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第一章
用語集1
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〈地名〉
・セクリタナ
三つの大陸と広い海をもつ異世界の正式名称。まだ天動説を信じており、面積もアドルフがいた世界より狭い。文明の発達は進んでいる部分と遅れている部分があり、一概に評価できない。
・北方大陸
セクリタナの北に位置する大陸で、その一部は北極まで達している。なおこの大陸全体を領土としているのがムスカウ共和国である。
・南方大陸
セクリタナの南に位置する大陸で、面積は狭いが、魔獣の楽園と言われるだけあって事実上、魔獣たちが支配する土地となっている(かつての辺境もそうした土地だった)。
まだ開拓の手はわずかしか入っておらず、主に地下資源の採掘が期待されている。
・中央大陸
セクリタナの中央に位置する大陸で、最大の面積を誇る。この大陸を版図とする国家がイェドノタ連邦である。
・イェドノタ連邦
アドルフたちが住むカルヴィナの統治国家で、正式にはイェドノタ魔導評議会連邦。
元々魔獣の住処だった領土の開拓をおこなうべく長年かけて南進をすすめ、世界大戦後の150年で全土を支配するに到った。
ちなみにイェドノタの意味はゲルト語で〈団結〉。ムスカウ共和国と争った世界大戦に際し、魔人族、ヒト族、亜人族の諸人種が〈力を合わせて〉戦ったことに由来している
・ムスカウ共和国
北方大陸を版図とする亜人族がうち立てた共和制国家。文明進度の遅いセクリタナでなぜ共和制国家があるのか疑問をもたれるかもしれないが、かつてギリシアの都市国家や帝政以前のローマは民主的に営まれていたことを思いだして頂きたい。
ムスカウでは国民一人ひとりが兵士として国を防衛する義務を負っており、それとひきかえに議決権をもつ市民の地位が万人に与えられている。
また宗教改革の際、新たな福音を得ることなく棄教したため、無神論者がほぼ全てを占めている。イェドノタ連邦にとって地上で唯一の敵国。
〈魔法関連〉
・オド
内気なる魔力、すなわち体の内側にある魔力のこと。わかりやすく言えばエネルギーみたいなもので、大気中にあるマナが燃料だとすれば、そこに火をつけるマッチのような存在。したがってオドがなければ魔法を現すことはできない。
人種や種族によって量が異なり、アドルフが転生した人狼はオドの量が多いことで知られている。
・マナ
大気中に含まれる外気なる魔力のこと。オドを着火剤とするなら燃料に相当する物体。
マナの結晶体が魔法石で、様々な目的に利用される。特徴としては、比重が重く、一定の場所にとどまりやすい。また燃焼反応がマナを一時的に枯渇させることが知られており、魔導戦の継続に支障が出るなど、戦況を左右することもある。
・〈増幅器〉
魔法の効力を増大させるためのアイテム。魔法石のなかでもマナの純度が高い魔結晶を用いる。指輪やペンダントなどの宝飾品として身につけることがもっぱら。
・位階
魔導師と魔法のヒエラルキーのこと。全部でS~Fまであり、魔導師のスキル及び彼らの使う魔法の技量を評価する基準。
相対的な強さの一例を挙げると、クラスAの〈禁止〉魔法はクラスFの〈稲妻〉を100%近く抑止できるが、クラスBになると術者の力量が低いと命中するときもある。力量はセンスと経験値のかけ算であり、クラスが高ければ必ずしも戦闘で勝てるわけではない。つまり絶対的な差を意味するのではなく、複雑な要素の絡み合った指標とも言える。
フリーデの場合、魔導師としてはCクラスだが、持ち前のセンスの高さによってクラス以上の能力を発揮することができる。
・シーラ
物体を上下左右に動かす力学魔法のこと。単純で会得しやすく、非詠唱魔法でもあるため、魔法の初心者でもすぐに使えるようになる。普通の魔法が戦闘機なら、自転車くらいの差がある。アドルフも輸送船任務に就く過程で学ばされた。
・〈死霊〉
