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レティお姉様への手紙を書き終え、わたくしはセバスを呼びます。
セバスは部屋の外に控えていたようで、すぐに来てくれました。
「セバス、あの男爵令嬢が言っていた通り、本当にスティーブが浮気していたか調査してくれる? 事実確認をしましょう。あと、これを王宮のレティお姉様へ届けてほしいの」
「畏まりました」
セバスは恭しく頭を下げました。
とりあえず、レティお姉様には手紙を出しましたし、セバスの調査報告を待ちましょう……
第二章
マイアが突撃訪問してきた、翌日。
わたくしはスティーブが登城するのを見送り、執務室で公爵家の仕事をしておりました。
旦那様は身重のわたくしをおいて、今頃何をしているのでしょうか?
そんなことを考えてお昼が過ぎた頃、セバスがやってきました。
「シャーロット様、お客様でございます」
「あら、どなたかしら?」
首を傾げていると、セバスの後ろからひょこりと頭が現れます。
「僕だよ? シャル」
「ラルフ様!」
お客様とは、ラルフ様のことだったのですね!
彼はラルフリード・ベネット。この国の第一王子です。
彼は王家の証である赤みがかった金髪に、赤い瞳をしています。
わたくしのひとつ年上で……それに、わたくしの初恋の人。今となっては昔のことですが……
わたくしは突然の来客に驚きながらも微笑を浮かべます。
「ラルフ様は、今日はどうしてここへ?」
「シャル、姉上に手紙を書いたでしょ? 姉上がそれを読んで、シャルのことが心配だから直接様子を見てきてほしいと言われたんだ。姉上は何かと忙しいから、代わりにね。僕も姉上から手紙の内容を教えてもらったよ。スティーブの仕事について気になることがあると……」
セバスがすぐに届けてくれたのか、レティお姉様はもう手紙を読んでくれたのですね。
お父様がこの国の宰相を務めているため、わたくしは幼い頃から王族の方々と交流があり、レティお姉様とラルフ様、レティお姉様の婚約者のサミュエル様とはよく遊びましたわ。
レティお姉様はわたくしを本当の妹のように可愛がってくれていますので、今回の手紙の内容に違和感を持ち、心配してくださったのでしょう。
わたくしはラルフ様に頷きます。
「ええ、少し気になることがございまして……。とりあえずラルフ様、座ってお話ししましょう」
わたくしとラルフ様は応接室へと移動し、ジナにお茶を用意してもらいました。
腰を落ち着けると、ラルフ様が口火を切ります。
「さて、シャルが姉上に聞いていた件についてだけど……」
「ええ、スティーブは本当にお忙しいの?」
「いや、全然忙しくないね」
……やっぱり。
落胆した様子をあまり見せないように、わたくしはラルフ様の話の続きを聞きました。
ラルフ様は、スティーブの仕事量であれば定時で帰れるということ、トンプソン領で行われる国の公共事業など存在しないということ、出張の予定はなく、ただ一週間休みを申請しているだけだということをおっしゃいました。
――結果、まったく忙しくないということです。
ラルフ様は話し終えると、やれやれと首を横に振りました。
「まったく、トンプソン領で国の公共事業なんて……。とんだ嘘だね」
「そうですの……」
わたくしは思わず肩をすくめました。
これは、スティーブとマイアの浮気は限りなく黒に近いということです。
出張と嘘をついて一週間の休暇をとるなんて……マイアと浮気旅行にでも行こうとしているとしか考えられません。
わたくしが心の中で情報を整理していると、ラルフ様が不思議そうに言います。
「どうして、スティーブはこんな嘘をついたのかな?」
「……浮気ですわ」
「……えっ?」
わたくしは言葉を失っているラルフ様に、これまであったことを説明しました。
突然スティーブの浮気相手を名乗った女性が公爵邸に来たこと。
それから、スティーブが不自然なくらいに忙しいと言っていることに気づいて、浮気が本当なのではと思ったこと。
確かめるためにスティーブの仕事について知りたくて、レティお姉様に手紙を書いたこと。
そしてラルフ様がおっしゃっていたことを聞く限り、スティーブが浮気をしていることは確かだと思えること。
全てをラルフ様に言いました。
「……そうか。許せないな……スティーブは自分の立場がわかっていないのかな?」
……ええ、わかっていないから浮気などできるのでしょうね……
ラルフ様の言葉を聞いて、改めて沸々と怒りが込み上げてきます。
わたくしを馬鹿にしているのかしら?
浮気に全然気づかないわたくしを笑っているのかしら?
そう思うと、スティーブには仕返しなどという可愛らしいものではなく、それなりの復讐をしたいと思い始めます……。それに、もうわたくしに誠実でない人だとわかった以上、共に生涯を過ごすことすらごめんですわ!
