もう一つ婚約者マーロン・オルティスとの仲だ。小説ではバイオレットはわがままで一方的に好きで振り回していた感じだが、マーロンの好みをしり、その話をしたり、お菓子をプレゼントしたり、一緒に勉強したりと仲を深めていった。

 更に私は淑女としてもマナーなどを頑張って王妃様のお墨付きももらった。

 そんな感じで学園に入るまでの期間すごくすごーく頑張った。








 しかし、強制力的なものは存在した様だ……。しかもヒロインも多分転生者でこの小説の事を知っているのだと思う……。

 もう強制力でマーロンがヒロインに惹かれていくのは仕方ない。だけど冤罪で犯罪者になるのはまっぴらごめんだわ!わたしが悪役令嬢にならない様にヒロインと距離を取っているのにも関わらずヒロインは陰湿ないじめにあっていると言う。それもそうだと思うけどね。婚約者がいる人ばかりに近づいていたらそりゃあ誰かはいじめるよね?

 だけど!なんで!わたしが首謀者になっているの!わたしは何もしていない!むしろみんなを諌めていた!って言っても、もうマーロンは信じてくれなかった。







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