攻撃がヒットした相手にアンデッドモンスターが取り憑き、通常の攻撃より2~3倍のダメージを与えられる。そもそも標的にヒットさせることも簡単ではないが、フリーデはそれを苦もなくやってのける。
・〈死の森〉
カルヴィナに横たわる巨大な森林地帯で、吸い込むと絶命する毒素が森全体に充満している。なぜそのような環境ができたのか、答えは謎に包まれている。
・チェイカ
ゲルト語でカモメを意味する一人乗りの小型飛行機。冒険者から軍人まで、幅広く使用されており、個体による能力差もほとんどない。200年前の世界大戦以前から存在したもっとも歴史の古いコヴィエタ(魔法と科学の融合)だが、一般に用いられるようになったのは辺境地の開拓が進んだ頃。
・飛空艇
揚力を魔法石から得て、推力を風の力で得る飛行機械。材料は木材で、大航海時代の船が空を飛んでいるイメージ。セクリタナにおける古典的な科学の発達を代表しており、使用された歴史は長い。なおカイセル号は金鉱石を輸送しているため、大きなクジラくらいのサイズがある。
・コヴィエタ
マナの結晶体である魔法石をあらゆる産業活動に役立てる技術のこと。通称、魔法と科学の融合。
もともと魔法石は、石炭よりも効率の良いエネルギー発生体であることが知られていたが、その稀少さゆえにチェイカのエンジン以外に利用法はなかった。しかし世界大戦後の〈開拓〉によって辺境地から膨大な魔法石が採掘され、新たな活用法が次々と開発された。例。鉄道、農業。
コヴィエタが世に登場して約30年。人々の暮らしを一変させ、イェドノタ連邦の最後の経済成長を支えた。
・イェドノタ連邦の貨幣
貨幣は金貨、銀貨、銅貨の三種類があり、それぞれ日本円と比較すると以下のようになる。
【金貨】
一ギルダ=10万円
【銀貨】
一フラン=1万円
【銅貨】
一クロナ=1円
アドルフの書く肖像画が一〇ギルダするというくだりがあったが、あれは円にして100万の価値があり、一ギルダ金貨10枚に相当するという意味。
・度量衡
文中に登場する距離の単位についてだが、
メーテル=メートル
サンチ=センチ
ギロ=キロ
とほぼ同等である。今後、異世界独自の単位が出てきたら、その都度解説する予定だが、ぱっと見てわかるものにする確率が高い。
〈人名〉
・亜人族
外見こそヒト族とほぼ変わりないが、ヒト族にはない特殊な性質を有していて(例:満月を見ると狼に変心するなど)、ヒトと獣の中間にある存在を亜人族と呼ぶ。
ちなみに亜人より獣に近い獣人という存在がいるものの、彼らは外見もヒトから大きくかけ離れており、人間の言葉を話さないため、人種の一つとして扱われていない。
・魔人族
ヒト族より多くの点で高い能力をもつイェドノタ連邦の支配人種。そのひとつが魔導適性で、すぐれた魔導師を多く輩出する。またそうした魔導師の頂点に立つのが王族で、魔導師の王、すなわち《魔王》が国家の最高指導者として君臨している。
・ヒト族
我々の知る人間と同じ種族。飛び抜けた特徴がなく、髪の色もほぼ全てが褐色なため、亜人や魔人に比べると個性が弱く見えるが、その欠点を数の力で埋めており、イェドノタ連邦で最大の人口を誇る。もっとも少数精鋭の魔人族が支配力を持ち続けるために民主制への移行は議論さえ許されてこなかった。
・フリーデ
アドルフが育ったのと同じ孤児院〈施設〉の亜人。種族は〈吸血鬼〉。アドルフと同様、幼い頃に収容されたが、当時から魔法のセンスを発揮しており、アドルフ班はおろか、全囚人のなかでも一番の腕利き。与えられた環境次第ではさらなる成長が期待される。
なお親がいないため苗字をもたない。これはアドルフやディアナと同じである。
・ノイン
〈施設〉で育った亜人だが、彼女だけ〈施設〉の院長という親がいる。種族はエルフで、どんなことでも平均以上にこなせるが、飛び抜けた能力はない。資産家の娘として育ったため、気難しいところのあるお嬢様キャラ。アドルフに一目置いているが、それ以上でも以下でもない。
・ディアナ