――離縁。
その言葉が頭の中に浮かび上がります。
そうですわ、もう離縁してしまいましょう。
そう怒りに任せて思った時、わたくしのお腹がポコッと蹴られました。
「あっ……」
途端に頭が冷えます。
「シャル、大丈夫?」
ラルフ様はわたくしの小さな変化を感じたようで、心配そうにこちらを見ていました。
わたくしはニコッと笑い、なんでもないように言います。
「ええ、大丈夫ですわ。今は赤ちゃんがわたくしのお腹を蹴ったのです」
「そう、元気な子だね。それなのにあいつは……」
お腹をさすり、わたくしの子を思います。
この子から父親を奪っていいのでしょうか?
それにスティーブと離縁したら、いくらこちらが悪くなくてもサンチェス公爵家の名に傷がついてしまうのでは?
おじい様同士のスティーブに公爵を継がせるという約束を反故にしたら、お二人の仲が悪くなってしまうのでは……
たくさんの不安がわたくしを襲います。
だけど今はラルフ様がいらっしゃるから、その思いは心の中に留めておきましょう。
わたくしは不安を見せないように別の話題を振ります。
「そういえば、レティお姉様は最近どうですか? お元気ですか?」
「ああ、元気、元気! 大変そうだけど元気だよ」
レティお姉様には久しく会えていませんので、それを聞いて安心します。
「よかったですわ!」
「最近は王太女として、もうみんなに認められているしね。父上も、姉上はいつでも王になれると言うくらいに優秀だよ」
レティお姉様は女性でありながらとっても優秀ですの!
わたくしがお手紙を書いた相手であるレティお姉様――スカーレット・ベネット様は、この国の王太女でのちの女王となるお方。そしてラルフ様のお姉様でございます。
「十年前に父上が制度を変え、姉上が王太女になった時は、反感を覚える貴族が多かった。だけど姉上の優秀さと王に相応しい器を持っていることに気づいてからは、誰も文句は言わなくなったよ。やっぱり父上が言うように、能力に性別は関係ないよね」
「!!」
ラルフ様の言葉で、わたくしは決心しました。
そうです! 世間の反応がどうであれ……わたくしがこの子も公爵家も守ってみせます。
その後はラルフ様と世間話などをして、楽しい時を過ごしましたわ。
ラルフ様がお帰りになったあと、わたくしはこの国の制度を確認することにしました。
もちろん、爵位の後継者について……
わたくしは制度について書かれた本を開き、あるページで目をとめました。
「……ありましたわ。えーと……」
『男女問わず第一子を家の跡取りにするべし
男女に能力の差はほとんどないため、より早く教育を始められ、優秀な子を育てることができる第一子を家の跡取りにせよ』
これは、十年前に今の国王陛下が変えた制度。
この国では、男女を問わず第一子が爵位の継承権の第一位を持つことができます。
ですが、十年前までは男子しか家を継げない決まりだったので、貴族の間ではその慣習がほとんど変わっていません。女子しかいない場合は、婿養子を次期当主に指名する家も減っていないそうです。
古い制度にとらわれていてまだ女当主を認めない貴族も、領主が女だと見下す領民もいるようですが……それでもこれが正しい制度です。
ああ、今までは制度が変わる前に決められたおじい様同士のお約束のことがありましたし、世間の慣例に倣って我が公爵家もスティーブが継ぐのだと考えていました。スティーブがお馬鹿でもわたくしが補佐すれば、なんとかなると。
だから自分が女公爵になる未来は考えていませんでしたが……簡単な話でしたわ。
すぐに思いついてもよかったくらいなのに、やっぱりわたくし、スティーブの浮気に動揺していたのですね……
決めました。セバスの調査でスティーブの潔白が証明されなかった場合……わたくしがお父様にサンチェス公爵を継ぎたいと相談しましょう。
子持ちの次期女公爵となると、寄ってくるのは地位と財産目的の男性ばかりでしょうから再婚は難しいかもしれません。ですが、この子が次の後継者であることは間違いないのだから後継ぎには困りませんし、独り身でも問題ありません。浮気者で外でも子供を作るような父親がいるほうが、この子に悪影響を及ぼす可能性があるくらいです。
それならば、わたくしはスティーブを切り捨てましょう……
この子はひとりでわたくしが立派に育てますわ。
ここまで浮気の疑いが濃いのですから、一度お父様に相談してみましょう。
そう決意し、わたくしはお父様の帰りを待ったのでした。
この日の夜、やはりスティーブは宣言通り帰ってきませんでした。
今まで疑いもしなかったけれど、これは怪しすぎますわね。
「シャーロット様、公爵様がお帰りになりました」
お父様が帰ってきたら教えてほしいと頼んでいたので、ジナがわたくしの部屋に来てくれました。
