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番外編
番外編 ルーカスside
しおりを挟む私は、ルーカス・サンチェス。サンチェス公爵家の第一子。今年15歳になる。
私には自慢の家族がいる。父であるラルフリード・サンチェス。父上は元王子で母上と結婚し、お祖父様の跡を継ぎ、このベネット王国の宰相をしている。スカーレット女王陛下と良き治世をする為に日々政務に励んでる。そんな父上は私の憧れの人だ。
母であるシャーロット・サンチェス。母上はお祖父様の爵位を継ぎ女公爵である。女性でありながらもその手腕はお祖父様を彷彿とさせるものがあると、周囲から尊敬されている。もちろん私も尊敬している。それに子供を3人も産んだとは思えない程の美貌は今も健在だ。
妹のリリアーナ・サンチェス。私の2歳下で、兄の私から見ても美少女と言われる外見をしている。父上と母上のいいとこ取り。しかし、中身は母上そっくりだ。
そして末っ子、弟のレオネル・サンチェス。私の5歳下で父上そっくりの外見。私のことを慕っていてくれてる。そんな可愛い弟には勉強や、剣を教えたりしている。
だけど一つだけ僕には受け入れたく無い現実があった。
それは父上と血が繋がっていない事……。
その事を父上と母上が教えてくれたのは12歳の時。この国の貴族は13歳から学園に通う。その時に他者から悪戯に聞くより、真実をちゃんと私に話しておこうと父上と母上は決めていたそうだ。
その事を聞いた当時はすごくショックだった。あんなに大好きな父上と血の繋がりがない親子だとは思いたく無かった。僕はすごく母上にそっくりだ。ただ単に母上に似ているだけで、父上の要素が無いことが本当の親子じゃないとは思いもしなかった。
しばらくはショックで落ち込んだ。
あんなに大好きな家族だけど私だけが異質に思えた。
私はここに居ない方が良いのではと思い始めた時、救い出してくれたのは他ならぬ家族だった。
家族はいつでも普通だった。決して私に真実を告げたとしても私が家族である事は普通だという様に……。
全てがいつも通り。私が居ないことはまるで許さない様な家族の中心には私が居られる様に父上と母上はそうしてくれていたと今では思う。
あと、リリアーナにも助けられたな……。
『お兄様は私のたった1人のお兄様ですわ! お兄様が何で落ち込んでいるのか分かりませんが、私とレオと遊んでいたらどうでも良くなりますわ! お兄様が居ないと私もレオも寂しいですわ……』
この言葉が私にとっては一番大切な言葉だった。私はこの家に必要とされている存在なのだと実感出来た言葉だった。
……妹と弟に寂しい思いはさせられないしね。
それからはもう、うじうじ考えるのはやめて私はルーカス・サンチェス。誰が何と言おうと私はこのサンチェス公爵家の一員。父上と母上の子供で、リリーとレオの兄だ。そう思えた私は成長したのだと父上と母上に褒められた。
これからも私が自慢する家族のように、私も家族が自慢出来る自分でいようと決意した瞬間だった。
しかし、学園に通う様になりしばらく経った頃。何気なく耳にした事がまた改めてこの問題に向き合う事になるとは思いもしなかった……。
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