〈施設〉出身の亜人。種族はドワーフで、背丈は低いが突出した怪力が特徴。幼少期は子供たちを束ねるボスだったが、アドルフに敗北を喫して以来、彼のことは買っていて、じつはノインより扱いやすい。力こそ全てと考えているふしがあり、良くも悪くも単純な性格。
・ヴィクトル・ニミッツ
〈施設〉を設立した院長にしてノインの父親。本業の金細工取引で財をなした、トルナバでも有数の資産家。魔法の腕もあり、フリーデを教育したのも彼である。
・青い三連星
文中に詳しく書いたが、旅の楽団に属していた大道芸人たち、マクロ、ブローカー、バリュウ。
出自はオークで、社会化されているため他の亜人と外見も遜色ないが、大多数の野生化したオークが獣と見分けがつかない有様で、ヒト族や他の亜人からも差別され、まともな生業に就けない。
そんな境遇の彼らを救ったのが〈施設〉の院長先生で、先生の開明的な性格がよく表れている。
なお名称の由来は、三人に与えられた青いスカーフ。
・ゼーマン
ビュクシ収容所に赴任したばかりの新主任だが、その裏にはある目的があった。それは今後明かされていく。
特徴は掴みどころのないこと。鍛え抜かれた体は自慢の種だが、部隊をもつような任務と縁がなく、上司にも恵まれないためか、なかなか少尉から出世できないでいる。
・クラフツレ元所長
アドルフの有能さを見抜き、部隊の統率権をもたせるべく少尉の地位を与えた人物。実際はそれによって現場主任から一定の自由を確保し、主体的に動けるメリットがあった。
いずれ登場する可能性はある。
・アラン・レオポルト・バロシュ殿下
《魔王》の子息であり、彼が第一夫人との間にもうけた長男で、王位継承順位は一番目。政務と魔導の両方に通じた聡明な人物として知られ、国民的人気も高いが、自分が目立つと《魔王》に野心を疑われるため、派手な行動を慎むような如才なさを併せもつ。その甲斐あって国のナンバーツーである評議会議長の座におさまり、高齢で政務の滞るようになった《魔王》を補佐してその力量を発揮している。
・エミーリア
まだ亜人族差別が進んでおらず、軍人になるみちが閉ざされていなかった頃の亜人族の英雄。〈施設〉の図書室にあった稀少な英雄譚の主人公で、世界大戦後の辺境地〈開拓〉時代を象徴する人物でもある。
〈種族〉
・人狼(ヴォルフ)
亜人の一種で、普段はヒト族と遜色ないが、満月の光を見るとオオカミの姿に変身してしまう。そうなるとけた違いの力を発揮すると言われているが、同時にヒトとしての理性を失う恐れがあるため、可能な限り変身しないような生活をアドルフは送っている。
・〈吸血鬼〉
亜人の一種で、透き通るような白い肌をもつが、いわゆる鬼のように角は生えていない。一日に数回訪れる吸血衝動をコントロールすべく日常的に赤茄子ジュースを摂取している。赤い液体を飲むことで衝動を落ち着かせられるからだという。
喩えるなら、アルコールゼロの酒を飲む行為と近いが、制御ができないと人狼と同じく理性を失う恐れがある。
〈地名2〉
・ビュクシ
辺境州東部にある城塞都市。州都ハーケンに次ぐ人口をもち、非常に栄えている。めぼしい産業は金の製錬所以外になく、一大消費地として辺境中から様々な特産品が集まる。
・トルナバ
アドルフたちの生まれ故郷。激しく経済成長した他の地域に比べると、発展に取り残された感のある小さな町。セクリタナでも有数の金鉱山があり、命の危険があるなか、多くの労働者が働いているが、その全てが亜人族である。なお中央政府が決める上位の首長とは異なり、町長は民選でえらばれる。
・辺境
200年前の世界大戦終結以後に開拓されていった土地の総称。辺境州は北部、東部、西部の三つに行政区画が分かれており、魔獣と生活環境が近く、亜人の数も多いため、統治の難しい地域とされてきた。そのため辺境州総督には代々有能な政治家や王族が就く。
〈その他〉
・冒険者
領地開拓の最前線で働く者たちを指す。その意味で一般的な冒険者の定義とは少し異なる。現在〈開拓〉の最前線はオルガビア(南方大陸)に移っており、そこで一攫千金を狙う者以外は、冒険者を止め生業に就いているか、国防軍に加入しているかどちらか。