「そう。それで、お父様はいつお話できると?」
「今からでもとおっしゃっておりました」
「わかったわ。それじゃあ、お父様とお話ししてくるわね」
そうジナに言って、お父様の部屋に行きます。
「お父様、シャーロットですわ」
「入っていいよ」
「失礼いたしますわ」
中に入ると、わたくしと同じ髪色と瞳をもつ自慢のお父様がいます。
我が公爵家の血を引く証である銀髪に青の瞳。
もう四十歳を超えているのに、未だ若々しいお父様がわたくしを見て微笑んでくれました。
「私の可愛いシャル。体調は大丈夫かい?」
「大丈夫ですわ、お父様。今日はお父様にお話ししたいことがありまして……」
「なんだい? シャルの話ならいくらでも聞くよ」
お父様は相変わらずわたくしに甘いですわね。
幼い頃にお母様が病で亡くなってしまってから、顔立ちがお母様そっくりのわたくしのことを、それはそれは可愛がってくれています。
「実は――」
わたくしは昨日のマイアの訪問のことを、お父様に話しました。
すると、だんだんお父様のお顔が険しくなっていきます……
「ほぅお……。それは随分と不敬な小娘だな。それに、スティーブ君は婿養子だということをわかっているのかな? 浮気の話が本当ならば、それなりの対応をしなければ」
「お昼過ぎにラルフ様がいらっしゃいまして、スティーブのことを教えてくれました。家に帰れないほどの仕事はしていないはずだと……ほぼ確実にマイアと浮気していると思われますが、決定的な証拠はまだ……セバスからの報告を待っている状態です」
そんな話をしていると、セバスがタイミングよく来ました。
「失礼いたします。シャーロット様がこちらにいらっしゃるとお聞きしましたので、参りました。……例の件、調査が終了いたしました。ご報告させていただければと」
「ちょうど今、お父様にも話していたところなの。ここで聞いてもいいかしら」
わたくしがそう聞くと、お父様も頷きます。
「セバス、あらかた事情はわかった。私にも報告を聞かせてほしい」
お父様に促されて、セバスは話し始めました。
「まず、結論から言いますと、スティーブ様は本当に浮気されているようです」
「へえぇ……」
「ほぅお……」
思わず笑ってしまいます。お父様も同じ顔でした。
ひとまず続きを聞きましょうか。
「それで? セバス?」
「はい、最初から話しますと、スティーブ様とあの男爵令嬢は、学園生時代に出会っていたようです。学園に通っていた頃から、隠れて愛を育んでいたようで……」
「なんだと?」
お父様が眉をひそめます。もちろんわたくしもよい気分ではありません。
この国では、十三歳から十八歳までの王侯貴族の子息令嬢は皆、学園に通うことが決められています。学園で家庭教育では習得できない専門的な知識や歴史、マナーや剣術、それに社交性を学ぶのです。
その学園にいる時からということは、短くとも二年以上は浮気をしていたということ……へえぇ、いい度胸ですね?
まあ、気づかなかったわたくしも馬鹿ですが……馬鹿にされたままでは終われませんよね?
内心で怒りをたぎらせていると、セバスが報告を続けます。
「スティーブ様が結婚するまでは、デートをするだけの関係だったようですが……シャーロット様との間に子供ができてから、あちらにも手を出したようです」
つまり、わたくしと夫婦の営みができなくなったから、別の女に手を出したというわけですね。
「私の目を盗んで、随分舐めた真似をしてくれたな……」
「ええ、本当に……」
とても低い声で言うお父様に、わたくしは心から同意します。
そんなわたくし達を見たあと、セバスは再び口を開きました。
「また、スティーブ様のお帰りが遅い日やお帰りにならない日は、全て男爵令嬢に会っております。本日も……」
一体、何様のつもりでしょうか?
こんなにご自分の立場をお忘れになることがあるものなのでしょうかね?
わたくしの怒りは沸点を超えました。真剣な目でお父様を見つめ、口を開きます。
「お父様、わたくし決めましたわ」
「ああ、シャル。私も多分同じことを考えていたよ」
「このまま馬鹿にされるわけにはいきません。舐めた態度を取った旦那様……いえ、あの男に立場をわからせようと思いますの。ふふっ、地獄に落ちればいいのですわ」
「そうだね。だけどその前にディナーにしよう。そのあとにゆっくり考えればいいさ」
「はい、お父様。それとセバス、ありがとう。調べてくれて。さすがだわ」
「いえ、お役に立ててよろしゅうございました」
セバスはわたくしにきっちりとした礼をしてくださいました。
本当にセバスの仕事は早すぎます。
だって、昨日の今日で調査が終わるなんて一体何処から情報を仕入れているのでしょうか?
