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4 不思議な出来事

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そんな日々が続いていた午前0時。

輪心(わこ)の部屋。

ベッドで気持ち良さそうに眠っていた。

窓の外から照明を当てられた様な物凄い光がカーテンの隙間から差し込む。

余りの眩しさに目覚めた輪心(わこ)は、目を擦りながら恐る恐るベッドから起き上がって窓を開けてみる。

スーっと目の前に直径30センチ位の金属でできた円盤が現れると輪心(わこ)の顔の前でピタッと止まった。

目をパチクリさせてその円盤をみつめる。

円盤の上部がパカッっと開いて中から2センチ位のパープルに輝くティアドロップ型の物体が現れた。

*キミに会いにきたんだよ*

「えっ?私に?」

*そう。僕はジータ。キミの名前はマリーだよ。キミは地球を救う為に産まれてきたんだよ*

と言うと円盤ごとパッと消えた。

輪心(わこ)は何度も目を擦り窓枠にのし掛かって外を見たり部屋の中を見渡す

が何もない。

(なーんだ、夢だったのか)

何だか少しがっかりしながらベッドに戻ると枕元に、直径20センチ位の金属のリングが転がっていた。

持ってみるととても軽く、何とも弱々しく光を放っている。

「夢じゃなかったんだ!」

次の日。

「輪心(わこ)ー、輪心(わこ)」

リビングから弥生が呼ぶ。

輪心(わこ)の部屋迄くると

「買い物一緒に行く?」

「うんっ」

珍しく輪心(わこ)が誘いに乗ってきた。


スーパー「ジャスト」。

中に入り野菜やお肉類をカートのかごに入れるのに夢中の弥生。その後ろからトコトコと付いてくる輪心(わこ)。

途中でこっそり日用品売り場に行きペンライトを持ってきて弥生に気付かれない様にかごの中に紛れ混ませる。

レジに並ぶ。

支払いが近付いてくる。

すると輪心(わこ)がレジの横に並んでいたチョコバーに手を伸ばし、包みを開けて食べ出した。

「お客さん、それ、まだお会計済んで無いんですけど」

レジのオバサンが慌てる。

「輪心(わこ)!何してるの?」

弥生はチョコバーを取り上げて

「すみません」

レジのオバサンに頭を下げてからお金を払って外に出た。

帰り道。

さっきの事には触れずに買い物袋を両手に持ちながら歩く弥生。

「ねぇ、ママ?どうして地球には『お金』があるの?輪心(わこ)の星には、無いよ」

妙な事を言い出す。

「何を言いだすの?全く困った子ね」

弥生は輪心(わこ)の言葉には聞く耳持たない。

「それより、輪心(わこ)ちゃん、今日はお誕生日でしょ?与論のおばちゃん来るのよ。皆でパーティー出来るわよね?」

「そっか。輪心(わこ)、与論のおばちゃん大好き!」

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