というのも、すでに領土化した地域における対魔獣戦は軍の管轄であり、大規模な魔獣狩りの担い手として元冒険者は役に立つからだ。
・ゲルト語とセルヴァ語
宗教的祭事をルーツにした古い歴史をもつゲルト語にたいし、セルヴァ語は役人が使う言語として発達したという特徴がある。したがってほぼ全ての人種がゲルト語を使いこなす一方、セルヴァ語は官僚機構を支配する魔人族のみが使用する。
なおゲルト語に敬語表現が乏しいのは、古い時代において異なる人種間に差別がなく、地位が対等であったことを意味する。
また補足すると、アドルフはゲルト語、古代ゲルト語、セルヴァ語の三つを会得している。
・聖隷教会
宗教改革の末に誕生した宗派だが、イェドノタ連邦が国力を増していくにつれ、その機能は国家に吸収されていき、大司教を事実上《魔王》が任命する仕組み(※拒否権)へと変わっていった。
「置かれた場所で咲く」という天賦説を教義の中心に据えているため、人種間の不平等を是認しており、アドルフの反発を招いた。
・世界大戦
約200年前に勃発したムスカウ、イェドノタ両国による史上最大の大戦争。これまでも散発的な紛争はくり返しおこなわれていたが、互いに相手国を壊滅させ、領土を占領する意志をもって戦った点で戦闘は長引き、投入した資源、人命は計り知れないものとなった。
なおこの戦争に挙国一致体制を敷くべく、諸人種の団結をめざして現在のイェドノタ連邦が発足した。
・結界
世界大戦を休戦する際、二度とこのように悲惨な戦争を起こさないことを誓い合ったイェドノタ、ムスカウの両国によって、二つの大陸を隔てる海峡に張りめぐらされた長大な〈結界〉魔法のこと。当時、もっともすぐれた魔導師がなし遂げた秘術だと言われているが、その技術は継承されていない。
・評議会
《魔王》の政務を助けるために存在する機関。〈部会〉という省庁に相当する組織をもち、立法機関と行政機関を兼ね備えた統治システムの要。後に解説するが、《魔王》の執務機関である王統府が評議会の上に君臨し、これを指導する形をとっている。
以上の点だけを見れば、イェドノタ連邦は立憲君主制の国家として高度な民主主義を達成してもおかしくなかったが、現実は統一党という指導政党が一党独裁体制を築いており、彼らを意のままに操ることで《魔王》の権力はセクリタナの歴史上かつてなく強大なものになっている。
・全体会議
三ヶ月に一度、各州の総督によっておこなわれる査察および現地報告会のこと。ビュクシには辺境東部地区の各行政単位の代表が集う。普段は中央の指示をもとにトップダウン式に命令をおこなう総督たちだが、全体会議では逆に現場とつながっている各代表の声を聞き入れ、要望を吸い上げるなぢ、現場の声を政策に反映させる役割を果たす。
・長いナイフの夜事件
ナチス党が国内を掌握するにあたって標的とした者たちは共産党とユダヤ人だが、それ以外にも党内にも敵を抱えているとみなしたヒトラーがみずから指揮して彼に次ぐ実力者だった突撃隊のエルンスト・レームらを粛清した事件のこと。同時に敵対分子になりえる政界の実力者らも葬り去っており、ヒトラーとナチス党の統治基盤を整備するうえで重要な役割を果たした。
・スタグフレーション
景気が後退する(不況の)なかでインフレ(物価上昇)が同時に進む現象のこと。普通なら景気が悪化すると需要が落ち込むためにデフレ(物価下落)を起こすが、魔法石の価格上昇によって物価が押し上げられることがある。
また、魔法石の値上がりで工作機の稼働が止まると供給力が低下するため、さらに物価上昇を押し上げる原因になる。このような状態でも経済を放置すれば、賃金が下がって需要が減るため、深刻なデフレに陥ると思われる。
・《主》
あまねく世界を創造した唯一神。よってアドルフが生きた世界の《主》と、転生後の世界における《主》は同一の存在。一般に思われているのと異なり、善と悪を兼ね備えて、本来は両者の根源となっているが、現在は善性に偏り過ぎて一種の不能状態に陥っている。