謎ですわ……
それから、わたくしはお父様と少し遅めのディナーを食べました。
そのあと、誰にも聞かれないように、またお父様の部屋に戻ります。
わたくしには、お父様に先程言えていなかったことがあります。ぎゅっと拳を握りしめ、意気込んで言いました。
「お父様。わたくし、スティーブと離縁したいと思いますの。お腹の子はわたくしひとりで立派に育てますわ」
「ああ、いいよ。むしろ離縁しなさいと言うところだったよ。私の可愛いシャルを裏切る婿などいらないからね」
お父様は黒い笑みを浮かべながら、あっさりと離縁を認めてくれました。
ひとまずホッとしたあと、わたくしは再び口を開きます。
「それでですね、新しく婿をとるのではなく、わたくしがこのサンチェス公爵家を正式に継いでもよろしいでしょうか?」
お父様は右の眉をピクッと少し動かしました。わたくしはさらにたたみかけます。
「わたくしの世代では、ほとんどの家で男性が爵位を継ぐことになっているようです。ですが、わたくしは第一子ですから、女でも家を継ぐことは可能ですよね?」
「……」
お父様が、何もおっしゃりません……。わたくしではダメなのでしょうか……
少し不安がよぎった時、お父様はニコッと笑ってくれました。
「シャルが公爵家を継ぐと言ってくれて嬉しいよ!」
「……えっ?」
予想外の返答に、わたくしはポカンとしてしまいます。
「いや、私はずっとシャルを後継者にしたかったんだよ。おじい様達の約束の件があるし、スティーブ君の立場もあるから、いつ正式に発表するか悩んでいたんだが……こうなった以上、シャルに爵位を譲ることになんの問題もない。シャルにも一度聞いただろう?」
わたくしはお父様の言葉に頷きます。
確かに三年前、わたくしはお父様に「家を継ぐ気はあるか」と一度聞かれました。しかし、そのあとは何もなかったので、てっきり当初の予定通りスティーブに継がせるつもりなのだと思っていました。
わたくしは驚きながらも、お父様の言葉に納得しました。
なぜなら、わたくしは公爵家の仕事をこなすための教育をお父様から受けていたからです。
公爵家の直系の血を引く者として、スティーブの補佐ができるようにわたくしも教育を受けているのかと思っていましたが……わたくしに公爵位を継がせるつもりだったのですね。
「スティーブ君にも公爵になるための教育をしようとしたんだけど、勉強は嫌だと逃げ回っていてね……私もしびれを切らしていたんだよ」
それに、とお父様は話を続けました。
お父様によると、今までわたくしを次期公爵に指名しなかったのは、スティーブのことを見極めるためだったということでした。お父様の中ではすでに三年前にはわたくしを次期公爵にするとほぼ決めていたそうです。わたくしなら世間がどうであれ上手くやっていけるだろうと。
それに、なかなか次期公爵としての勉強をしないスティーブには、公爵家を任せられないと思ったそうです。
しかし、いきなりわたくしを次期公爵に指名してしまうとわたくしとスティーブの仲が悪くなるのでは? と思ったお父様は、最後にスティーブを見極める期間を決めました。
学園を卒業するまでの一年間と実務を始めてからの三年間。
その間に、スティーブが心を改めて真面目に勉強をし、わたくし以上に公爵を継ぐに相応しい人になれば、おじい様同士の約束通り次期公爵はスティーブにしてもいいかなと……
そこまで言うと、お父様はため息をつきました。
「そもそも、スティーブ君には言ったんだがね。このまま学ぶ気がないなら、次期公爵はシャルにするつもりだよって。それに制度が変わった際に、スティーブ君の両親であるトンプソン伯爵夫妻には相談していたんだ。そうしたら、制度が変わった以上、私がシャルに公爵を継がせると決めても受け入れると了承してくれたのだけどね」
「まあ、それは初耳ですわ。ご実家にもそれが伝わっている上に婿養子なのに、何故スティーブはわたくしと離縁しても自分が公爵になれると勘違いをするのでしょうか?」
「ああ、公爵になるための勉強は引き続きさせようとしていたからだろう。当主になるかならないかはさておき、公爵家の一員には変わりなかったんだ。最低限の勉強くらいしてもらわないと困ったからね。まあ、最低限もできていなかったようだけど……。私がシャルに継がせる意志を伝えたあとも口うるさく言っていたから、まさか本当に見切りをつけられるとは考えてもいなかったのだろう」
お父様の言う通りなのでしょうね……
わたくしが呆れ返っていると、お父様は再び口を開きました。
「まあそれはさておき、私はシャルがスティーブ君と離縁することも、私の跡を継ぐことも賛成だよ。全てが終わったら正式に次期公爵に指名するから、国王陛下に挨拶しに行こう」
お父様は満足そうに笑います。わたくしも笑顔で頷きました。
「ありがとうございます、お父様!」
「あと、シャル。これだけは言っておくよ」
お父様は真剣な目をしています。なんでしょうか?