天使など、天界の住人に関する解説はべつの機会におこなう予定。
・セクリタナ
三つの大陸と広い海をもつ異世界の正式名称。まだ天動説を信じており、面積もアドルフがいた世界より狭い。文明の発達は進んでいる部分と遅れている部分があり、一概に評価できない。
・北方大陸
セクリタナの北に位置する大陸で、その一部は北極まで達している。なおこの大陸全体を領土としているのがムスカウ共和国である。
・南方大陸
セクリタナの南に位置する大陸で、面積は狭いが、魔獣の楽園と言われるだけあって事実上、魔獣たちが支配する土地となっている(かつての辺境もそうした土地だった)。
まだ開拓の手はわずかしか入っておらず、主に地下資源の採掘が期待されている。
・中央大陸
セクリタナの中央に位置する大陸で、最大の面積を誇る。この大陸を版図とする国家がイェドノタ連邦である。
・イェドノタ連邦
アドルフたちが住むカルヴィナの統治国家で、正式にはイェドノタ魔導評議会連邦。
元々魔獣の住処だった領土の開拓をおこなうべく長年かけて南進をすすめ、世界大戦後の150年で全土を支配するに到った。
ちなみにイェドノタの意味はゲルト語で〈団結〉。ムスカウ共和国と争った世界大戦に際し、魔人族、ヒト族、亜人族の諸人種が〈力を合わせて〉戦ったことに由来している
・ムスカウ共和国
北方大陸を版図とする亜人族がうち立てた共和制国家。文明進度の遅いセクリタナでなぜ共和制国家があるのか疑問をもたれるかもしれないが、かつてギリシアの都市国家や帝政以前のローマは民主的に営まれていたことを思いだして頂きたい。
ムスカウでは国民一人ひとりが兵士として国を防衛する義務を負っており、それとひきかえに議決権をもつ市民の地位が万人に与えられている。
また宗教改革の際、新たな福音を得ることなく棄教したため、無神論者がほぼ全てを占めている。イェドノタ連邦にとって地上で唯一の敵国。
〈魔法関連〉
・オド
内気なる魔力、すなわち体の内側にある魔力のこと。わかりやすく言えばエネルギーみたいなもので、大気中にあるマナが燃料だとすれば、そこに火をつけるマッチのような存在。したがってオドがなければ魔法を現すことはできない。
人種や種族によって量が異なり、アドルフが転生した人狼はオドの量が多いことで知られている。
・マナ
大気中に含まれる外気なる魔力のこと。オドを着火剤とするなら燃料に相当する物体。
マナの結晶体が魔法石で、様々な目的に利用される。特徴としては、比重が重く、一定の場所にとどまりやすい。また燃焼反応がマナを一時的に枯渇させることが知られており、魔導戦の継続に支障が出るなど、戦況を左右することもある。
・〈増幅器〉
魔法の効力を増大させるためのアイテム。魔法石のなかでもマナの純度が高い魔結晶を用いる。指輪やペンダントなどの宝飾品として身につけることがもっぱら。
・位階
魔導師と魔法のヒエラルキーのこと。全部でS~Fまであり、魔導師のスキル及び彼らの使う魔法の技量を評価する基準。
相対的な強さの一例を挙げると、クラスAの〈禁止〉魔法はクラスFの〈稲妻〉を100%近く抑止できるが、クラスBになると術者の力量が低いと命中するときもある。力量はセンスと経験値のかけ算であり、クラスが高ければ必ずしも戦闘で勝てるわけではない。つまり絶対的な差を意味するのではなく、複雑な要素の絡み合った指標とも言える。
フリーデの場合、魔導師としてはCクラスだが、持ち前のセンスの高さによってクラス以上の能力を発揮することができる。
・シーラ
物体を上下左右に動かす力学魔法のこと。単純で会得しやすく、非詠唱魔法でもあるため、魔法の初心者でもすぐに使えるようになる。普通の魔法が戦闘機なら、自転車くらいの差がある。アドルフも輸送船任務に就く過程で学ばされた。
・〈死霊〉
攻撃がヒットした相手にアンデッドモンスターが取り憑き、通常の攻撃より2~3倍のダメージを与えられる。そもそも標的にヒットさせることも簡単ではないが、フリーデはそれを苦もなくやってのける。
・〈死の森〉
カルヴィナに横たわる巨大な森林地帯で、吸い込むと絶命する毒素が森全体に充満している。なぜそのような環境ができたのか、答えは謎に包まれている。
・チェイカ
ゲルト語でカモメを意味する一人乗りの小型飛行機。冒険者から軍人まで、幅広く使用されており、個体による能力差もほとんどない。200年前の世界大戦以前から存在したもっとも歴史の古いコヴィエタ(魔法と科学の融合)だが、一般に用いられるようになったのは辺境地の開拓が進んだ頃。
・飛空艇
揚力を魔法石から得て、推力を風の力で得る飛行機械。材料は木材で、大航海時代の船が空を飛んでいるイメージ。セクリタナにおける古典的な科学の発達を代表しており、使用された歴史は長い。なおカイセル号は金鉱石を輸送しているため、大きなクジラくらいのサイズがある。
・コヴィエタ
マナの結晶体である魔法石をあらゆる産業活動に役立てる技術のこと。通称、魔法と科学の融合。
もともと魔法石は、石炭よりも効率の良いエネルギー発生体であることが知られていたが、その稀少さゆえにチェイカのエンジン以外に利用法はなかった。しかし世界大戦後の〈開拓〉によって辺境地から膨大な魔法石が採掘され、新たな活用法が次々と開発された。例。鉄道、農業。
コヴィエタが世に登場して約30年。人々の暮らしを一変させ、イェドノタ連邦の最後の経済成長を支えた。
・イェドノタ連邦の貨幣
貨幣は金貨、銀貨、銅貨の三種類があり、それぞれ日本円と比較すると以下のようになる。
【金貨】
一ギルダ=10万円
【銀貨】
一フラン=1万円
【銅貨】
一クロナ=1円
アドルフの書く肖像画が一〇ギルダするというくだりがあったが、あれは円にして100万の価値があり、一ギルダ金貨10枚に相当するという意味。
・度量衡
文中に登場する距離の単位についてだが、
メーテル=メートル
サンチ=センチ
ギロ=キロ
とほぼ同等である。今後、異世界独自の単位が出てきたら、その都度解説する予定だが、ぱっと見てわかるものにする確率が高い。
〈人名〉
・亜人族
外見こそヒト族とほぼ変わりないが、ヒト族にはない特殊な性質を有していて(例:満月を見ると狼に変心するなど)、ヒトと獣の中間にある存在を亜人族と呼ぶ。
ちなみに亜人より獣に近い獣人という存在がいるものの、彼らは外見もヒトから大きくかけ離れており、人間の言葉を話さないため、人種の一つとして扱われていない。
・魔人族
ヒト族より多くの点で高い能力をもつイェドノタ連邦の支配人種。そのひとつが魔導適性で、すぐれた魔導師を多く輩出する。またそうした魔導師の頂点に立つのが王族で、魔導師の王、すなわち《魔王》が国家の最高指導者として君臨している。
・ヒト族
我々の知る人間と同じ種族。飛び抜けた特徴がなく、髪の色もほぼ全てが褐色なため、亜人や魔人に比べると個性が弱く見えるが、その欠点を数の力で埋めており、イェドノタ連邦で最大の人口を誇る。もっとも少数精鋭の魔人族が支配力を持ち続けるために民主制への移行は議論さえ許されてこなかった。
・フリーデ
アドルフが育ったのと同じ孤児院〈施設〉の亜人。種族は〈吸血鬼〉。アドルフと同様、幼い頃に収容されたが、当時から魔法のセンスを発揮しており、アドルフ班はおろか、全囚人のなかでも一番の腕利き。与えられた環境次第ではさらなる成長が期待される。
なお親がいないため苗字をもたない。これはアドルフやディアナと同じである。
・ノイン
〈施設〉で育った亜人だが、彼女だけ〈施設〉の院長という親がいる。種族はエルフで、どんなことでも平均以上にこなせるが、飛び抜けた能力はない。資産家の娘として育ったため、気難しいところのあるお嬢様キャラ。アドルフに一目置いているが、それ以上でも以下でもない。
・ディアナ
〈施設〉出身の亜人。種族はドワーフで、背丈は低いが突出した怪力が特徴。幼少期は子供たちを束ねるボスだったが、アドルフに敗北を喫して以来、彼のことは買っていて、じつはノインより扱いやすい。力こそ全てと考えているふしがあり、良くも悪くも単純な性格。