「ひとりで子を立派に育てると言っていたが、シャルはひとりじゃないよ」
「!!」
セバスは部屋の外に控えていたようで、すぐに来てくれました。
「セバス、あの男爵令嬢が言っていた通り、本当にスティーブが浮気していたか調査してくれる? 事実確認をしましょう。あと、これを王宮のレティお姉様へ届けてほしいの」
「畏まりました」
セバスは恭しく頭を下げました。
とりあえず、レティお姉様には手紙を出しましたし、セバスの調査報告を待ちましょう……
第二章
マイアが突撃訪問してきた、翌日。
わたくしはスティーブが登城するのを見送り、執務室で公爵家の仕事をしておりました。
旦那様は身重のわたくしをおいて、今頃何をしているのでしょうか?
そんなことを考えてお昼が過ぎた頃、セバスがやってきました。
「シャーロット様、お客様でございます」
「あら、どなたかしら?」
首を傾げていると、セバスの後ろからひょこりと頭が現れます。
「僕だよ? シャル」
「ラルフ様!」
お客様とは、ラルフ様のことだったのですね!
彼はラルフリード・ベネット。この国の第一王子です。
彼は王家の証である赤みがかった金髪に、赤い瞳をしています。
わたくしのひとつ年上で……それに、わたくしの初恋の人。今となっては昔のことですが……
わたくしは突然の来客に驚きながらも微笑を浮かべます。
「ラルフ様は、今日はどうしてここへ?」
「シャル、姉上に手紙を書いたでしょ? 姉上がそれを読んで、シャルのことが心配だから直接様子を見てきてほしいと言われたんだ。姉上は何かと忙しいから、代わりにね。僕も姉上から手紙の内容を教えてもらったよ。スティーブの仕事について気になることがあると……」
セバスがすぐに届けてくれたのか、レティお姉様はもう手紙を読んでくれたのですね。
お父様がこの国の宰相を務めているため、わたくしは幼い頃から王族の方々と交流があり、レティお姉様とラルフ様、レティお姉様の婚約者のサミュエル様とはよく遊びましたわ。
レティお姉様はわたくしを本当の妹のように可愛がってくれていますので、今回の手紙の内容に違和感を持ち、心配してくださったのでしょう。
わたくしはラルフ様に頷きます。
「ええ、少し気になることがございまして……。とりあえずラルフ様、座ってお話ししましょう」
わたくしとラルフ様は応接室へと移動し、ジナにお茶を用意してもらいました。
腰を落ち着けると、ラルフ様が口火を切ります。
「さて、シャルが姉上に聞いていた件についてだけど……」
「ええ、スティーブは本当にお忙しいの?」
「いや、全然忙しくないね」
……やっぱり。
落胆した様子をあまり見せないように、わたくしはラルフ様の話の続きを聞きました。
ラルフ様は、スティーブの仕事量であれば定時で帰れるということ、トンプソン領で行われる国の公共事業など存在しないということ、出張の予定はなく、ただ一週間休みを申請しているだけだということをおっしゃいました。
――結果、まったく忙しくないということです。
ラルフ様は話し終えると、やれやれと首を横に振りました。
「まったく、トンプソン領で国の公共事業なんて……。とんだ嘘だね」
「そうですの……」
わたくしは思わず肩をすくめました。
これは、スティーブとマイアの浮気は限りなく黒に近いということです。
出張と嘘をついて一週間の休暇をとるなんて……マイアと浮気旅行にでも行こうとしているとしか考えられません。
わたくしが心の中で情報を整理していると、ラルフ様が不思議そうに言います。
「どうして、スティーブはこんな嘘をついたのかな?」
「……浮気ですわ」
「……えっ?」
わたくしは言葉を失っているラルフ様に、これまであったことを説明しました。
突然スティーブの浮気相手を名乗った女性が公爵邸に来たこと。
それから、スティーブが不自然なくらいに忙しいと言っていることに気づいて、浮気が本当なのではと思ったこと。
確かめるためにスティーブの仕事について知りたくて、レティお姉様に手紙を書いたこと。
そしてラルフ様がおっしゃっていたことを聞く限り、スティーブが浮気をしていることは確かだと思えること。
全てをラルフ様に言いました。
「……そうか。許せないな……スティーブは自分の立場がわかっていないのかな?」
……ええ、わかっていないから浮気などできるのでしょうね……
ラルフ様の言葉を聞いて、改めて沸々と怒りが込み上げてきます。
わたくしを馬鹿にしているのかしら?
浮気に全然気づかないわたくしを笑っているのかしら?
そう思うと、スティーブには仕返しなどという可愛らしいものではなく、それなりの復讐をしたいと思い始めます……。それに、もうわたくしに誠実でない人だとわかった以上、共に生涯を過ごすことすらごめんですわ!
――離縁。
その言葉が頭の中に浮かび上がります。
そうですわ、もう離縁してしまいましょう。
そう怒りに任せて思った時、わたくしのお腹がポコッと蹴られました。
「あっ……」
途端に頭が冷えます。
「シャル、大丈夫?」
ラルフ様はわたくしの小さな変化を感じたようで、心配そうにこちらを見ていました。
わたくしはニコッと笑い、なんでもないように言います。
「ええ、大丈夫ですわ。今は赤ちゃんがわたくしのお腹を蹴ったのです」
「そう、元気な子だね。それなのにあいつは……」
お腹をさすり、わたくしの子を思います。
この子から父親を奪っていいのでしょうか?
それにスティーブと離縁したら、いくらこちらが悪くなくてもサンチェス公爵家の名に傷がついてしまうのでは?
おじい様同士のスティーブに公爵を継がせるという約束を反故にしたら、お二人の仲が悪くなってしまうのでは……
たくさんの不安がわたくしを襲います。
だけど今はラルフ様がいらっしゃるから、その思いは心の中に留めておきましょう。
わたくしは不安を見せないように別の話題を振ります。
「そういえば、レティお姉様は最近どうですか? お元気ですか?」
「ああ、元気、元気! 大変そうだけど元気だよ」
レティお姉様には久しく会えていませんので、それを聞いて安心します。
「よかったですわ!」
「最近は王太女として、もうみんなに認められているしね。父上も、姉上はいつでも王になれると言うくらいに優秀だよ」
レティお姉様は女性でありながらとっても優秀ですの!
わたくしがお手紙を書いた相手であるレティお姉様――スカーレット・ベネット様は、この国の王太女でのちの女王となるお方。そしてラルフ様のお姉様でございます。
「十年前に父上が制度を変え、姉上が王太女になった時は、反感を覚える貴族が多かった。だけど姉上の優秀さと王に相応しい器を持っていることに気づいてからは、誰も文句は言わなくなったよ。やっぱり父上が言うように、能力に性別は関係ないよね」
「!!」
ラルフ様の言葉で、わたくしは決心しました。
そうです! 世間の反応がどうであれ……わたくしがこの子も公爵家も守ってみせます。
その後はラルフ様と世間話などをして、楽しい時を過ごしましたわ。
ラルフ様がお帰りになったあと、わたくしはこの国の制度を確認することにしました。
もちろん、爵位の後継者について……
わたくしは制度について書かれた本を開き、あるページで目をとめました。
「……ありましたわ。えーと……」
『男女問わず第一子を家の跡取りにするべし
男女に能力の差はほとんどないため、より早く教育を始められ、優秀な子を育てることができる第一子を家の跡取りにせよ』
これは、十年前に今の国王陛下が変えた制度。
この国では、男女を問わず第一子が爵位の継承権の第一位を持つことができます。
ですが、十年前までは男子しか家を継げない決まりだったので、貴族の間ではその慣習がほとんど変わっていません。女子しかいない場合は、婿養子を次期当主に指名する家も減っていないそうです。
古い制度にとらわれていてまだ女当主を認めない貴族も、領主が女だと見下す領民もいるようですが……それでもこれが正しい制度です。
ああ、今までは制度が変わる前に決められたおじい様同士のお約束のことがありましたし、世間の慣例に倣って我が公爵家もスティーブが継ぐのだと考えていました。スティーブがお馬鹿でもわたくしが補佐すれば、なんとかなると。
だから自分が女公爵になる未来は考えていませんでしたが……簡単な話でしたわ。
すぐに思いついてもよかったくらいなのに、やっぱりわたくし、スティーブの浮気に動揺していたのですね……
決めました。セバスの調査でスティーブの潔白が証明されなかった場合……わたくしがお父様にサンチェス公爵を継ぎたいと相談しましょう。
子持ちの次期女公爵となると、寄ってくるのは地位と財産目的の男性ばかりでしょうから再婚は難しいかもしれません。ですが、この子が次の後継者であることは間違いないのだから後継ぎには困りませんし、独り身でも問題ありません。浮気者で外でも子供を作るような父親がいるほうが、この子に悪影響を及ぼす可能性があるくらいです。
それならば、わたくしはスティーブを切り捨てましょう……
この子はひとりでわたくしが立派に育てますわ。
ここまで浮気の疑いが濃いのですから、一度お父様に相談してみましょう。
そう決意し、わたくしはお父様の帰りを待ったのでした。
この日の夜、やはりスティーブは宣言通り帰ってきませんでした。
今まで疑いもしなかったけれど、これは怪しすぎますわね。
「シャーロット様、公爵様がお帰りになりました」
お父様が帰ってきたら教えてほしいと頼んでいたので、ジナがわたくしの部屋に来てくれました。