・ヴィクトル・ニミッツ
〈施設〉を設立した院長にしてノインの父親。本業の金細工取引で財をなした、トルナバでも有数の資産家。魔法の腕もあり、フリーデを教育したのも彼である。
・青い三連星
文中に詳しく書いたが、旅の楽団に属していた大道芸人たち、マクロ、ブローカー、バリュウ。
出自はオークで、社会化されているため他の亜人と外見も遜色ないが、大多数の野生化したオークが獣と見分けがつかない有様で、ヒト族や他の亜人からも差別され、まともな生業に就けない。
そんな境遇の彼らを救ったのが〈施設〉の院長先生で、先生の開明的な性格がよく表れている。
なお名称の由来は、三人に与えられた青いスカーフ。
・ゼーマン
ビュクシ収容所に赴任したばかりの新主任だが、その裏にはある目的があった。それは今後明かされていく。
特徴は掴みどころのないこと。鍛え抜かれた体は自慢の種だが、部隊をもつような任務と縁がなく、上司にも恵まれないためか、なかなか少尉から出世できないでいる。
・クラフツレ元所長
アドルフの有能さを見抜き、部隊の統率権をもたせるべく少尉の地位を与えた人物。実際はそれによって現場主任から一定の自由を確保し、主体的に動けるメリットがあった。
いずれ登場する可能性はある。
・アラン・レオポルト・バロシュ殿下
《魔王》の子息であり、彼が第一夫人との間にもうけた長男で、王位継承順位は一番目。政務と魔導の両方に通じた聡明な人物として知られ、国民的人気も高いが、自分が目立つと《魔王》に野心を疑われるため、派手な行動を慎むような如才なさを併せもつ。その甲斐あって国のナンバーツーである評議会議長の座におさまり、高齢で政務の滞るようになった《魔王》を補佐してその力量を発揮している。
・エミーリア
まだ亜人族差別が進んでおらず、軍人になるみちが閉ざされていなかった頃の亜人族の英雄。〈施設〉の図書室にあった稀少な英雄譚の主人公で、世界大戦後の辺境地〈開拓〉時代を象徴する人物でもある。
〈種族〉
・人狼(ヴォルフ)
亜人の一種で、普段はヒト族と遜色ないが、満月の光を見るとオオカミの姿に変身してしまう。そうなるとけた違いの力を発揮すると言われているが、同時にヒトとしての理性を失う恐れがあるため、可能な限り変身しないような生活をアドルフは送っている。
・〈吸血鬼〉
亜人の一種で、透き通るような白い肌をもつが、いわゆる鬼のように角は生えていない。一日に数回訪れる吸血衝動をコントロールすべく日常的に赤茄子ジュースを摂取している。赤い液体を飲むことで衝動を落ち着かせられるからだという。
喩えるなら、アルコールゼロの酒を飲む行為と近いが、制御ができないと人狼と同じく理性を失う恐れがある。
〈地名2〉
・ビュクシ
辺境州東部にある城塞都市。州都ハーケンに次ぐ人口をもち、非常に栄えている。めぼしい産業は金の製錬所以外になく、一大消費地として辺境中から様々な特産品が集まる。
・トルナバ
アドルフたちの生まれ故郷。激しく経済成長した他の地域に比べると、発展に取り残された感のある小さな町。セクリタナでも有数の金鉱山があり、命の危険があるなか、多くの労働者が働いているが、その全てが亜人族である。なお中央政府が決める上位の首長とは異なり、町長は民選でえらばれる。
・辺境
200年前の世界大戦終結以後に開拓されていった土地の総称。辺境州は北部、東部、西部の三つに行政区画が分かれており、魔獣と生活環境が近く、亜人の数も多いため、統治の難しい地域とされてきた。そのため辺境州総督には代々有能な政治家や王族が就く。
〈その他〉
・冒険者
領地開拓の最前線で働く者たちを指す。その意味で一般的な冒険者の定義とは少し異なる。現在〈開拓〉の最前線はオルガビア(南方大陸)に移っており、そこで一攫千金を狙う者以外は、冒険者を止め生業に就いているか、国防軍に加入しているかどちらか。
というのも、すでに領土化した地域における対魔獣戦は軍の管轄であり、大規模な魔獣狩りの担い手として元冒険者は役に立つからだ。
・ゲルト語とセルヴァ語