「そう。それで、お父様はいつお話できると?」
「今からでもとおっしゃっておりました」
「わかったわ。それじゃあ、お父様とお話ししてくるわね」
そうジナに言って、お父様の部屋に行きます。
「お父様、シャーロットですわ」
「入っていいよ」
「失礼いたしますわ」
中に入ると、わたくしと同じ髪色と瞳をもつ自慢のお父様がいます。
我が公爵家の血を引く証である銀髪に青の瞳。
もう四十歳を超えているのに、未だ若々しいお父様がわたくしを見て微笑んでくれました。
「私の可愛いシャル。体調は大丈夫かい?」
「大丈夫ですわ、お父様。今日はお父様にお話ししたいことがありまして……」
「なんだい? シャルの話ならいくらでも聞くよ」
お父様は相変わらずわたくしに甘いですわね。
幼い頃にお母様が病で亡くなってしまってから、顔立ちがお母様そっくりのわたくしのことを、それはそれは可愛がってくれています。
「実は――」
わたくしは昨日のマイアの訪問のことを、お父様に話しました。
すると、だんだんお父様のお顔が険しくなっていきます……
「ほぅお……。それは随分と不敬な小娘だな。それに、スティーブ君は婿養子だということをわかっているのかな? 浮気の話が本当ならば、それなりの対応をしなければ」
「お昼過ぎにラルフ様がいらっしゃいまして、スティーブのことを教えてくれました。家に帰れないほどの仕事はしていないはずだと……ほぼ確実にマイアと浮気していると思われますが、決定的な証拠はまだ……セバスからの報告を待っている状態です」
そんな話をしていると、セバスがタイミングよく来ました。
「失礼いたします。シャーロット様がこちらにいらっしゃるとお聞きしましたので、参りました。……例の件、調査が終了いたしました。ご報告させていただければと」
「ちょうど今、お父様にも話していたところなの。ここで聞いてもいいかしら」
わたくしがそう聞くと、お父様も頷きます。
「セバス、あらかた事情はわかった。私にも報告を聞かせてほしい」
お父様に促されて、セバスは話し始めました。
「まず、結論から言いますと、スティーブ様は本当に浮気されているようです」
「へえぇ……」
「ほぅお……」
思わず笑ってしまいます。お父様も同じ顔でした。
ひとまず続きを聞きましょうか。
「それで? セバス?」
「はい、最初から話しますと、スティーブ様とあの男爵令嬢は、学園生時代に出会っていたようです。学園に通っていた頃から、隠れて愛を育んでいたようで……」
「なんだと?」
お父様が眉をひそめます。もちろんわたくしもよい気分ではありません。
この国では、十三歳から十八歳までの王侯貴族の子息令嬢は皆、学園に通うことが決められています。学園で家庭教育では習得できない専門的な知識や歴史、マナーや剣術、それに社交性を学ぶのです。
その学園にいる時からということは、短くとも二年以上は浮気をしていたということ……へえぇ、いい度胸ですね?
まあ、気づかなかったわたくしも馬鹿ですが……馬鹿にされたままでは終われませんよね?
内心で怒りをたぎらせていると、セバスが報告を続けます。
「スティーブ様が結婚するまでは、デートをするだけの関係だったようですが……シャーロット様との間に子供ができてから、あちらにも手を出したようです」
つまり、わたくしと夫婦の営みができなくなったから、別の女に手を出したというわけですね。
「私の目を盗んで、随分舐めた真似をしてくれたな……」
「ええ、本当に……」
とても低い声で言うお父様に、わたくしは心から同意します。
そんなわたくし達を見たあと、セバスは再び口を開きました。
「また、スティーブ様のお帰りが遅い日やお帰りにならない日は、全て男爵令嬢に会っております。本日も……」
一体、何様のつもりでしょうか?
こんなにご自分の立場をお忘れになることがあるものなのでしょうかね?
わたくしの怒りは沸点を超えました。真剣な目でお父様を見つめ、口を開きます。
「お父様、わたくし決めましたわ」
「ああ、シャル。私も多分同じことを考えていたよ」
「このまま馬鹿にされるわけにはいきません。舐めた態度を取った旦那様……いえ、あの男に立場をわからせようと思いますの。ふふっ、地獄に落ちればいいのですわ」
「そうだね。だけどその前にディナーにしよう。そのあとにゆっくり考えればいいさ」
「はい、お父様。それとセバス、ありがとう。調べてくれて。さすがだわ」
「いえ、お役に立ててよろしゅうございました」
セバスはわたくしにきっちりとした礼をしてくださいました。
本当にセバスの仕事は早すぎます。
だって、昨日の今日で調査が終わるなんて一体何処から情報を仕入れているのでしょうか?