宗教的祭事をルーツにした古い歴史をもつゲルト語にたいし、セルヴァ語は役人が使う言語として発達したという特徴がある。したがってほぼ全ての人種がゲルト語を使いこなす一方、セルヴァ語は官僚機構を支配する魔人族のみが使用する。
なおゲルト語に敬語表現が乏しいのは、古い時代において異なる人種間に差別がなく、地位が対等であったことを意味する。
また補足すると、アドルフはゲルト語、古代ゲルト語、セルヴァ語の三つを会得している。
・聖隷教会
宗教改革の末に誕生した宗派だが、イェドノタ連邦が国力を増していくにつれ、その機能は国家に吸収されていき、大司教を事実上《魔王》が任命する仕組み(※拒否権)へと変わっていった。
「置かれた場所で咲く」という天賦説を教義の中心に据えているため、人種間の不平等を是認しており、アドルフの反発を招いた。
・世界大戦
約200年前に勃発したムスカウ、イェドノタ両国による史上最大の大戦争。これまでも散発的な紛争はくり返しおこなわれていたが、互いに相手国を壊滅させ、領土を占領する意志をもって戦った点で戦闘は長引き、投入した資源、人命は計り知れないものとなった。
なおこの戦争に挙国一致体制を敷くべく、諸人種の団結をめざして現在のイェドノタ連邦が発足した。
・結界
世界大戦を休戦する際、二度とこのように悲惨な戦争を起こさないことを誓い合ったイェドノタ、ムスカウの両国によって、二つの大陸を隔てる海峡に張りめぐらされた長大な〈結界〉魔法のこと。当時、もっともすぐれた魔導師がなし遂げた秘術だと言われているが、その技術は継承されていない。
・評議会
《魔王》の政務を助けるために存在する機関。〈部会〉という省庁に相当する組織をもち、立法機関と行政機関を兼ね備えた統治システムの要。後に解説するが、《魔王》の執務機関である王統府が評議会の上に君臨し、これを指導する形をとっている。
以上の点だけを見れば、イェドノタ連邦は立憲君主制の国家として高度な民主主義を達成してもおかしくなかったが、現実は統一党という指導政党が一党独裁体制を築いており、彼らを意のままに操ることで《魔王》の権力はセクリタナの歴史上かつてなく強大なものになっている。
・全体会議
三ヶ月に一度、各州の総督によっておこなわれる査察および現地報告会のこと。ビュクシには辺境東部地区の各行政単位の代表が集う。普段は中央の指示をもとにトップダウン式に命令をおこなう総督たちだが、全体会議では逆に現場とつながっている各代表の声を聞き入れ、要望を吸い上げるなぢ、現場の声を政策に反映させる役割を果たす。
・長いナイフの夜事件
ナチス党が国内を掌握するにあたって標的とした者たちは共産党とユダヤ人だが、それ以外にも党内にも敵を抱えているとみなしたヒトラーがみずから指揮して彼に次ぐ実力者だった突撃隊のエルンスト・レームらを粛清した事件のこと。同時に敵対分子になりえる政界の実力者らも葬り去っており、ヒトラーとナチス党の統治基盤を整備するうえで重要な役割を果たした。
・スタグフレーション
景気が後退する(不況の)なかでインフレ(物価上昇)が同時に進む現象のこと。普通なら景気が悪化すると需要が落ち込むためにデフレ(物価下落)を起こすが、魔法石の価格上昇によって物価が押し上げられることがある。
また、魔法石の値上がりで工作機の稼働が止まると供給力が低下するため、さらに物価上昇を押し上げる原因になる。このような状態でも経済を放置すれば、賃金が下がって需要が減るため、深刻なデフレに陥ると思われる。
・《主》
あまねく世界を創造した唯一神。よってアドルフが生きた世界の《主》と、転生後の世界における《主》は同一の存在。一般に思われているのと異なり、善と悪を兼ね備えて、本来は両者の根源となっているが、現在は善性に偏り過ぎて一種の不能状態に陥っている。
天使など、天界の住人に関する解説はべつの機会におこなう予定。
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