謎ですわ……
それから、わたくしはお父様と少し遅めのディナーを食べました。
そのあと、誰にも聞かれないように、またお父様の部屋に戻ります。
わたくしには、お父様に先程言えていなかったことがあります。ぎゅっと拳を握りしめ、意気込んで言いました。
「お父様。わたくし、スティーブと離縁したいと思いますの。お腹の子はわたくしひとりで立派に育てますわ」
「ああ、いいよ。むしろ離縁しなさいと言うところだったよ。私の可愛いシャルを裏切る婿などいらないからね」
お父様は黒い笑みを浮かべながら、あっさりと離縁を認めてくれました。
ひとまずホッとしたあと、わたくしは再び口を開きます。
「それでですね、新しく婿をとるのではなく、わたくしがこのサンチェス公爵家を正式に継いでもよろしいでしょうか?」
お父様は右の眉をピクッと少し動かしました。わたくしはさらにたたみかけます。
「わたくしの世代では、ほとんどの家で男性が爵位を継ぐことになっているようです。ですが、わたくしは第一子ですから、女でも家を継ぐことは可能ですよね?」
「……」
お父様が、何もおっしゃりません……。わたくしではダメなのでしょうか……
少し不安がよぎった時、お父様はニコッと笑ってくれました。
「シャルが公爵家を継ぐと言ってくれて嬉しいよ!」
「……えっ?」
予想外の返答に、わたくしはポカンとしてしまいます。
「いや、私はずっとシャルを後継者にしたかったんだよ。おじい様達の約束の件があるし、スティーブ君の立場もあるから、いつ正式に発表するか悩んでいたんだが……こうなった以上、シャルに爵位を譲ることになんの問題もない。シャルにも一度聞いただろう?」
わたくしはお父様の言葉に頷きます。
確かに三年前、わたくしはお父様に「家を継ぐ気はあるか」と一度聞かれました。しかし、そのあとは何もなかったので、てっきり当初の予定通りスティーブに継がせるつもりなのだと思っていました。
わたくしは驚きながらも、お父様の言葉に納得しました。
なぜなら、わたくしは公爵家の仕事をこなすための教育をお父様から受けていたからです。
公爵家の直系の血を引く者として、スティーブの補佐ができるようにわたくしも教育を受けているのかと思っていましたが……わたくしに公爵位を継がせるつもりだったのですね。
「スティーブ君にも公爵になるための教育をしようとしたんだけど、勉強は嫌だと逃げ回っていてね……私もしびれを切らしていたんだよ」
それに、とお父様は話を続けました。
お父様によると、今までわたくしを次期公爵に指名しなかったのは、スティーブのことを見極めるためだったということでした。お父様の中ではすでに三年前にはわたくしを次期公爵にするとほぼ決めていたそうです。わたくしなら世間がどうであれ上手くやっていけるだろうと。
それに、なかなか次期公爵としての勉強をしないスティーブには、公爵家を任せられないと思ったそうです。
しかし、いきなりわたくしを次期公爵に指名してしまうとわたくしとスティーブの仲が悪くなるのでは? と思ったお父様は、最後にスティーブを見極める期間を決めました。
学園を卒業するまでの一年間と実務を始めてからの三年間。
その間に、スティーブが心を改めて真面目に勉強をし、わたくし以上に公爵を継ぐに相応しい人になれば、おじい様同士の約束通り次期公爵はスティーブにしてもいいかなと……
そこまで言うと、お父様はため息をつきました。
「そもそも、スティーブ君には言ったんだがね。このまま学ぶ気がないなら、次期公爵はシャルにするつもりだよって。それに制度が変わった際に、スティーブ君の両親であるトンプソン伯爵夫妻には相談していたんだ。そうしたら、制度が変わった以上、私がシャルに公爵を継がせると決めても受け入れると了承してくれたのだけどね」
「まあ、それは初耳ですわ。ご実家にもそれが伝わっている上に婿養子なのに、何故スティーブはわたくしと離縁しても自分が公爵になれると勘違いをするのでしょうか?」
「ああ、公爵になるための勉強は引き続きさせようとしていたからだろう。当主になるかならないかはさておき、公爵家の一員には変わりなかったんだ。最低限の勉強くらいしてもらわないと困ったからね。まあ、最低限もできていなかったようだけど……。私がシャルに継がせる意志を伝えたあとも口うるさく言っていたから、まさか本当に見切りをつけられるとは考えてもいなかったのだろう」
お父様の言う通りなのでしょうね……
わたくしが呆れ返っていると、お父様は再び口を開きました。
「まあそれはさておき、私はシャルがスティーブ君と離縁することも、私の跡を継ぐことも賛成だよ。全てが終わったら正式に次期公爵に指名するから、国王陛下に挨拶しに行こう」
お父様は満足そうに笑います。わたくしも笑顔で頷きました。
「ありがとうございます、お父様!」
「あと、シャル。これだけは言っておくよ」
お父様は真剣な目をしています。なんでしょうか?
「ひとりで子を立派に育てると言っていたが、シャルはひとりじゃないよ」
「!!」
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